ガチンコ勝負 アルファロメオ ステルヴィオ対レンジローバー イヴォーク 200馬力ガソリンエンジンSUV対決
2020年8月12日
アルファロメオ ステルヴィオ対レンジローバー イヴォーク: テスト、エンジン、価格
アルファロメオ ステルヴィオはレンジローバー イヴォークを凌駕するのか?
200馬力のガソリンエンジン&四輪駆動という同じ仕様のアルファロメオ ステルヴィオとレンジローバー イヴォークがテストで相まみえた。果たしてこの2台は美しいだけではないということを証明できるだろうか?
「矛盾をかかえた決闘」、それがこのテストのもう一つのタイトルでもある。
レンジローバー イヴォークとアルファロメオ ステルヴィオは、30センチ以上長さに差があるため、レンジローバーには不利益で、同等ではない。
しかし一方で、この決闘を語るにおいて、いくつかの類似点もある。
パワーユニットとして約200馬力の4気筒ターボガソリンエンジン、約43,000ユーロ(約537万円)の基本価格に加えて、四輪駆動システムを備えたSUV、ステルヴィオとイヴォークはスタイリッシュで、本当のアイキャッチャーだ。
古いSUVであるアルファロメオ ステルヴィオのほうがより新鮮に見える
憧れの視線を好む、うぬぼれた近代人なら、迷わずステルヴィオを選ぶべきだ。
なぜなら、2019年から販売されている第2世代イヴォークを、第1世代と区別するためによく見る必要があるからだ。
だからこそ、古いアルファ(2017年初頭に市場デビュー)の方がより新鮮に見える。
加えて。
イヴォークはかなり売れているので、ステルヴィオはドイツの道路では珍しいモデルで、目立っている。
予想通り、アルファはボディワークの章で勝ちを得る。
フロント、バック、またトランク内により多くのスペースが備わっている。
これは空間の感覚にも反映されており、イヴォークは外側と同様に内側もかなりコンパクトに感じられる。
素材の品質という点では2台は同じ土俵に立っている。
レンジローバー イヴォークは最新テクノロジーを搭載
しかし、そのステルヴィオのクオリティの高さは、ほぼ7,000ユーロ(約87万円)の「スプリントパッケージ」に負うところが大きい。そのパッケージには、他の多くのグッズに加えて、革張りのドアとダッシュボードが含まれている。
正確な縫い目は非常に印象的だ。
不満な点をあげるとするなら、オレンジ色の塗装と部分的に目につく隙間だ。
その点、レンジは、テクノロジーの面で分野の先端を行っている。
一例として、ヘッドライトがある。
イヴォークは常にLED技術で道路を照らし、さらにスマートマトリックスライト(2,047ユーロ=約25万円)もリクエストに応じて用意されている。
一方ステルヴィオは、90年代のバイキセノン技術を採用している。
イヴォークの現代的な野望は、拡張可能なドアハンドルだけではなく、より細かい解像度のディスプレイや、バックミラーのカメラ画像のようなスマートなエクストラ、あるいはフードエアバッグやドアハンドルの警告インジケーターなどの安全システムにも表れており、ブラインドスポットアシストに接続されており、後ろから接近してくる車を車外に出る際に乗客に警告する。
しかし、オールドスクールのアルファのほうが明らかに良い面がある。
そしてそれらは運転することによって明らかになる。
両方のSUVとも、通常の運転中に、自動的に駆動力が配分される機能を備えている。
そして注意深いドライバーには縦方向のエンジンを搭載したステルヴィオがリアアクスルであることに初めて気付く。
テストした2台の価格にはかなりの隔たりがあった
より速く走れば、ステルヴィオは俊敏性が増し、そしてドライバーは気づく。
彼がこのロメオに恋をしているということを。
特にカーブで。
そして、その敏捷性は快適性も決して損なわない。
どちらも調整可能なサスペンションを装着している。
そしてアルファは、レンジよりも、よりバランスのとれたスプリングを採用していて、20インチのスプリングはレンジよりも常に働いているかのように感じる。
ステルヴィオがドライバーと道路の距離をうまく繋いでくれるのに対し、ややレスポンスに欠けるステアリングを備えた、重々しく感じる英国製SUVからは、ドライバーと道路の距離を感じる。
レンジはやや眠そうなオートマチックトランスミッションに対して、ステルヴィオの8速オートマチックトランスミッションは常にシャープだ。
イヴォークはステルヴィオに対して、コストの面だけで勝利する。
しかし、それでも、テスト車のイヴォーク(49,537ユーロ=約619万円)は、その大幅に低い価格にもかかわらず、より良いリセールバリューという面で、ステルヴィオ(テスト車価格:55,173ユーロ=約689万円)と競争するには十分ではない。
そして、ここだけの話。
両方とも本当に良いのだが、イタリア車の方がお勧めだ。
【フォトギャラリーと結論と採点】
結論:
アルファの総体的勝利だ。
俊敏なステルヴィオは、快適性にも妥協を求めないシャシーは我々に好印象をもたらした。より近代的で安価なイヴォークは、結局アルファにはかなわなかった。
と、本国AUTO BILDのスタッフはステルヴィオの勝利ということで結論を出している。この点にかんして文句はないし、フルモデルチェンジでありながらマイナーチェンジにしか見えないイヴォークには不利な面が多いことも事実である。
そもそも前のモデルのイヴォークも、スタイル優先のクルマという印象が強く、実際に乗ってみると、普通の、酷なことを言ってしまえば「フリーランダーに、レンジローバーのバッチを付けたような車」であったようにも思う。
もちろんランドローバー フリーランダーがダメであるとか、イヴォークを否定する気は毛頭なく、たとえモデルチェンジ前のイヴォークであっても、スタイリッシュな外観とお洒落な内装を備えたなかなか素敵な車であると今見ても思う。
ではなんでこんなに辛い評価になったかを考えると、それはレンジローバーという名前に期待するところが過大だったから、ではないだろうか。あのレンジローバーという名前と、そこに抱く期待を持ってイヴォークに乗ると、なんとも普通で、ちょっと拍子抜けするというか、やや冷めた気持ちのインプレッションになってしまう。
よくよく考えてみればそれは致し方ないことで、イヴォークは、本家レンジローバーの半分とか、3分の1くらいの価格なわけで、その点においてかなうはずなどないのである。
イヴォークの良い点は「レンジローバーの小さな高級車?」という点だとも思うし、そういう意味では現代のバンデンプラのような存在、なのかもしれない、と思うことにしている。それにしてはやや全幅が大きすぎるけれど、全長の短いことと、内装などがスタイリッシュなことには文句はない。
う考えればイヴォークの存在は理解できるし、日々の生活にはこの大きさは有利だろう。
一方のステルヴィオは、SUVになってもどこまでもアルファロメオであろう、としたことで、その性格も存在も明確だったから今回「勝ち」になったのだと思う。アルファロメオのSUV、と聞くと純粋なアルフィスタは眉をひそめるかもしれないが、アルファロメオが生き残るためには必要なラインナップだし、乗ってみるとアルファロメオらしさは十分感じられると思うので、一度試乗してみると考えが変わるかもしれない。
そして今や両車とも、日本でもディーゼルエンジンモデルが自由に選べるのだから、良い時代になったともいえよう。
Text: Stefan Novitski, Mirko Menke
加筆:大林晃平
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD