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【初テスト】デトロイトからオールドスクールスタイルの新型フォード マスタング登場 最もホットな種馬の全情報!

2024年5月31日

フォード マスタング(Ford Mustang): 昨日の西部劇。フォードで最もホットな種馬が走る。フォードがケルンで電気自動車の未来に浮気する一方で、デトロイトからはオールドスクールスタイルの新型マスタングが登場する。

欧州フォードの本社工場が蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。VWの「ID.3」および「ID.4」をベースとした欧州向け「エクスプローラー」の生産が長らく遅れていたが、ケルン工場でようやく軌道に乗り、フォードはすっかり活気づいている。

しかし今、エレクトロポップの中に、手作りのモータウンサウンドが突如として紛れ込んできた。新型「マスタング」は、米国での初公開から1年以上が経過した今、60歳の誕生日に合わせて我々のもとに戻ってきた。彼らがケルンで未来と戯れている間、デトロイトからは真新しくオールドスクールなスポーツカーがやってくる。

大西洋の反対側では、「オールニューマスタング」の話題は尽きることがない。しかし、少なくとも一見したところでは、ポニーカーはこれまでと同じに見える。それはそれで良いことだ。ストーンズやAC/DC、ガンズ アンド ローゼズのようなロックの巨人は、アルバムごとに自己改革するのではなく、同じヒット曲を繰り返し演奏する。

インテリアでは、マスタングはよりフレッシュな時代の息吹を感じさせる。

そしてそれは、60年間で1,000万台以上を販売し、10年以上にわたってチャートのトップを走り続けてきたスポーツカーでも同じだ: 固定ルーフでもコンバーチブルのファブリックキャップでも、「マスタング」は誇らしげなグリルの後ろにどこまでも長いボンネットを残し、フェンダーは常にブルース スプリングスティーンの袖をまくったようにフレアに膨らんでいる。一見して初めて、デザインの新しさ、滑らかになったシートメタル、そして「マスタング」には似つかわしくない矢印のデザインでリヤにより遊び心を感じさせる新しいライトに気づく。

インテリアでは、マスタングはより新鮮な時代の息吹を感じさせる。まるでプレイステーションの世界に飛び込みたいかのように、ステアリングホイールの後ろにはデジタルディスプレイがあしらわれ、その右側には巨大なタッチスクリーンへと続く。ナビゲーションやインフォテインメントに加え、レーストラックやドラッグストリップで自分自身とクルマを準備するためのすべてのアプリや設定がこのスクリーン上で実行される。これは実用的で時代にマッチしているが、昔の西部劇をLEDディスプレイの4Kで見ているようで興奮度は薄れてしまう。

8気筒エンジンが名曲を歌う

しかし、スタートボタンを押せばマスタングに命が吹き込まれ、8気筒エンジンが艶やかな歌を歌い始めれば、新しさなどどうせ忘れてしまう。本国アメリカでは、4気筒や6気筒のモデルも用意されているのだが、ここでフォードは唯一の正しい決断を下し、V8に集中した。マスタングのファンは8気筒を欲しがるものだ。結局のところ、ジョン ウェインはポニーには乗らない。そして、電動化もスポーツカーから省くことができる。結局のところ、彼らは何のために「マスタング マッハE」を作ったのだろうか?

マスタングのエンジンは従来のものだが、徹底的に近代化された。

8つのピストンが5リッターの排気量を悠久の大地で踏み鳴らすそのサウンドは、まるで大草原を駆け抜ける野生の馬の群れのようだ。適度な回転数では誇らしげでソノーラス、デジタルポインターがレッドゾーンに近づくと熱狂的で、地獄のようですらある。さらにフォードは、アナログのピックアップだけでは物足りないかのように、ノブが短いギアを骨抜きにするような、素晴らしくダイレクトなマニュアルギアボックスも装備した。10速オートマチックの方が効率的で、スプリントが向上し、時速が数km伸びるかもしれない。しかし、「マスタング」で自発的にスティックを手放す人は、セックスのときに靴下を履くことを求めるようなものだ。

エンジンは従来のものだが、世代交代の際に徹底的に近代化され、ベーシックバージョンですでに446馬力と540Nmを発揮している。そして新しい「ダークホース」を注文すれば、453馬力に加え、アダプティブサスペンションとキビキビしたブレンボを備えたよりシャープなトラックパッケージが手に入る。

マッスルカーが直線番長だった時代は、前世代ですでに終わった。

しかし、開発者がサーキットでの真剣な取り組みにどれほどの努力を注いだとしても、「マスタング」には小細工や華美さは必要ない。その代わり、オールドスクールなスポーツカーとして、その性能を鉄槌で路面に叩きつけることに喜びを感じている。なぜなら、エンドルフィンの奔流の中で、スプリントが4.4秒になったのか5.3秒になったのか、最後にデジタル速度計に表示されるのが250km/hなのか263km/hなのかを問う人はいないからだ。

マスタングはもはや頑固ではない

重要なのは楽しさと、頑固な馬を短い手綱で力強く導く感覚だけだ。しかし、「マスタング」はもはやそれほど頑固ではない。むしろ、マッスルカーが直線で速いだけだった時代は、先代ですでに終わっている。今では、馬は文字通りカーブを切望し、ドライバーの顔は恐怖ではなく歓喜に満ちている。それはアルプスの峠のヘアピンカーブである必要はない。それなら「ボクスター」に乗ったほうがいい。しかし、ジーベンゲビルゲであろうとスモーキーマウンテンズであろうと、ハルツ山脈であろうとハリウッドヒルズであろうと、急ぎ足のカントリードライブがこれほど楽しいことはめったにない。

「マスタング」がドライブとセットアップの面で提供するのは、レーシーで洗練されたものだが、雰囲気という点ではまだ足りない。いずれにせよ、素材のチョイスはプレミアムというより価格重視で、デトロイトの連中にはまだ最後の精度が足りない。荒いスイッチストリップ、硬いプラスチック、収納コンパートメントの緩いラバーマット。

フォード マスタングは59,900ユーロ(約1,006万円)から。

「マスタング」もまた、高価になった。クーペが59,900ユーロ(約1,006万円)からスタートする。オートマチックは3,000ユーロ(約50万円)高く、フレッシュエア(オープンモデル)は6万5,000ユーロ(約1,092万円)から、クーペのみ用意されるダークホースは最低でも7万2,500ユーロ(約1,218万円)する。もちろん、フォードとしては大金だ。特にバッテリーや電動モーターのないものにとっては・・・。しかし、V8エンジン搭載車では、「マスタング」はお買い得であり、市場で最も安い8気筒エンジンである。特にアファルターバッハのV8エンジンは、中流階級をはるかに超えたところにあり、徐々に姿を消しつつあるのだから。

しかし、シュトゥットガルトやミュンヘン、インゴルシュタットにある立派な重役室のマネージャーたちには、時代の流れに身を任せておけばいい。西洋の英雄がファッションを気にしたことなどないのだから。

結論:
もちろん、より洗練されたスポーツカー、より強く、より速く、より正確なスポーツカーは存在する。しかし、「マスタング」ほど正直で、本物で、何よりも親しみやすいスポーツカーは他にない。しかも、このカテゴリーでは破格の価格だ。少なくとも、デトロイトのお転婆娘を買う余裕があるのは素晴らしいことだ。

Text: Thomas Geiger
Photo: Fabian Hoberg / Thomas Geiger / AUTO BILD