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フロント3面フィルムを普及させる「ゴーストフィルム ワークショップ」レポート

2024年7月22日

自動車アフターマーケット最後のヒット商品とも言われる、フロント3面ガラスに貼る「ガラスフィルム」。人気はうなぎのぼりだが、比較的高価なこともあって普及率は伸びていない。まさに、これからの商品。

そこで、施工技術者を増やし、施工技術を高めることで、安心して「ガラスフィルム」「カーフィルム」の高機能を享受できるようにするべく、施工店と「ゴーストフィルム」で有名なブレインテックがタッグを組んで行っているワークショップをレポートする。

筆者もクルマのフロント3面(フロントウインドウと前席のドアガラス)にフイルムを貼るのはNGという認識があったが、それは明らかに間違いである。自動車ガラス用フィルムにおいては、リアガラス、リアサイドには法的規制がないため、スモークフィルムを貼ってもお咎めはない。しかし、フロント、フロントサイドのガラスについては道路運送車両法第29条と細目を定める第195条で記載された「窓ガラスを規定する保安基準」で可視光線透過率が70%以上と定められている。貼ってはいけないのではなく基準値に適応すれば貼ってもよいのだ。

スモークフィルムが爆発的に流行ったときに、フロント3面に貼ると車検に通らないから貼れないといった話が「フロント3面に貼るのはダメ」という言葉になり独り歩きした状態だ。因みに、今ではスモークガラスが普及したためスモークフィルムは影を潜めている。しかし、今やほとんどのクルマが後席とリアウインドウが真っ黒で前席とフロントウインドウは透明な状態だが、なんとも中途半端でカッコ悪いと思うのは私だけだろうか。

フロント3面にフィルムを貼ること自体はご法度ではない

運転に支障をきたす恐れのあるフロント3面のガラスについては「可視光線透過率」が定められているために、スモークフィルムを貼ることができなかったのだ。当然、その「可視光線透過率」が規定値に収まらなければ車検に通らないだけでなく道路交通法違反となる。

「ゴーストフィルム」のサンプル。
Photo:ブレインテック

そこに現れたのが「ゴーストフィルム」という商品、通称「オーロラフィルム」といったオーロラ状に着色しているように見えるガラスフィルムだ。

今まで貼ることができなかった(できないとされていた)フロント3面に貼ることができて、ファッション性もあることから注目度はうなぎのぼりだ。自動車アフターパーツ市場でも久しぶりのヒット商品として注目されている。

ゴーストフィルム施工例。もちろん車内からは発色、オーロラ状には全く見えない。
Photo:アクティブガレージ

「ゴーストフィルム」は遮熱、広範囲の紫外線遮蔽、調光(偏光)することで、狭いクルマの室内温度の上昇を抑えて、快適性能を上げるために開発された商品であるが、もともとは建築物のガラスに貼るUVカットフィルムがあって、それがクルマに転用されたという経緯がある。

「ゴーストフィルム」開発秘話:https://autobild.jp/27573/

スモークフィルムより性能は高く、ガラス全面に貼ることでエアコンの稼働率を下げることが可能だ。また、目に悪影響を与える恐れのある光線を反射するため、サングラスと同様の機能がある。

株式会社 ブレインテックの宮地社長による商品知識、合法施工に関する情報共有など座学が行われた。
Photo:カーメイクアートプロ

しかし、最近のクルマの多くには、UVカットガラスが使われているため簡単ではない。「可視光線透過率」を基準値に収めることが難しい場合があるのだ。

人気が先走ったためにネガティブイメージがあるのも事実。その原因は販売・施工店側にもあるようで、アフターマーケットパーツによくある「車検対応」だからと商品知識も基準値の知識もなく施工した結果、車検に通らなかったりするケースが出れば、ユーザーからすれば詐欺商品というレッテルが貼られてしまうのは当然で、そのようなケースは今でもあるようだ。

ワークショップを協賛した、株式会社ブレインテックの宮地社長は長年、高機能ガラスフィルムの開発に携わっている自動車用ガラスフィルムの第一人者で、商品開発だけでなく、商品知識、施工方法の講習をはじめ、車検整備関係各所とも連携してその機能を存分に享受できるよう努力を重ねている。

