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【このクルマなんぼ?】伝説のバスケットボールプレーヤー マイケル ジョーダンのメルセデス

2020年9月4日

マイケル ジョーダンの所有したメルセデスS600 その落札価格は?

マイケル ジョーダンのメルセデスS600ロリンザー クーペが通常の取引価格よりも14万ユーロ(約1,770万円)も高く売れた。その理由は、誰もが認めるバスケットボール史上最も偉大なプレーヤー、マイケル ジョーダンが、このV12メルセデスクーペを好んで運転していたからだ。マイケル ジョーダンによる、ロリンザーチューニングを施した夢のようなS600クーペは、Ebayで販売され、大きな利益をもたらした。

マイケル ジョーダンは、「バスケットボールの神」とまで称された伝説のプレーヤーだ。
シカゴ ブルズを6度、チャンピオンに導き、得点王10回、5度の年間MVP5、6度のNBAファイナルMVPに輝くという輝かしい記録を持つ。
そのジョーダンの愛車が落札された。
非常に特別な歴史を持つ1996年製メルセデスS600クーペのEbay上でのオークションが終了した。
この車はかつてバスケットボール界のGOAT(Greatest Of All Time)である、マイケル ジョーダンが所有していた個体だ。
NBA(米ナショナルバスケットボール協会)のメガスターは、Netflixのドキュメンタリー映画、『ラストダンス』の撮影にも、彼の愛車、ロリンザーチューニングSクーペを提供したことがあった。

有名人のボーナスでかなりの走行距離を補う

このクーペはビバリーヒルズカークラブによってEbayに上場され、オファーは象徴的な23ドル(シカゴ ブルズでジョーダンが付けていた有名な背番号にちなんで)から始まった。
最終的に、この「ロリンザーベンツ」は177件の入札を経て、伝説のバスケットボールプレーヤーの名声も手伝って、202,000ドル(約2,222万円)で落札された。
通常のS600クーペは30,000ユーロ(約380万円)以上することはほとんどないので、有名人の愛車というボーナスは、このように約166,000ドル(約1,825万円)以上の値打ちをもたらしたのだった。
ジョーダンという名前はまた、157,000マイル(252,804キロに相当)という驚くべき走行距離をも補っている。
「ジョーダンベンツ」はコックピットの少しのパーツを除いて新品のように見える。

ロリンザー ベンツは、走行距離が25万キロを超えているにもかかわらず、まるで新品同様の綺麗な状態だ。

ロリンザー製ボディキットとクロームホイール

内部構造コード「C140」のSクラスクーペは、メルセデスがモデル名をCLに変更する少し前の1996年に製造されたものだ。
当然のことながら、マイケル ジョーダンは、自分用の愛車に、その時点で最も強力なエンジンを選択した。
600シリーズクーペのボンネットの下には、6リッターの排気量、394馬力と570 Nmのトルクを持つフリーサクションV12が収まっている。
リッターあたり6キロ前後の平均燃費は、もちろんNBAのスターに気にするところではなかったであろう。むしろV12であることを考えれば良好かもしれない。
適切な外観のために、ロリンザー製パーツが追加されている。
ボディキット、リアスポイラー、排気システムと追加クロームデカールは、ドイツのチューナーに由来している。
こうして「ネイビーディープブルーメタリック」という色の高級クーペは、誇張されたぽっちゃりとした印象を与えることなく、より引き締まって、際立った存在感を放つようになった。
エンジンにはチューナーの手は加えられていない。

証拠写真。マイケル ジョーダンが愛車のS600クーペに乗り込む寸前を撮影したものだ。

電話はジョーダンの名前で挨拶する
V12クーペのインテリアは、90年代のラグジュアリーレンジを全て網羅している。
バールウッド、オートエアコン、電動リアブラインド、メモリー付き電動マルチコンツアーシートなどなど。
しかし、一体型の自動車電話は絶対に独創的だ。
スイッチを入れると、ディスプレイには6度NBAチャンピオンになったマイケル ジョーダンの名前が表示されるようになっている。
同封されている車の書類にも、当時のジョーダン夫妻の名前とサインが書かれてある。
これだけでも多くの人が入札した理由になったことだろう。

このベンツを運転することは、非常にユニークな体験だ。コックピットにはいつもマイケル ジョーダンが座っていたからだ!

マイケル ジョーダンが乗っていたからと言って、25万キロ走行の25年落ちS600が2200万円というのはやっぱりかなりなびっくり価格である。
メルセデスには悪いが、この時代のS600はあまり人気がなく、わが国では100万円以下で取引されていることも多い。
またメルセデスにしたって、25年落ちで25万キロ走っていたならば各部のメンテナンスはかなり必要だろうし、正直言ってそれほど手をかけて蘇らせる価値のあるクルマかというと、ちょっと返答に困る。

だが……、マイケル ジョーダンの人気も、バスケットボールの人気も日本とは比較にならないであろうアメリカであったからこそ、2200万円で取引され、おそらく今後、この車のオーナーは、どこに行っても「この車の元オーナー知ってるか? マイケル ジョーダンだぜ」「What?」、「ひゅー?」、「うわぁお」みたいな会話が展開するのだろう。
そんなファンの心理も、マイケルジョーダンの神のような存在もよくわかるつもりである。そして落札したファン(でしょうねぇ)の嬉しさも、やっぱりこの上ないものであったと思うし、スターの存在というものはいつの時代も輝かしいものであるべきだ。そう考えれば、このメルセデスの落札価格が、ちゃんと高価であったことを素直に喜びたく思う。
今の日本には、それほどの存在のスター選手などいるだろうか?

Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: BEVERLY HILLS CAR CLUB