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高性能ロードスター一騎打ち対決 アウディTT RS対ポルシェ ボクスターGTS 勝者は?

2020年8月4日

アウディTT RSロードスター対ポルシェ718ボクスターGTS 4.0: テスト、エンジン、価格

今回我々はTT RSとボクスターGTS 4.0を選んだ。アウディTT RSロードスターとポルシェ ボクスターGTS 4.0は大きな空とたくさんの風とエア。そして他にもたくさんの楽しみが備わっている。
そんな魅力的なオープントップ2台を比較してみた!

両車ともオープンまで約10秒

それは、アウディTT RSとポルシェ718ボクスターGTS 4.0のテキスタイル製オープントップが静かに折りたたまれて開くのにかかる時間が、どれだけ短いかということを示している。
そして、コンパートメント内に空気と光があふれ、森や草原、あるいはここ北部では湖の香りがドライバーの鼻先に漂い始める。
約100km/hまでは、両方の車とも、風を快適に受け流す。
しかし、時速130キロあたりからは、嵐のように荒れ狂うこともある。

ポルシェ ボクスターは、後ろから眺めたい。

ちなみに、ポルシェの方が、引きが強いのだが、それはまさに我々が望んでいることだ。
そして、ウィンドディフレクターは、凹みの中のあるべき場所に留まっている。
ボクスターは、フラットで幅広で路面に満ちており、絶対的なアイキャッチャーは驚くほど美しいリアだ。
インテリアは、多くのボタンや計器類を備えたテクニカルで多機能的なラインに沿ったものだ。
重要な古典的材料は、左側のイグニッションロックと、機器の中央にある大きなタコメーターで、GTS 4.0では赤く着色されている。タコメーターは9000回転まで駆け上がり、我々は次に何が起こるかを推測することができる。
しかし我々は必ずしもテストカーに備わったフルバケットシート(5355ユーロ=約67万円)が必要だとは感じない。
あなたはコックピットにパイロットのように縛り付けられて座っているが、出入りはそれほど若くないドライバーにとっては簡単なことではない。

ポルシェは幅広くがっしりしている。特にリアエンドは非常によくできている。

5気筒エンジンは、TTに多くの性格を与える

走っていると、多くの人々がアウディに関心を払って眺めている。
これは、鮮やかなカラミグリーン(Kyalami Green。450ユーロ=約5万6千円追加)のボディカラーのせいかもしれない。
しかし、またそれとは別に、TT RSは、網膜に鳥肌が立つような、がっちりとしたコンパクトな見た目を備え、細部にまで注意を払って愛情を込めて作られている。
特に、12.3インチのデジタルインストルメントクラスターにナビゲーションシステムが統合された美しいコックピットや、エアベントの中に設置された繊細な空調コントロールなどは、その典型的な例と言える。
TT RSは2.5リッター5気筒エンジンを搭載している。
今の時代、先代モデル同等の強烈なパワーを踏襲しているわけではないが、キャラクターは維持している。
5850回転時に400馬力、1950rpmの低回転域から5850rpmまでの広回転域で使える最大トルクの480Nm、発射順序は1-2-4-5-3。
それは塵のように乾燥し、かすれた、そして素直に単純に素晴らしいサウンドだ。

ポイズングリーンの弾丸。アウディはテストライバルよりもそのボディカラーで注目を集める。

アウディはTT RSを明らかにタイトに調整してあり、クロスジョイントで多少飛び跳ねたり、やや頑強になったりする可能性がある。
デュアルクラッチトランスミッションは、発進時に少しためらいがちにギアに入るものの、すぐに反応し、ステアリングは非常にダイレクトに応答するが、フィードバックはほとんどない。
要するに、アウディはドライバーに過度に何かを要求することなく素早く、そして活発にコーナーを曲がる。

