【中古車比較テスト】VWティグアン対BMW X1対アウディQ3 ベストセラーティグアンは本当にベストか?
2020年7月30日
冷静なドイツ人の目で見る、ドイツ製コンパクトSUV三台のストロングポイントとウィークポイント
コンパクトサイズSUVの中古モデルチェック。ベストセラーのVWティグアンを選ぶべきか? それともBMW X1とアウディQ3のほうが良いのか?
VWティグアンは、ドイツではベストセラーの一台であり、このクラスの代表的なモデルの一台でもある。我々の読者アンケートでも第1位となったフォルクスワーゲンのコンパクトSUV、2007年に登場したティグアンは、価格的にも2009年からBMW X1と直接競合しており、フォルクスワーゲンの子会社であるアウディは2011年からQ3を発売した。3台ともシックで高価だが、実際、技術的にはどれがどのように上なのか?
ここで注意しなければならないのは、これらは視覚的な好みでも、個人的な好みでもなく、ブランドロイヤルティでもないということだ。技術的な要素のみが客観的かつ冷静に評価される。3台のSUVのうち、最新のものはアウディQ3である。インゴルシュタットを拠点とするアウディは、長年にわたり、素材の品質のみならず全体的な品質の面で常にトップの座を占めてきた。
Q3はまた耐久性にも優れている。
高年式の個体のトラブル発生は平均よりもかなり低い。非常に耐久性が高いのは、アクスルサスペンション、ステアリング、照明、排気システムだ。さらにQ3のオイル漏れはめったにない。実際には、中古車購入者が注意を払うべき重要なポイントが2つだけある。それらは、錆びたブレーキディスクと壊れやすいサスペンションだ。10万キロ耐久テストでQ3 2.0 TDIは第4位に甘んじたが、これはテスト終了直前に発生したギアボックスの損傷が原因だった。しかし、アウディQ3は、上記のような弱点を除けば、老齢になってもほとんど問題を起こさない、ほぼ常に堅実な中古モデルの購入候補となっている。
ドライビングプレジャーと品質が融合したBMW X1
BMW X1は、そのプレミアム基準に文句なく適合している。すべてのテストカテゴリーにおいて、2015年から利用可能な2代目(タイプF48)の評価は、優れた価値を示している。SUVの典型的な病気であるシャシーでさえ、X1のものはクオリティの面で他に比して際立っている。先代(タイプE84、工期2009年~2015年)の欠陥率も、このセグメント平均を大きく下回っている。しかし、初代のパーキングブレーキの効果の欠如が指摘されることが多い。サポートジョイントやサイレントベアリングに遊びがある可能性も少なからずある。我々が実施した10万キロ耐久テストでは、X1 18dが最高点を獲得し、優れたオールラウンダーと称賛された。
弱点のあるフォルクスワーゲン ティグアン
そして、今回の本筋であるベストセラーのVWティグアンはどうだろうか?このクラスのコンパクトSUVは新車としてだけでなく、中古車としても市場には大きな需要が常に存在する。しかし、マーケットリーダーに問題がないわけではない。
原則として、我々のテストでのティグアンの性能に関しての評価は肯定的なものだ。ステアリング、乗り心地、排気システムなどはポジティブに評価されている。オイル漏れも問題ない。弱点は明らかにシャシーとブレーキ、そしてトランスミッションにある。
特に初代モデル(2007年~2016年製)ではブレーキディスクの劣化が目立つ。ホイールサスペンション、特にフロントのウィッシュボーンも耐久性が落ちていることが多い。また、1.5トンを超えるSUVのスプリングやダンパーも不良の改善が必要とされる。サスペンションやブレーキに問題さえなければ、中古のティグアンも良い買い物になる。そのよく知られている弱点を特に細かく検査してもらうことが重要だ。以下に、X1、Q3、ティグアンの中古車を購入する際の注意点を明らかにする。
【ABJのコメント】
今回のテストはドイツ的であるし、ドイツだからこそ成り立つともいえるが、日本でも中古車になった場合、今回のテストに選ばれたフォルクスワーゲン ティグアンとBMW X1 とアウディQ3の間に価格差は、ほぼない、と言ってもよいと思う。というのも中古車というのは言うまでもなく一台一台程度のちがう商品だからで、年式や走行距離の差によって、フォルクスワーゲンでもBMWでもアウディでも自由に選ぶことができることこそが中古車の醍醐味でもある。
そう考えると今回の客観的な評価も生きてくるわけだが、本文中にもあるようにそれぞれの車とも消耗する部分を確実に持っているし、それなりの年式ではそれなりの維持費も必要になることは言うまでもない。個人的には一番実用本位でけれん味のないフォルクスワーゲン ティグアンが毎日の生活の中では使いやすそうで好みだが、信頼性に関してはいまいち不安も残る。そしてそんな故障や消耗品交換時には、フォルクスワーゲンだろうがBMWだろうが、ちゃんと同じように修理費がかかるので冷静になると、本当にフォルクスワーゲンでいいのか、という自問自答に陥ってしまう。やはり私のような車好きが、そのメーカーなどを無視して車を選ぶことは無理な相談なのかもしれない。
Text: Adele Moser
加筆:大林晃平