BMW M3 CSLを最高に楽しいクルマにする方法は?真のMT化だ!

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マニュアルトランスミッションへのコンバージョン。そうすれば有名なBMW M3 CSLはさらに良くなる!M3 CSLには、シーケンシャル・ギアボックスという大きな欠点がある。しかしこのコンバージョンキットを使えば、BMWを真のマニュアルギアボックスに変えることができる。MTミッション愛好家への朗報!

これはありだろうか?

もちろんありだ!BMW M3 CSL E46は、BMWファンの間では、BMWがこれまでに製造した最高のMモデルの1台であると考えられている。それゆえに非常に需要が高く、希少であるものの、M3 CSL には1つの大きな欠点がひとつある: 標準装備のSMGギアボックスのことだ。SMGとは「シーケンシャル マニュアルトランスミッション」の略で、デュアルクラッチが一般的になる前に、BMWが自動運転式スポーツトランスミッションに参入したことを表している。エンスージアストや熱狂的なファンは長い間、マニュアルギアボックスを待ち焦がれていた。そして今、「エブリシングM3(Everything M3)」という、英国のM3チューナーから、M3 CSL用の、正真正銘のマニュアルトランスミッションが入手できるようになった。

BMW M3 CSLがマニュアルギアボックスに

我々が以前報じたように、トランスミッションのコンバージョンはすでに車愛好家の間では日常的におこなわれている。元F1メカニックのダラー ドイル氏を中心とした起ち上げられたイギリスのチューニング会社が、改造キットを使って、SMG式ギアボックスをクラシックなマニュアルギアボックスに交換してくれる。SMGは「シーケンシャル マニュアルトランスミッション」であるため、作動システムのみが変換される。したがって、交換によってトランスミッション自体は影響を受けることはなく、そのまま使用できるのも利点だ。

また、従来の電気油圧式エレメントに代わり、クラシッククラッチが採用されている。さらに、新しいフライホイール、そしてもちろんクラシックなギアレバーも使用されている。キットは、装着作業代なしで、3500ポンド(約43万円)で、エブリシングM3社のウェブサイトで購入でき、自分で、あるいは近くの整備工場などで、簡単に取り付けることができるようになっている。そして、レアなコレクターズアイテムであるM3 CSLの価値が心配な人もまったく心配は無用だ。なぜなら、いつでもオリジナルの「シーケンシャル ギアボックス」への戻すことも容易にできるからだ。

マニュアルのシフトレバーが、M3のクラシックSMGのセレクターレバーに取って換わる。正直言うと、もうちょっとクラシカルで、シンプルな形状だともっとよかった。

クラッチを踏むこと、それが楽しくて仕方ない、という人が身近にいる。さらにマニュアルミッションの、あのシフトフィールがなくては車に乗る意味などない、という人も身近にいる。私はATでも、そのほかのツーペダルミッションでも、つまりクラッチを踏まなくとも十分にどんな車でも楽しいと思うほうだが、言いたいことはよくわかるし、特にそれができの悪いツーペダルミッションであった場合には、これが普通のMTだったらなぁ、と思うことは今までに何回もあった。

自分の所有していた車の中では、フィアット500ツインエアと、フォルクスワーゲンUP!に乗っていた時にそんな思いを抱くことが多く、どちらもはっきり言ってあまりできの良くないシングルクラッチツーペダル式のミッションを持っていたからギクシャクすることも多く、自分の気持ちと違う感じの変速を勝手にやられた時などは、MTの車輛だったらどんなにいいだろう、と思ったものである。もちろんエンジンのフィーリングなどがダイレクトに感じられることも魅力だが、自分の意のままにギアを選べることと、トランスミッションのトラブルを心配しなくてもいいことなども、MTだったらぁ、という気持ちをその時に抱いた理由である。

だから今回のBMW M3 CSLのミッションをMT化する話は大変良く理解できるし、そうすることで本来持っているはずの、M3エンジンの味わいを満喫できることも確かだろう。正直いうとMTのシフトノブの形状がもう少しクラシカル、あるいはBMWオリジナルっぽいものだとなお良かったが、それでもあとで元に戻せる、という点も含めてなかなかエンスージアストに刺さる話ではある。だが、やや気になるのはSMGの作動システムをそのまま流用し、という部分で、故障などのトラブルは大丈夫なのであろうか、という点だ。SMGをはじめ、多くのミッションの場合、トラブルに見舞われると大変大きな出費を必要とすることになる。いっそのこと、SMGの作動システムをあっさり捨てて、普通のMTを取り付けてしまったほうがシンプルで良かったのではないか、というのは余計なお節介である。

Text: Andrew Huber
加筆:大林晃平