【伝説のEクラス物語】メルセデスW124には特別なモデルがあった!希少かつクレイジーなスペシャル「E」の5台とは?
2024年3月13日
メルセデス・ベンツ Eクラス(W124):W124シリーズにはクーペやカブリオレなど多くバリエーションがあったが、エステート仕様のE36 AMGやロングホイールベース仕様の260 E、ブラバス E6.5など、クレイジーですらある特別なモデルを誰が知っているだろうか?
80年代から90年代にかけてのメルセデスの中で「W124」型シリーズほど多様性に富んだモデルは他にない。メルセデスは4つのボディスタイルと10数種類のエンジン、そしてワークスモデルを提供した。日常から離れ、特別なシリーズからチューニングカーまで、エキサイティングで、奇妙で、珍しい例外があった。ここでは、「W124」の最もクレイジーなバリエーションを紹介する!
メルセデスのエステートにAMGのパワーを搭載したE36 T
まずはAMG E36 T(1994年製)から。AMGの協力により、ノーマルモデルの「S124エステート」は、ソリッドなエンジンチューニングとパワフルな272馬力、17インチホイールと235タイヤを備えた「E36 T」に生まれ変わった。
外装には、フロントスカート、シルパネル、リアスカートを備えた、ハデなAMGスポイラーセットが装着されていた。この試乗車の最初のオーナーは、AMGスポイラーセットはオミットしてメッキのグリルをボディ同色にしただけの仕様で、外装色は落ち着いたマラカイトグリーンを注文した。
内装は、印象的なものにしたかったという。彼は明るい色のフルレザーインテリアを注文した。サンルーフ、オートエアコン、電話、ルーフライニングの下にラウドスピーカーを追加したHi-Fiシステムも含めて、請求額は当時21万2000マルク(約1,765万円)だった。
172台製造された「E36 T」の中でも、おそらく最も高価なモデルのひとつで、走行時には荒々しいサウンドが響き、4速オートマチックギアボックスにもかかわらず、しっかりとした加速が得られる。最高速度は240km/hで、「AMGスポーツ エステート」はV8搭載の「E 500」より10km/h遅いだけだが、より広く、より実用的である。おそらくこの組み合わせが、「E 36 T」を最も魅力的なW124にしているのだろう。
Eクラスのリムジンとしてのメルセデス 260E
メルセデスは1990年から1994年にかけて、ロングホイールベース仕様の「V型124」をごく少数販売した。ボディ特装メーカーのビンツとの共同生産による6ドアは、当時は理解されなかったが、今日、カラーコード「904」の威厳のあるダークブルーの「260E ロング(V124)」は異彩を放っている。
パワーステアリング、エアコン、電動ウィンドウ、レベリングコントロールなどの実用的な装備が標準装備され、最小の6気筒ガソリンエンジン(初代260馬力、後に280馬力)または5気筒ディーゼルエンジン(250馬力)のみが搭載された。
試乗車では、小さくて滑らかに回る直6がサイレントサーヴァントの役割を完璧に果たした。その160馬力は、静かに堂々と走り続けるにはまったく十分なものだ。222,000km以上走行しているにもかかわらず、ボディにきしみが聞こえず、ねじれも感じられないという事実が、メルセデス・ベンツの基準で丁寧に造られた、その堅牢な構造を物語っている。
3列目に座って主賓の気分を味わう。この感覚を伝えられるバンやエステートカーがあるだろうか?
Boschert B300-24 Sport(ボシャート B300-24 スポーツ)は4人乗りのSLを目指した
この「124」のオリジナルパーツはドアとトランクリッドのみ。フロントバンパーとボンネットは自作のGRPパーツで、「SL(R129)」のラジエーターグリルを加工してビルトイン。
フロンフェンダーとリアサイドパネルは標準パーツのように見えるが、Cピラーは約25cm前方に移動されている。ホイールベース、インテリア、駆動系に変更はない。
プロポーションがおかしく、トランクが小さすぎる。4バルブ直列6気筒エンジンは高回転を好み、オートマチックギアボックスは早めのシフトチェンジをする。リモコンでエンジンを始動できるのも、このクルマには合っている。しかし、このクルマの何がいいのかよくわからない。
B300-24はスポーツカーのような走りではなく、あくまでCE 300-24の走りだ。220馬力の4バルブ直列6気筒エンジンは高回転を好み、オートマチックギアボックスは早めにシフトし、穏やかに、そしてアクセルに従順に進んで行く。
このブラバス E6.5 V8は暗黒の力だ
「ブラバス E6.5 V8」のベースとなったのは「E500」。「バッジグリル」と白いウインカーを備えた「124」モデルシリーズは、1993年夏の終わりに、フェイスリフト(“Mopf 2”)の一環として、新鮮な顔を与えられた。
V8をブーストアップしたチューンドバージョンも、ボディに派手な装飾を施していないのがうれしい。ワイルドなワイド化やスポイラーがない代わりに、18インチのホイールセットが凄味を利かせている。
ボアアップされたV8の排気量は6.4リッター強で、必要以上に大きい。「M119」シリーズからの8気筒自然吸気エンジンは450馬力を発揮する。最高速度285km/hまで一気にブラバスを加速する。
見た目とは裏腹に快適性をもたらすサスペンションのチューニングは秀逸。ブレーキキャリパーの赤いBRABUSのレタリングは、ホイールを通して控えめに輝いている。
Eクラス カブリオレ(A124)、E220ファイナルエディションとして最後に登場
約34,000台が製造された「W124」シリーズのカブリオレは、サルーン、エステート、クーペのいずれに対しても希少である。「A124」がファイナルエディションの一部となれば、その希少性はさらに増す。
ファイナルエディションは、1996年10月から1997年7月までの間に、カルマンで合計1,390台製造され、ブラックレザーインテリア、バールウッド、エアコン、ローダウンサスペンション、17インチAMGホイールが標準装備されていた。
スポーツラインパッケージは廃止され、カラーとエンジンのみが選択できた: 136馬力の「E200」、150馬力の「E220」、220馬力の「E320」。購入者のほぼ半数は、より大きな4気筒エンジンを積んだ「E220」を選んだ。このミドルクラスコンバーチブルは愛好家のための車であり、スポーツドライバーのための車ではない。
時代を超越したフォルムと4シーターとしてのデザインだけでも、A124カブリオが特別な存在であることは事実だ。
結論:
大幅に改造されたクーペ、特別仕様のコンバーチブル、パワフルなエステートとサルーン、はたまたロングホイールベースとW124 Eクラスには実に個性的なバリエーションが存在した。しかし、「S124」Tモデルと「500E」の元オーナーである私は、「AMG E36 T」がオールマイティーな124であると確信している。これほどオールマイティーで、かつ素晴らしく異彩を放つクルマは他にはない。さて、皆さんは「メルセデス300 TE AMG」もご存知だろうか?
Text: Jan-Henrik Muche