一世を風靡したフェラーリのようなポルシェ リンスピード ポルシェR69ターボ

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スイスから来たこのポルシェ911ターボは一見フェラーリのように見える! このポルシェ911ターボには、テスタロッサのエラ(サイドエアインテーク)とポルシェ944のテールライトが取り付けられており、ほぼ400馬力を発揮する。このリンスピード製チューニングモデル、R69ターボは、1985年だけでなく、今またセンセーションを巻き起こそうとしている。

スイスの有名なチューナー、フランク リンダークネヒトは、その壮大なコンセプトカーで世界的なセンセーションを巻き起こした。1977年に設立された「リンスピード ガレージ(Rinspeed Garage)」は、当初、障害者向けの車を製作していたが、その後ポルシェ、VW、メルセデスなどのチューニングを行なうようになった。

この時期のハイライトの1台が1985年に発表されたポルシェR69ターボで、サイドエアインテークを採用したリデザインは、伝説のフェラーリ テスタロッサを連想させるものだった。

1985年のジュネーブモーターショーで、リンダークネヒトはR69ターボのコンセプトを発表して、世間を驚かせた。ベースとなったのはGシリーズの911ターボだった。リンスピードは車体を完全に再構築した。911の幅を広げ、ポルシェ944の折り畳み式ヘッドライトとテスタロッサスタイルのサイドエアインテークを備えたフラットなフロントを採用した。

テスタロッサのエラとウィングなしのリア

元ネタの?フェラーリ テスタロッサは1984年に生産が開始された。ピニンファリーナによるデザインは、今なお80年代のイタリアンカーデザインのシンボルとされている。印象的なサイドベントは、まったく新しいスタイルの要素であり、チューニングではしばしばコピーされた。リンダークネヒトはまた、ポルシェ ターボのために、ウィングのない全く新しいフラットなリアエンドを生み出した。しかし、ネジを外したリアスポイラーの下のインタークーラーはそのまま残されていた。さらに、ワイドになったリアには、ポルシェ944のテールライトが取り付けられていた。

サイドビューからは、ポルシェ911のサイドウィンドウの形状をはっきりと見て取ることができる。

395馬力の強さと20万マルク以上の高価なモデル

R69が何台生産されたかは不明だが、10台にも満たないと推測される。その中にはコンバーチブルバージョンもあった。また顧客はインテリアを個性化することができた。ステアリングホイールの精巧な多機能ボタンから、ハイエンドのステレオシステム、電動で調整可能なコンフォートシートまで、すべてが可能だった。911ターボの6気筒ボクサーは、バイエルンのポルシェのスペシャリストであるルーフによってリファインされた。ここでも購入者は、374馬力と395馬力のエンジン出力を選択することができた。装備にもよるが、R69ターボの当時の価格は19万~22万6000マルク(約1200万円~1420万円)だった。

2018年には、R69がシルバーストーンオークションで、9万ユーロ(約1300万円)という価格で競売にかけられた。この価格が高いか安いかはやや判断に困るが、当時の価格よりはずっと安いことだけは確かである。
デザインなどに関しては疑問も多いが、当時の残り香を懐かしむ人にとっては良いのかもしれない。

リンスピードは、R69ターボのコンバーチブルバージョンも作って提供していた。

Text: Matthias Techau