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【このクルマなんぼ?】6輪駆動ジャイアントピックアップ メルセデスG55 AMG 6×6 その安価な理由は?

2020年7月28日

メルセデスG55 AMG 6×6(2003): 購入、価格、サイズ、ブラバス

これが一番安いメルセデスG 6×6だ! メルセデスG 63 6×6はオフロード車の王様だ。中古でも100万ユーロ(約1億2500万円)台の超高値の車だ。この1台はその数分の1の価格だが、そこには、それなりの理由がある。

6つの駆動ホイール、ツインターボからの544馬力、そして絶対的に圧倒的なパフォーマンス。
メルセデスG 63 AMG 6×6は、間違いなく武闘派だ。
それを運転する人は誰でも、巨大な自我と財布が少なくとも同じくらい必要となる。
通常、その中古車は100万ユーロ(約1億250万円)より若干安い値段程度で売買されている。
アメリカで、このG 6×6がオークションに出品されたが、146,000ユーロ(約1825万円)という最高入札額はほとんど法外なほど低いものだった。
その理由は、このG 6×6がレプリカだったためで、その低い落札額は偶然ではない。

2018年に行われたこのコンバージョンのベースとなったのは、2003年式メルセデスG 55 AMGだった。
ウクライナのチューニング会社、VIP-LIMは、G 63 6×6の驚くほど見た目の似たコピーを作った。
このプロジェクトの背後には、膨大な量の作業と細部へのこだわりがある。
フレームは、積載スペースと第3アクスルのためのスペースを確保するために、リアまで延長されている。
アクスルはボルボの軍用トラックのものを使用している。
トランスファーケースとデフはメルセデスのトランスミッションの変速比に合わせたものだ。
そしてもちろん6輪すべてを駆動する。
このモンスターピックアップのブレーキには、オリジナルのG 55 AMGブレーキに加えて、スロット付きディスクが採用されている。

544馬力の代わりに476馬力、ツインターボの代わりにコンプレッサーを採用
ホイールとタイヤはVIP-LIMによるとオリジナルの6×6からのものだという。
メガGは、G 55からの476馬力5.4リッタースーパーチャージドV8を搭載し、5速オートマチックトランスミッションと組み合わされている。
0から100km/hまで5.6秒、最高速度210km/hまで加速する。

ハンドルやヒンジを含むテールゲートは、メルセデスG 63 AMG 6×6のオリジナルパーツだ。

オリジナルとほとんど見分けがつかない

ルックスは、素晴らしいほどにそっくりだ。
そして、それ以上に印象的なのは、このコンバージョンがきわめてオリジナルのタイプに近いことだ。
マッドガード、シュノーケル、エアスクープ、フロントリップ、ルーフアタッチメントはカーボン製で、オリジナルのものでも、ブラバスの6×6でも、全く同じものを見つけることができる。
チューナーによれば、サイズはメルセデスのプロトタイプのものと正確に対応しているという。また、オリジナルに忠実なのは、「マットグレーマグノ」と呼ばれるメルセデスのペイントとG 63のエプロンである。
しかし、その一方でチューナーはいくつかの新しいことも試みた。
例えば、目に見えるカーボンファイバーは、意図的に本物の6×6とは異なる織り方をしている。ブラックのフロントライトはブラバスのもので、ニューモデルをベースにしている。
パナメリカーナスタイルのラジエーターグリルも本来はこの6×6モデルにはない。
とはいえ、これは6×6オーナーなら誰でも自分の車にできる改装なので、コンバージョンはプロにしかわからないだろう。

ボンネットのエアインテークとサイドのシュノーケルは、ブラバスのパーツをベースにしている。

内装にはコンバージョンの原点を見ることができる。

コクピットは20年近く前のGクラスのものであることは間違いない。
しかし、これにも多くの時間が費やされている。
インテリア全体が新しくレザー張りにされ、後部にはBMW 7シリーズE65からのコントロールを備えたシングルシートがあり、さらに新しいステアリングホイールと多数のカーボンファイバー製のトリムストリップが施されている。
減速やアクスルロックなどのボタンはすべて完全に機能している。

