【伝説のパワーユニット】ワイルド・スピードのスター スープラMK4に搭載された2JZ-GTEエンジンは日産RB26に対する答えだった
2024年4月5日
2JZ-GTE (1991): トヨタのターボパワープラント2JZは、日産のRB26に対する答えだった。特にスープラMK4に搭載された2JZ-GTEエンジンは、他のどのパワーユニットよりも有名で、チューニングシーンでも人気がある。直6のテクノロジーを解説!
日産RB26DETTに対抗する2JZ-GTE
2JZ-GTE – 「トヨタ スープラMK4」に搭載された直列6気筒エンジンは、他のエンジンとは比較にならないほど性能が大幅に向上していた。このエンジンは1991年に「トヨタ アリスト3.0V(日本のみ)」でデビューし、2002年まで「トヨタ スープラMK4」にも搭載され、その「スープラ」は1993年から1996年までドイツでも販売された。トヨタは、当時、日産がグループAやグループNのツーリングカーレースで成功を収めていた「RB26DETT」直列6気筒エンジンに対抗して、ツインターボエンジンを開発した。「2JZ-GTE」はモータースポーツで、そこそこの成功を収めるに至る。今日、「2JZ」はその安定性とポテンシャルの高さで、チューニング界では特によく知られている人気のパワーユニットだ。わずかな努力でも600馬力まで可能。大がかりな改造を施せば、1000馬力オーバーも問題ない万能エンジンなのだ!
シリンダーヘッドはヤマハが設計
最高出力330馬力、最大トルク441Nmの「2JZ-GTE」エンジンは、「JZ」エンジンファミリーの頂点に立つ。”G”はスポーティなデザイン、”T”はターボチャージャー、”E”は電子制御インジェクションを意味する。排気量2997ccの直列6気筒エンジンは、クローズドデッキ設計の鋳鉄製エンジンブロックを持つ。民生用エンジンのエンジンブロックは、軽量化のため通常上部が開いており、シリンダーヘッドが上端を形成している。クローズドデッキエンジンでは、ブロックが上部で閉じているため、特に安定性が高い。2JZ-GTEの重量は約230kgである。ボアとストロークは2JZと同じ86mmである。この設計は「クアドラスター」として知られている。その結果、エンジンは低回転域から十分な圧力を供給し、なおかつフリーレブである。
シリンダーヘッドはヤマハが設計したアルミ製。歯付きベルトで駆動される2本のオーバーヘッドカムシャフトが24個のバルブを制御する。1997年9月からは可変カムシャフト調整システムが追加され、タイミングを調整できるようになった。興味深い事実がある: 日本では「紳士協定」により、「2JZ-GTE」は公式には280馬力しか発生しなかった。330馬力の輸出バージョンでは、カムシャフトが変更され、ターボはセラミック製排気タービンの代わりに弾力性のあるスチール製となり、噴射ノズルも大型化された。
シーケンシャルターボによる優れたレスポンス特性
トヨタはターボチャージャーシステムの開発に多大な労力を費やした。「2JZ-GTE」は、2つのターボチャージャーを並列に配置したシーケンシャルターボを採用。過給圧はバルブフラップと圧力セルによって機械的に制御される。その後、ブースト圧はエンジンコントロールユニットによって制御される電磁バルブによって微調整される。これは電子制御システムが故障しても、機械制御が機能するため、エンジンを過負荷から守ることができるというメリットがある。シーケンシャルターボチャージャーとは、エンジン回転数が低いときには排気ガスが1つのターボチャージャーのみを駆動することを意味する。エンジン回転数が上がると、2つ目のターボチャージャーのスイッチが入り、2つのターボチャージャーが並行して作動する。このシステムにより、高回転域で十分なパワーを発揮しながらも、低回転域での自発的で素早いレスポンスが保証される。
最大ブースト圧は約0.8バール。スロットルを離すと、余分なブースト圧はブローオフバルブを介してターボチャージャー前のバルブに戻される。これにより、スロットルを再び踏み込んだときにターボが素早く反応する。アクセサリーのブローオフバルブが開くと、プシューという音とともに余分な圧力が外部に放出されるため、印象的に聞こえる。しかし、スロットルを開けるとターボは再び圧力を高めなければならないため、エンジンのレスポンスが損なわれる。
2JZ-GTEの4桁性能データは珍しいものではない
「2JZ-GTE」は、何よりもそのチューニングのポテンシャルで知られている。クローズドデッキのグレー鋳鉄エンジンブロック、7ベアリングのクランクシャフト、スチール製エキゾーストタービンを備えたターボチャージャー、8.5:1という比較的低い圧縮比により、エンジンは非常に安定している。クランクシャフトドライブに手を加えなくても、すでに600馬力の出力が可能である。大規模な改造を施せば、標準のエンジンブロックで1000馬力を超えることも問題ない。
「2JZ-GTE」エンジンは、最高で1400馬力を超えることが知られている。この程度のコンバージョンでは、巨大なスーパーチャージャーを備えたシングルターボ化が一般的だ。レスポンスは悪化するが、トップエンドのパワーは向上する。ちなみに、スープラの6速マニュアルギアボックスは、ゲトラグと共同開発したもので、大きな力にも耐えることができ、「2JZ-GTE」の頑丈さの評価に貢献している。
2JZには自然吸気エンジンも用意された
「2JZ」には「2JZ-GE」と呼ばれる自然吸気エンジンも用意されていた。欧州では「レクサスIS 300」や「GS 300」などに搭載され、214~222馬力を発生した。この自然吸気エンジンもまた、非常に頑強だとされている。しかし、性能を大きく向上させるためには、「2JZ-GTE」よりもはるかに多くの努力が必要となる。ターボバージョンとは異なり、自然吸気エンジンは圧縮比が高く、ピストンが異なり、噴射ノズルが小さく、ピストンクラウンの冷却がないためだ。
余談: 「2JZ-GTE」の名声の大部分は、『ワイルド・スピード』に登場するオレンジ色の「スープラMK4」に負うところが大きい。しかし、ブライアンがトレットのガレージの外でトレーラーに乗せていたスクラップのスープラには、「2JZ-GE」自然吸気エンジンが搭載されていた。これが映画のミスなのか、意図的なものなのかは不明だ。
情報源: https://jza80.de/de/
Text: Moritz Doka
Photo: Toyota