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【新車試乗】 新型ルノー・メガーヌ PHEVの実力と性能

2020年8月25日

F1の技術が投影! ルノー・メガーヌのPHEVステーションワゴン

新型プラグインハイブリッド仕様メガーヌは、F1の技術を採り入れている。F1の技術でルノーがメガーヌをハイブリッド化。我々は、メガーヌ グランドトゥアラーのステーションワゴンバージョンでドライブしてみた。

EVの波に乗るルノー。
ゾエが売れに売れているが、ルノーは、今度は、プラグインハイブリッドで儲けようとしている。
特に、「メガーヌEテック プラグインハイブリッド160グラントゥアー」は、社用車にもってこいで、社用車ドライバーにとって、ステーションワゴンも運転して面白いので、この分野でもフランス車メーカーにはチャンスがある。

1.6リッターの4気筒ガソリンエンジンを搭載し、92馬力と144Nmという出力を持ち、34馬力(25kW)のハイプレッシャースターター発電機と67馬力(49kW)の電動モーターを組み合わせとなっている。
システム出力は158馬力+205Nmで、消費量はWLTP サイクルで1リッターあたり76.9kmにとどまる見込みだ。

パワー配分はハイテクなトランスミッションによっておこなわれる
ルノーによれば、このトランスミッションは、アイドル回転数を含む15速の組み合わせを可能にしており、したがって、それぞれの走行状況に応じて常に正しい答えを導き出すようになっているという。
ルノーは、自分たちのF1チームで使用しているものと密接に関連しているCVTのようなトランスミッションであると主張している。
このトランスミッションは特にコンパクトで、メガーヌでは、シリアル、パラレル、または従来型のハイブリッド駆動システムに対応している。
興味深いのは、安定した速度では電動コンポーネントは後回しにされ、燃焼エンジンが単独の指令を引き継ぐようになっていることだ。

可変式。ルノーによれば、メガーヌのトランスミッションは 15 速を可能にする。

純粋な電気モードで最大50キロ

理論はもういい、運転席に座って走り出してみよう。
1速は電動なので、発進時には常に電動モーターが指令を出していて、そして、それは良い仕事をしてくれている。
街中の交通では問題なく追いつくことができ、高速道路や田舎道では最高速度135km/hで交通障害になることはない。
バッテリー容量は9.8キロワット時で、50キロから65キロ(シティモード)までの純粋な電気走行距離に適している。
私たちのテストドライブでは、すべてのタイプの道路を走行したが、最終的にオンボードコンピュータは、100kmあたり1.2リットル(リッターあたり83.3km)、14.5kWh/100kmという非常に控えめな消費量を示した。
航続距離は49kmで平準化した。
走行性能も問題ない。
0から9.8秒後には100km/hを突破し、183km/hまで高速走行できる。

バッテリーがフル充電の状態で、電気のみで50kmの走行が可能で、燃料消費量はリッターあたり76.9kmに抑えられている。

ドライビングプログラムは通常のものを提供する。

「マイセンス(My Sense)」ではすべてのシステムを最適化し、「ピュア(Pure)」では純粋に電気駆動、「スポーツ(Sport)」では可能な限りダイナミックなドライブを実現するように設定されている。
残念なことに、巧妙なギアトレインは完全にCVTトランスミッションとの親和性を否定することはできないために、特に高い回転域で、独特の泣き言のような音が鳴る。

シャシーの面では、ルノーはバランスの良さで説得力がある

優れたシャシーのおかげで俊敏性は素晴らしい。
それはよくバランスが取れていて、あまりソフトにチューニングされてもおらず、1678キログラム(そのうち105kgはバッテリーによる)の重量にうまく対処している。
メガーヌには、燃焼エンジンがバッテリーを充電する「充電」モードは備わっていない。
「Eセーブ(E-Save)」プログラムは、現状を維持し、バッテリーの充電状態を40%に維持する。
自分自身でセルに電気を送り込むのを助けたい人は、最大の回復力を持つ「Bモード」を使用するとよい。
先読み運転では、このように機械的なブレーキを使用せずに行うことができる。
メガーヌには、従来モデルと同じ容量を備えたラゲッジコンパートメント(389リットル)があり、ロードコンパートメントの下には39リットルのガソリンタンクがあり、バッテリーは後部座席のベンチの下にある。
このことは、1.85メートル以上の人は頭の周りが窮屈になるリアの高い着座位置も説明している。

シャシーはバランスのとれたセットアップが印象的で、1678キロという車重にもうまく対応している。

そして最後に残るのはその価格だ。

メガーヌは決して安くはない。
購入するには、少なくとも、34,107ユーロ(約433万円)は支払わなければならない。ちなみに、我々が今回ドライブした「RSライン」バージョンには、38,202ユーロ(約485万円)というコストがかかる。これはメガーヌとしては高価であると言わざるを得ない。

ルノーによれば、トランスミッションは、アイドル速度を含む15段階の速度の組み合わせを可能にし、したがって、常にそれぞれの運転状況に応じた正しい答えを導き出すという。F1で使用しているものと密接に関連したCVTのようなトランスミッションだという。
メガーヌのインテリアは、遊び心があってなかなかいい感じだ。いくつかのスイッチやレバーは硬いプラスチックの感触を備えているが、機能性は良い。インフォテインメントは、操作性に大きな問題を抱えていないので、オーケーだ。

今回のレポートでは具体的に、本当にどの部分でどのくらいのレベルのF1の技術が採用されているのかはわからないが、F1だけではなく日産の技術もどこかに使われているのであろう、という推測も十分できるのがルノーのメガーヌ ハイブリッドである。
このハイブリッドシステムに関しては大変興味深い点も多く、特にミッションとその制御についてはかなり特徴的な部分も多く、このレポートを読んでいて、自分でも乗ってみたい気持ちになった。そして日本の路上にどれぐらい適合するのかも、大いに気になる。

今までの(特にプリウスなどの)ハイブリッドシステムは、車を運転している実感にかけるものも多く、それが絶対的に悪いとは言い切れないものの、ダイレクトなドライブの楽しさには結びつかない部分も多かった。その点、このレポートを読むと今回のメガーヌは、燃費などの効率向上だけではなく、自動車を運転することの楽しさを増やそうという点が感じられる。そしてそれこそが、ルノーらしい部分にも思える。
ハイブリッドシステム以外の、クルマそのものの完成度も高そうだし、日本に輸入された暁にはぜひ乗ってみたい。あとはここにも記されている通り、価格だけが問題になるかもしれない。

Text: Wolfgang Gomoll
加筆:大林晃平
Photo: Renault