このシリーズで2台目の6輪車

変換コストがいくらかかったかは不明だ。
作業時間は言うまでもなく、部品代だけでも莫大な費用がかかったのではないだろうか。
改造には約11ヶ月かかったと言われている。
2018年に作られた「G 55 6×6」はフロリダ(アメリカ)で登録されている。
この車両がオーダーメイドでリビルトされたのか、改造後に購入してフロリダに輸出されたのかは不明だ。
いずれにしても、現時点ではアメリカでオークションに出品されているはずだ。
最高入札額は16万7000ドル(約1837万円)。
作業量とオリジナルの価格を考えれば、これはかなりお得???だろう。

シャーシの高さが1センチ低くなったことを除けば、すべての寸法がオリジナルと一致している。

このクルマに興味のある人にとってはラッキーなことに、売り手はより高い入札価格を期待して、今回はGを手放さなかった。
したがってこの車は近い将来、「carsandbids」に再登場するはずだ。
売り手は最低価格を指定していないが、200,000ユーロ(約2500万円)でもオファーは魅力的なものだろう。
中古車データに興味のある方へ。
このG 55 66は、無事故車で、走行距離は157,394km相当と言われている。
フロリダ州で公道使用のための登録もされている。
売り手はどうやらランドローバー ディフェンダー6×6も出品しているようで、明らかにこの手の6輪車に弱いようだ。
 
このメルセデスベンツ ゲレンデヴァーゲン6×6は本文中にもあるように、メーカーの作った車ではなく、改造車である。そんなことを言ってしまえば、そもそもホンモノの?ゲレンデヴァーゲン6×6だって、オリジナルのゲレンデヴァーゲンを6輪にした改造車だろう、と言われてしまうかもしれないが、あちらはちゃんとしたマグナシュタイアプフのラインから生まれた車であり、そういう意味では派生車種ということができる。

その本物のゲレンデヴァーゲン6×6は日本でも8000万円のプライスタグをつけられて5台が限定で発売されたことはまだ記憶に新しい。メルセデスベンツ日本の社長である上野金太郎さんも思い切ったことするなあと思いつつ、その絶妙にうまい話題作りにも頭が下がったものだ。さすがに実物を運転したことはないが、止まっている車を見たことはある。それは自動車というよりも、蒸気機関車とか、コマツの建設機械くらいの大きさと質量感だったことを覚えている。

そんな8000万円の車が今はプレミアムがついて、1億円以上もの値段で取引されているということを聞いてびっくりしたが、それならば過走行のゲレンデヴァーゲンを改造してゲレンデヴァーゲン6×6(風)を作ってしまえ、というのが今回の話である。
写真を見る限りでは大変よくできているし、街ですれ違ったときに、本物か偽物を見分ける自信はまったくない。それほどまでに良くできているし、その労力を考えれば妥当な価格だろう。

さらに本物のゲレンデヴァーゲン6×6だろうがなんだろうが、実際にこの車で冒険旅行に出かける人などいようはずもなく、主戦場は青山という山や、品川という川だったりするのだろうと思う。そういう人には、この格好だけの車でもいいじゃないか、安いんだし(?!)、これでもいいじゃないか、と言ってしまえばそれまでだが、まあそもそもメルセデスベンツ ゲレンデヴァーゲンを都会で乗るなんてのは、そんなスタイル優先な行為なのである。

実際にはホンモノとは明らかに異なった車だし、運転しても違いは明白だろう。そしてあくまでも改造車なのだから、なんらかのトラブルで走行不能になる可能性も高いはずである。そうなった場合には、さすがに金太郎さんも困った顔をするだけだろうから、格好だけで購入する場合にはくれぐれも気を付けて欲しい。

リアはオリジナルとまったく同じ様相を備えている。

Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: VIP-LIM.COM.UA