2つのシークレットフロアはアルファの旧車で埋め尽くされている!ミラノの北、アレーゼにあるアルファロメオ歴史博物館訪問記
2024年4月23日
ミラノのアレーゼにあるアルファロメオ本社にはアルファ164プロカーをはじめとするお宝満載のミュージアム、ムゼオ ストリコ アルファロメオ(アルファロメオ歴史博物館)がある。魅力的なコンセプトモデル、プロトタイプ、特別なモデル、希少品など、ドアの向こう側を覗いてみよう。
アレーゼのアルファロメオ歴史博物館(Museo Storico Alfa Romeo)は本日休館日。ミュージアムの学芸員であるロレンツォ アルディッツィオ(48歳)は、神聖なホールを独占的に見学する時間をたっぷり持っている。まずはお馴染みのものをざっと見ていこう、1910年製の初代「A.L.F.A. 24 HP」、1954年製の息をのむような「ジュリエッタ」、1962年製の美しい「ジュリア」。ロレンツォはうっとりとした表情を浮かべ、「僕は66年製、67年製、72年製の3台のジュリアGTを持っているんだ」と自慢げに言う。
マルチェロ ガンディーニによるこのくさび形の習作、68年型「カラボ」の前に立つと、アルファの男の表情は一変する。ロレンツォは、まるでカルボナーラをスプーンで食べるような目で私たちを見て、「違う、違う、違う!」と言い、「カウンタックはカラボに似ている」と言った。ベルトーネのチーフデザイナーのペンによるランボの習作が届いたのは、それから3年後の1971年のことだったからだ。「ロレンツォ、これ以上遅くなる前に、シークレットカーを見せてください!」と我々は訴えた。
アルファの旧車で埋め尽くされた2つのシークレットフロア
再びドアが開くと、まるでパラレルワールドに飛ばされたかのような錯覚に陥る。ロレンツォがエンジンの横に立っている。内燃エンジンに電気モーターを取り付け、アクセルを離すとシリンダーのスイッチが切れるようになっているのだ。アルファがこのアイデアを思いつくとは、事故時にケーシングの下で液体がガソリンと混ざり合い、爆発を不可能にするタンクのアイデアと同様、私たちは信じなかっただろう。そして、ボッシュが特許を取得する前に、「アルファ156 JTD」がコモンレール式インジェクションを搭載した最初のディーゼルシリーズだったという事実ーロレンツォは誇らしげに微笑む。
「ゴルフ」より2年早い1972年に発表され、さらにその1年前には「カイマーノ」のコンセプトカーが発表されている。見た目はランボの弟分のようだが、ボンネットの下には「アルファスッド」の量産技術、たとえば86馬力の1.3 4気筒エンジンが搭載されている。乗り込むには、プレキシガラスのウィンドスクリーンが付いたドームを前方に持ち上げて開かなければならない。非現実的だが、とてつもないショーだ!おそらく、オランダのように平らなコンセプトカーは、料金所のバリアの下をくぐることができただろう。しかし、ジウジアーロは左右のサイドに穴を開け、切符を引いて支払いを済ませるようにした。
宇宙の驚異、ワンデーカー、習作
2つのシークレットフロアでは、クルマは所狭しと間隔を詰めて保管しているため、鑑賞するには引き出さなければならない。たとえばニューヨークタクシー。1975年、ニューヨーク近代美術館は、外見は小さく、中は大きく、燃料消費の少ない、理にかなったタクシーの提案を求めた。アルファとジウジアーロが提案したのは、全長4メートルの角張った箱で、後部両側にスライドドアがあり、運転手と5人の乗客が乗れるスペースがあった。加えて、「Z33フリータイム」のようなスタディモデルもあった。デザイナー、ザガートによるこの車はミニバンで、1984年のもので、大きなガラス面、わずか4メートルの長さ、茶色の豪華な内装、6人乗りである。
1966年、ジュゼッペ サラガット大統領が工場を訪問した際、歩いてはいけないという理由でオープンカーに改造された「ジュリア」のような1日限りの車の前を通り過ぎる。そして、1980年代末F1のサポートレースとして行われる予定だったツーリングカーシリーズ「プロカー」参戦用にレーシングテクノロジーを駆使して作られた「アルファ164プロカー」のような白昼夢。このクルマはF1のシャシーに164のボディを被せたようなもので、3.5リッターV型10気筒620馬力をミッドに搭載し、実際に時速329kmを記録したと言われている。
アルファは1956年からその歴史を収集してきた
アルファはコレツィオーネに286台、さらに2つのホールに180台を集めた。アルファは1956年という早い時期から自らの歴史をしまい始めていたのだ。最後に、ロレンツォが2台のプロトタイプを見せてくれた。「1959年にユーゴスラビアでこのジュリアをテストしたんだ。ジャーナリストはほとんどいなかったからね。そして、この1750年型ベルリーナには、皆さんを混乱させるために、ローバーのレタリングを貼りました」。
まあ、何と言えばいいのだろう。たくさんのアルファを目にして、アルファへの愛は深まるばかりだ。
フォトギャラリー: 秘密のアルファロメオ歴史博物館(Museo Storico Alfa Romeo)
Text: Andreas May
Photo: F. Roschki / AUTO BILD