この45年落ち走行距離8万2千kmの500TE AMGなんぼ?超希少なメルセデス 500TE AMGがオークションに
2024年7月13日
メルセデス・ベンツ 500TE AMG(1979):超希少なメルセデス 500TE AMGがオークションに出品された。
メルセデスS123のコンプリートコンバージョンは、ほんの一握りしか製造されなかったと言われている。このエステートは最高17万ユーロ(約2,890万円)の値がつくと予想されているが、果たしてこのAMGは本当にオリジナルなのだろうか?
初期のAMGモデル、いわゆる合併前のAMGは、近年ますます人気が高まっており、特にアメリカではコレクターズアイテムとなっている。
現在、オークションハウス、ボナムズ(Bonhams)では特別な「メルセデスS123」がオークションにかけられており、ハンマープライスが期待されている。しかし、このエステートカーはオリジナルなのだろうか?
「メルセデス 500TE AMG」は、”AMG Rediscovered(AMG再発見)”オークションの一部であり、数多くの希少なメルセデスと、ステアリングホイールからボディキット一式に至るまで、膨大な種類のパーツで構成されている。この多層的なコレクションは、ガレージのオーナーでありメルセデスの熱狂的ファンでもあるバリー テイラーが、何十年にもわたって400点ものパーツ(所有車の20台を含む)を丹念に収集したものだ。2020年にテイラーが亡くなった後、彼のコレクションはオークションにかけられることになった。
オークションの目玉
目玉のひとつは、外装色「アストラルシルバーメタリック」の「メルセデス 500TE AMG」だ。この「S123」は、AMGがまだメルセデスの傘下に入っておらず、顧客がアファルターバッハに車両を送ることができた時代のものだ。そのため、70年代、80年代、90年代のAMG車のドキュメントは、管理されたいないことが多い。
この個体もそうである。専門家によれば、「メルセデスS123 AMG」のコンプリートコンバージョンはほんの一握りしかないという。その中には、サルーン2台、Tモデル2台、クーペ1台が含まれる。この「S123」がその2台のうちの1台かどうかは定かではないが、少々疑わしい。
アメリカのディーラーによって改造された可能性が高い。アファルターバッハで生産されたオリジナルであれ、アメリカで改造されたものであれ、AMG仕様の「S123」が希少であることは明らかだ。当初は「280 TE」として1979年に納車されたが、2.7リッター直列6気筒エンジンは廃棄され、「Sクラス」のV8(M117)に置き換えられた。
この例の特別な点:テイラーの記録によれば、彼の「S123」のV8はAMGによって5.0リッターから5.2リッターにボアアップされたと言われている。残念ながら、その証拠がないため、このエステートがどれほどのパワーを備えているのかも不明である。
V8は驚くほどきれいにエンジンルームに収まっている。M117は5.2リッターまでボアアップされているという。証拠は?何もない。
しかし、エンジンスワップはAMGコンバージョンの始まりに過ぎず、新しいシャシー、ツインエキゾーストを含むボディキット一式、BBSホイール(AMGペンタホイールの方が現代的ではあるが)が用意された。さまざまな情報源によると、このような完全な改造にはかつて65,000ドイツマルク(約568万円)ほどかかったという。
走行距離はわずか82,894km
人目を引くインテリアにもAMGの手が掛かっている。4本スポークのステアリングホイールに加え、特に300km/hのスピードメーターは、「S123」がAMG製であることを明らかにしている。オークションの説明によると、走行距離はわずか82,894kmとのことだ。
しかし、走行距離が少ない割にはコンディションはよくても平凡としか言いようがない。内外装とも、酷使された形跡があるが、それは45年前の車としてはごく普通のことだ。特にテイラーが亡くなるまで、この車を工房AMGウエストの社用車として使っていたのだから・・・。
異常に高い推定価格
しかし、14万~17万ユーロ(約2,380~2,890万円)という高額な推定価格は、車のコンディションに見合わない。加えて、この車は最近走っておらず、ボナムズによればオーバーホールが必要だという。数少ない稀なAMG仕様の「S123」であるにもかかわらず、資料がないことも相まって、この価格は非常に高く感じられる。
だから、残り3日、現在の最高落札価格が約36,000米ドル(約576万円)で、このAMGがまだ推定価格を大きく下回っているのも不思議ではない。希少性がすべてではないのだ。
Text: Jan Götze
Photo: Bonhams