初テスト コンパクトEV VW ID.3 その実力と評価は?

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VW ID.3(2020): テスト、EV、価格、テクニカルデータ、サイズ、バッテリー

VW ID.3のシリーズ生産モデルで長距離走行: とても静かで、とても良い。
ついにVW ID.3のシリーズ生産モデルが完成した。もちろん我々は長距離テストをおこなった。その詳報をお届けしよう。

モーターは後部にある

いよいよスターターボタンを押す、完全にサイレントだ。
いい。310Nmのトルクもいいし、204馬力もいい。
我々のテストしたID.3はファーストエディションで中型バッテリーを搭載しているバージョンなので、航続距離は420kmだ。
電気自動車には3種類のバージョンが用意されている。330キロ、420キロ、そして550キロだ。
バッテリーは低重心でスポーティな走りを可能にするために常に低く取り付けられており、モーターはリアにあるので、往年のビートルのような後輪駆動だ。

ID.3というEVの誇張された現実

高速道路を降りて、急速充電器でまず充電する。
VWによれば、ID.3は125キロワットまで充電することができる。
我々がコーヒーを飲んでいる間、48分で94パーセントまでに充電完了した。

一般道路でもID.3は素晴らしい走りを見せる。
それをシャシーで行い、ステアリングで行うが、決して電子機器によるものではない。
我々は、速度がデジタル表示されているステアリングホイールの後ろの小さな画面を見る。ヘッドアップディスプレイの数字に関してだが、彼らはついにパサートとティグアンの愚かなプレキシガラスのフロントガラスを引退させ、フロントガラスに直接映し出される数字はカミソリのようにシャープになった。
そして、拡張現実さえも可能になり、矢印が正確に曲がりたいところに照射されるようになった。
しかしそのような仕掛けが欲しい人の中で、ID.3のファーストエディションを手に入れた人は、来年の初めにディーラーの工場にアップデートしに行かなければならない。
多分VWはそれまでにナビゲーションシステムも改良していることだろう。なぜなら、私はどこに行きたいかを5回ボイスコントロールに伝え(叫び)結局伝わらず、手で目的地を入力したことさえあった。
そして、走行の合間に消費量やバッテリーの状態に関する走行データを呼び出そうと思ったら、1秒から10秒の反応時間がかかった。
まだまだ未完成で発展途上のシステムなのだろう。

我々のテスト車の音声操作やインフォテインメントの充電時間などは、まだまだ調整が必要だった。

友人も興奮した

しかし、わたしの友人たちはID.3をどう評価するだろうか?
「ワオ!」と叫んだあと、
「とても力強い!」
「とても楽しい!」
「ノイズが少ない!」
「とてもリラックス!」
と私の友人で、冷凍エンジニアで、普段はセアト レオンSTを乗り回しているジェンスは驚きや感想を短く表現した。 
来年、彼は、6年落ちの彼のセアトを、32,285ユーロ(約403万円)の150馬力ガソリンエンジン次世代型に乗り換えようと考えているという。
彼は彼の自転車をID.3のラゲッジスペースに積み込んでみた。すると、彼のいつものステーションワゴンとまったく同じように積み込めた。
私は彼に言った。「ID.3のミディアムサイズバッテリー搭載バージョンだと4万ユーロ(約500万円)以下の値段で、政府からの補助金が6千ユーロ(約75万円)、さらにはメーカー(VW)からも3,480ユーロ(約43万円)、つまり合計で1万ユーロ弱(約120万円)の補助があるんだよ」、と。
そしてジェンスは生涯で初めてEVを運転した。
走りだし、彼は微笑む。
ID.3のその他のプラスポイント?
ジェンスは、他の平均的なドイツ国民同様、年に約1万キロしかドライブしない。そして彼はこのクルマを自宅で充電できる。そんな使い方ならこの車はばっちりだ。

自転車もステーションワゴン同様にID.3にはジャストフィットした。

ドアの汚れやすい硬いプラスチック

我々は、友人のデニスのワークショップで検査してもらい、ID.3には大量の硬質プラスチックが使われていることをつきとめた。
我々がテスラ モデル3に安価な硬質プラスチックが使われているということに再び不平を言うことはないだろう。
しかし、それらのプラスチックが汚れやすいということは言っておかなければいけない。
ドアの上下には、1日のテスト後にすでに汚れの跡が目立っていた。
その後、デニスは車を持ち上げ、床一面のアルミカバーの下のバッテリーを指しながら、「もし横から衝突されたら、それは高価なものになるだろう。もし外部に損傷があれば、バッテリーを外して、本来の安全なものに交換しなければならない」と言う。
結局今回は532km走行して平均18kWhを消費したが、もう少し経済的な運転スタイルでの標準的な消費量は15.5kWh前後になるはずだ。

バッテリーの位置を指し示しながら、側面衝突の代償の大きさを語るデニス。

いよいよというべきか、フォルクスワーゲングループが電気自動車のカテゴリーに、やる気満々で投入したのが、このID.3である。ものすごく簡単で投げやりな説明をするならば、フォルクスワーゲン ゴルフの電気自動車版なわけだが、ゴルフ7にあったような「Eゴルフ」、つまりフォルクスワーゲン ゴルフそのままの格好をした電気自動車でないことがキモである。

532キロ走行時でバッテリー消費量は18kWh。我々は決して経済的な走りを心掛けたつもりはない。

姿がこれだけ違えば、新しい時代の電気自動車であることが、それこそ一般大衆にもストレートに伝わるし、ゴルフ7の頃の電気自動車テクノロジーよりもはるかに進化しているため、完成度は大変高そうである。

唯一心配なのは、ドイツが冠たるアウトバーンにこの車で参戦した場合、モリモリと電気残量は減ってしまうのではないかという心配だけだが、本文中にも書いてある通り、もはやドイツ人の平均走行距離も比較的少ないみたいだし、そもそもアウトバーンの無制限速度区間も減少の一途だから余計な心配なのかもしれない。
それにアウトバーンを頻繫に使うのであれば、最初から「普通に」ゴルフ8を買えばすべては解決するし、それがGTIとかRなどの役物ゴルフでなかったとしても、今のゴルフは高速巡航性能があきれるほど快適なので、そこそこの(1.2 とか 1.4の)グレードのモデルでもまったく問題ない。
そう考えれば、このID.3は、新しい世代の?新しい価値観に基づく車であり、ゴルフの狙っている購買層とは微妙に違う方向を向いていること、そこがフォルクスワーゲンのしたたかさであり、うまさ、である。

Technical data: VW ID.3 ファーストエディション
• エンジン: 永久磁石同期機 • 最大トルク: 310Nm • バッテリー容量: 58kWh • 駆動方式: 後輪駆動、自動入力 • 全長×全幅×全高: 4261×1809×1568 mm • 乾燥重量: 1794kg • ラゲッジコンパートメント容量: 385~1267リットル • 最高速度: 160km/h • 0-100km/h加速: 7.3秒

Text: Andreas May
加筆:大林晃平
Photo: F. Roschki