「ゴーストフィルム ワークショップ」第1回は大阪のカーメイクアートプロにて開催された。
Photo:カーメイクアートプロ

今回のワークショップは、施工店である大阪のカーメイクアートプロと東京のアクティブガレージが同業者を集めて、高い施工技術を持った技術者が増えるようにと、商品知識、施工方法を共有する「ワークショップ」を開催した。

リーガルゴーストショップ

ブレインテックは「リーガルゴーストショップ」を作って、ネットワーク化してユーザーが安心して「ゴーストフィルム」を利用できるように環境整備を行っている。

技術講習の様子。カーメイクアートプロはいち早くリーガルゴーストショップ認定店になっている。
Photo:カーメイクアートプロ

リーガルゴーストショップ認定店は現在、全国に100を超える店舗がある。上海にもあって、アジア圏にも広がり、さらに広がる勢いを感じる。

「リーガルゴーストショップ」とは、道路交通法・道路運送車両法・道路運送車両の保安基準に準拠した施工、保安基準に規程された要件を満たす測定器により可視光線透過率の測定、可視光線透過率測定結果証明書の発行が可能なショップで、商品知識はもちろん、必要な施工技術を有するため安心して「ゴーストフィルム」の施工を依頼することができる。

施工完了。参加者は実際に施工を体験して技術を習得することができる。
Photo:カーメイクアートプロ

スペシャリストが終結

ワークショップは、大阪のカーメイクアートプロで初回が行われた。すでにガラスフィルムを取り扱っているショップをはじめ、導入を検討しているショップが参加して、商品知識講習、施工技術の体験デモンストレーションが行われた。

アクティブガレージには東京近郊はもとより、山梨県、群馬県など関東のカーディテイリラーが集まった。
Photo:アウトビルトジャパン

ブレインテックと施工店(リーガルゴーストショップ)が行うワークショップは参加者にとって、商品知識、施工技術を高めることができて、高価なフィルムを練習に使うことができるチャンスでもある。

ワークショップの2回目は東京に場所を移し、高い施工技術を誇るアクティブガレージにて行われた。

アクティブガレージでは2台が用意され、参加者は熱心に講師の説明に耳を傾け、実際にフィルムを使って施工を体験した。
Photo:アウトビルトジャパン

注目度が高い「ゴーストフィルム」だが、施工事例はまだ少ないこともあって、フィルム自体の金額が高価であるのが現状。また、誰でも気軽に貼ることができる商品ではないため、施工はプロフェッショナルに任せる必要がある。ただし、今後利用者が増えれば料金は下がっていくと言われている。

ガラスの外側にフィルムを仮置きして、熱を加えながらガラスの局面にフィットさせる。
Photo:アウトビルトジャパン

ファッション性が高いこともあり、プライバシー保護のために利用されることもあるが、紫外線、赤外線から目を守るためにと、スポーツ選手がこぞって利用しているとアクティブガレージの阿部社長が話していたのが印象的だった。

ゴーストフィルムはガラスの内側に貼るのが特徴。
Photo:アウトビルトジャパン

カーディテイリング業界では今回のガラスフィルムをはじめ、コーティングやインンテリアリペアなどのサービスに関する商品知識、施工技術の伝授、共有がイベント、セミナーという形で盛んに行われていて、各ショップが業界を盛り上げようと活動していることを知ることができた。

(左)車検場でも指定測定器となっている可視光線透過率測定器PT-500で計測。(右)PT-500以外の測定器では正確な可視光線透過率を計測することができない。
Photo:アウトビルトジャパン

個社がしのぎを削って競争する時代は終わったのだ。業界をあげて施工者数を増やし、施工者の技術を上げることがユーザーのため、業界のためになると立ち上がったのがワークショップを開催した2社。今後もこのワークショップは続いていくようなので、それによってカーメイクアートプロ、アクティブガレージのような優良店が増えていくだろう。そして、「ゴーストフィルム」の普及でユーザーも、業界もメリットを享受できるようになる。持続可能な発展が実現される。

ブレインテック:https://www.braintec.co.jp/
リーガルゴーストショップ:https://www.braintec.co.jp/legal-ghost-shop/
カーメイクアートプロ:https://www.art-pro.co.jp/carfilm/ghost/
アクティブガレージ:https://activegarage.co.jp/

Text:アウトビルトジャパン