ドライビングの比較では、アウディはポルシェに対して若干劣る

アウディも素晴らしいのだが、ポルシェは質が異なる。
エンジンから始めよう
我々が言いたいことは、「自然吸気」に限る!だ。
6気筒、4リッターの容量、7000回転で400馬力、最大トルクの420Nmは5000rpmからのみ利用可能。
ボクスターには急角度でトルクを上昇させるユニットは備わっていない。
回して、回して、回す必要がある。
そして、これほどまでに自然発生的に、毒々しく、ガスに反応するパワーユニットは他に存在しない。
ボクサーは、回転域(最大7800回転)を楽しく駆け抜け、素晴らしく直線的にパワーを蓄えていく。
サウンドもまた、喜びに満ちていて、スラスラと金属的な、鈍いゴロゴロとした音で、決して静かなものではない。
アウディほどシャープではないものの、きめ細やかなステアリングと、短くて正確な6速ギアボックスが、その楽しさを完成させる。
ポルシェは快調にカーブを曲がり、ボクサーエンジンは猛烈にプッシュし、トラクションは抜群で、コックピットに嵐が吹き荒れる。それはまるでバイクに乗っているかのようだ。

抵抗し難い魅力: アウディも良いが、ポルシェはさらに優れている。特にそのエンジンは非常に楽しい。

価格的には、ポルシェ ボクスターGTS 4.0は83,949ユーロ(約1049万円)から、アウディTT RSロードスターは71,050ユーロ(約888万円)からとなっている。
しかし、どちらかを選ぶかは他の要素も考慮する必要がある。
特にアウディは、非常に残念なことに、おそらくそれほど遠くない将来TTの生産を中止したがっているからだ。

【フォトギャラリーと結論と採点】

ポルシェ718ボクスターGTS 4.0

結論:
両モデルとも素晴らしい。
熱血ボクスターは、自然に吸気されるエンジンを備えた独自のリーグに属する。
しかし、TT RSも、素晴らしいエンジンと上品なデザインという長所を兼ね備えている。 一度乗り込めば、あなたはそれらのいずれからも降りたくなくなることは請け合いだ。

  • AUTO BILDテストスコア: アウディTT RSロードスター: 2-
  • AUTO BILDテストスコア: ポルシェ718ボクスターGTS 4.0: 1-

いまさらな話ではあるが、この2台は全く違う、と思う。
もちろんどちらも高性能すぎるほど高性能で、2人乗りのドイツ製ロードスターという点では共通しているが、実際には全く違うクルマだと私は思っている。

世の中の車好きで、この2台のどちらを購入するのか迷っている人がいるのかどうかはわからないが、少なくとも自分の家の本棚に、ずらりと老舗自動車雑誌が並んでいる人ならば、自分がどちらを買うべきか、あるいは本心から欲しいのはどちらなのか、その答えは最初から出ているのではないだろうか?

どういう風に違うのか?それはもう、生まれてきた経緯の違い、というしかない。
アウディTTは、本来FF(前輪駆動)あるいはクアトロシステムを搭載した4輪駆動の車をベースとして生まれた自動車である。いくらそれを高性能に、スポーツカーとして成立するようにエンジニアや設計者が努力して熟成したとしても、最初の出発点は変えようもない。
一方のボクスターは、911の下のクラスのモデルとして生まれた。本当はもっと軽快なライトウェイトだったはずのクルマだと僕は思うのだが、いつの間にか911と同じようにひたすら高性能で高価になり、今や第1級のスポーツカーとなった。だが最初はもう少しライトウェイトで安価な(500万円台くらい)を狙いとしていたように覚えている。
だがその際にもポルシェはエンジンを後ろ(というかミッドエンジンというべきか)に積み、あくまでもポルシェの文法に基づいて企画したクルマである。決してFFのシャシーを使ってとか、4輪駆動の車という考えはエンジニアの頭の中には毛頭なく、今もそれは変わらないまま、である。

つまりその時点ですでにこの2台は、自動車として全く違う。ドイツ生まれの高性能ロードスターという形はとっていても、共通する思想は持っていない。それはどちらが良いか、どちらが悪いか、ではない。あなたがどちらのクルマの成り立ちが好きで、どちらを自分の持つ理想に近いと感じ取ったか、そこにこそ解答があるのである。

Text: Dirk Branke, Mirko Menke
加筆:大林晃平
Photo: Uli Sonntag / AUTO BILD