【動画付き】ホイールのサイズで加速性能が変わる 時速222kmをアウディRS6アヴァント車内で体感

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アウディRS6アヴァント(2020): 0-100km/加速、ホイール交換、0-200km/h加速

これはホイールサイズの違いでアウディのRS6アヴァントがどのように変わるのかという面白い実験だ。あなたは21インチと22インチのどちらのホイールをRS6用に望むだろうか? アウディはどちらもオプションとして用意している。このテストは、ホイールの変更が影響するのはルックスだけではないことを証明する。

アウディRS6には、2つのホイールオプションを備えた「EXワークス」が用意されている。
基本的なバージョンは、21インチのホイール(10スポークスターデザイン、10.5 J x 21、タイヤ275/35 R 2)に600馬力のRS6アヴァントだ。
だが、2,000ユーロ(約25万円)以上の投資をすると、ホイールアーチを埋める22インチホイール(5Vスポークの台形デザイン、10.5J x 22、タイヤ285/30 R 22)に交換できる。
我々のテストは、RS6のホイールの選択が決して見た目だけではないことを証明する。

ホイールを小さくすることで、RS6の走行性能はさらに向上した

我々のスーパーテストでは、サイズの異なるホイールが加速値やラップタイムに反映されることが明らかになる。
小さなホイールを装着したRS6は、0から100km/hまでの加速が大きなホイールを装着したRS6より速い。
21インチのホイール(ピレリPゼロタイヤ装着)では、ローンチコントロールを使用した場合、100km/hという速度に到達するのに3.3秒しかかからない。
より太く重い22インチホイールを装着した場合、600馬力の出力で、100km/hに到達するのに、21インチホイール仕様より、0.1秒遅い、3.4秒かかる。
22インチホイールには、ハンコック ベンタスS1エボタイヤが装着されている。
両方のホイールの組み合わせとも、メーカーの公表している、0-100km/h加速数値の3.6秒を下回っている。
0から200km/hまでは、ホイールが小さい方が0.2秒のリード(11.7秒(21インチ)/11.9秒(22インチ))を得ている。

重さに関しても小さなホイールは、ここでも優位性を保っている。
2,112kg(21インチ)に対して、2,138kg(22インチ)という26キロの差だ。つまり1輪あたり、ざっと6.5kgの違いということになる。

RS6の22インチホイールは、ホイールアーチを完全に埋める。

サーキットでは22インチの方が速い

それにもかかわらず、サーキットでは、21インチは重量のアドバンテージを生かせない。
これはタイヤにも原因がある。
RS6のシャシーは、ハンコックと22インチホイールとの相性が、特にサーキットにおいて良い。
22インチホイールを装着したRS6は、1周する間に少しグリップ力が増し、ABSの反応も良くなるため、ラウジッツリンクでのテストでは、22インチホイールで重量が増してもラップタイムが遅くなることはない。
ラップタイムは、22インチのホイールで、1分35秒85、21インチで1分36秒37という結果だった。

今回のテストは個人的に大変興味深い。

昔の(?)良識ある自動車雑誌のインプレッションでは「タイヤサイズは必要最小限なものがベスト」、「むやみにホイールインチアップはしてはいけない」、という文章が繰り返し登場し、そのころに薫陶を受けたものとしては、今でももちろん、必要最小限なタイヤがベストで、むやみなインチアップは悪、その車に最初についてきたタイヤサイズが一番あったサイズ、無駄にいじっちゃいかんという認識、なのである。
そういう昔の人間からすれば18インチとか19インチのタイヤでも「大きいなぁ」とつぶやいてしまうし、今回の21インチとか22インチといったタイヤは軍用車両とかUFOが履くようなサイズに感じてしまう。

という話はともかく、今回の比較は興味のある話であり、最終的にどちらがベストかということまで書いてあれば、より良かったとも思う。
邪推ながらおそらく今回のテスターは22インチのほうを勝者としたかったようだが、それはサーキットの話であって、一般的な路上ではいったいどちらが本当に良かったのかは大変気になる。というものも、本文中に記されている通り、21インチと22インチでは4輪で26kg、ということは1輪で6.5kgの差が生じている。これはかなりの重量で、これまたさんざん「ばね下重量」のことを繰り返し自動車雑誌に説かれたものとしては、ものすごい重量差に感じてしまうのである。
サーキットのような鏡の面のように滑らかな路面ならまだしも、一般の路上でこの1輪6.5kgがどれほどの影響力を持ち、車の挙動や乗り心地に差異をもたらすことになるのか、その点は大変気になるし、おそらく決して少なくない違いが21インチと22インチの間には存在すると予想される。

さて、話は最初に戻るが、その車に一番合っているタイヤサイズとは、いったいどれなのだろうかという疑問であるが、私の考えでは、「その車が開発される時に、どのタイヤサイズで想定され、設計されたか、そのサイズこそが一番あったタイヤである」という考えである。そしてその真実のタイヤサイズを追求したいのであれば、その車を開発したエンジニアと友達になって、おいしいものなど食べながら一杯やって、本音を聞き出すことが最高の解決法だと思う。

あとは動画でお楽しみください。

Text: AUTO MOBILE SPORTS
加筆: 大林晃平