テスト ここまでやるかドイツ人 日本では見たこともないキャンピングカーの比較テスト

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理屈抜きで面白い バンクベッド付きボックスバン: モーターホーム比較テスト

ダブルの方がよく眠れる
パネルバンで4人旅?
二段ベッドがあれば大丈夫!
フォルスター、シャウソン、XGOの6m移動式ホーム3台を試乗してみた。

パネルバンの良さは、なんといってもコンパクトなことだ。
これがあればどこへでも行ける。
でも、そこに行きたい人はみんな一緒に来てくれるのだろうか?
2人なら、こんなバンが理想的。
しかし、4人のキャンパーが一泊しなければならないとなると、大変なことになる。
それともそうじゃない?

二段ベッドですべて解決

今回のテストに供されたフォルスター、シャウソン、XGOの3台のモーターホームは、いずれも、幅約1.4メートルのリアの横型2段ベッドを兼ね備えている。
これにより、縦型ベッドやダブル横型ベッドに代わる実用的な空間を提供している。

今回の旅のゲストは、幅の狭い大人2人と子供2人だ。
そうでなければ、一緒に旅行するのは好きだが、ベッドを共有するのは好きではない仲良しのお友達二人。
または、時々孫を連れて出かけて行くことがある高齢者など。
あるいは、あの休日のキャンプ気分に憧れるノスタルジックな人。
フォトギャラリーでは、3人の候補車を間近で見ることができる。

パネルバンは非常にコンパクトであるため人気がある。これさえあればどこにでも行ける。しかし、4人のキャンパーがその中で一晩を過ごさなければならないとなると、実際には少し窮屈にならざるを得ない。フォルスター、シャウソン、XGOの3台のテスト候補車がその解決策を提案してくれる。
シャウソンV594マックスから始めよう。
フランスのモーターホームの大ベテランメーカーであるシャウソンが40周年を迎え、そのアニバーサリーに合わせて、ボックスバンを贅沢に装備した「ロードラインエディション」を出してきた。4人用か5人用のどちらかの寝台を選べるようになっている。価格は40,990ユーロ(約512万円)から。
V594マックスは、贅沢なプログラムを備えた高貴なバンだ。フロントシートの上にある大きくてシックなパノラミックルーフ(スカイルーフと呼ばれる)は、白い食器棚の前板とライトグレーの木の装飾が施された明るいデザインのインテリアに、驚異的なスペースとたっぷりの光をもたらしている。
折りたたみ式のテーブルと伸縮式のキッチントッププレートは、クリーム色の成型樹脂でできており、大理石のような外観をしている。いずれもアニバーサリーエディションには含まれていないので、プレミアムパッケージ(3500ユーロ=約43万円)を追加する必要がある。質感などを考えると意外と高い。
2台の2段ベッドは工場出荷時に選ぶことができる。スラット付きのフレームは完全に取り外すことができる。
ベッドが取り外されている場合は、素晴らしく長いローディングエリアが形成される。左のストレージコンパートメントの下には、水タンクと暖房ホースが含まれている。2本の5キロのガスボンベは、2つのバーナーコンロ、ボイラー、冷蔵庫にガスを供給する。
シャワーカーテン付きのバスルームは、やや狭くて窮屈だ。
エレガントな黒のコントロールパネルは標準装備として利用できる。
優れた「ロードライン」装置を使用すると、90リットルのディーゼルタンク、リアビューカメラ、16インチアルミニウムリム、140馬力エンジン、並びにクルーズコントロールを利用できるようになっている。さらに、我々のテストカーには、プレミアムおよびトラベルパッケージと日除けが付いていた。数多くのエクストラな装備が取り付けされているにもかかわらず、シャウソンは779キロの積載量を誇り、我々の比較では高得点を獲得した。
オプションの160馬力エンジン(2000ユーロ=約25万円)は、運転の楽しさだけでなく、燃費にもプラスの効果をもたらす。車両重量が2721キログラムの最も軽量なパネルバンであるシャウソンは、リッターあたり9.4kmと、好燃費をもたらす。
フレーム窓のおかげで(スカイルーフがあるにもかかわらず)、3台の候補の中で最も静かである。これは完成度の高さを証明するものだ。
テストコースでのみ、ESPがあまりにも臆病に制御していることが明らかになる。回避行動を取るときにリアアクスルが不安定な挙動をみせるからだ。
フォルスター バン599 VBでテストは続く。そう、フォルスターは今、パネルバンを作っているのだ。2020年シーズンに向けて、トリガーノグループに属するメーカーは、フィアット デュカートをベースにしたキャンピングカーの最初のコンセプトを提示した。そのキャンピングカーは2段ベッド付きのバン599 VBを含む、4種類のレイアウトから選ぶことができる。
バン599 VBは、しっかりとした作りのバンで、美しい雰囲気を醸し出している。フォルスターモバイルらしい、ブラウンの革張りのシートこそ、やや暗い印象を与えるものの、それ以外のリビングやスリーピングエリアは、ライトブラウンのウッドと白い表面の仕上げが新鮮に映える。お洒落できれいな空間である。
お手入れも簡単だ。炊飯器とシンクが接続されたモジュールによって、掃除が楽になる。
スライド式のシンクにもかかわらず、バスルームは少し手狭だ。
家具のデザインや部屋のレイアウトは見慣れたものだ。そう、我々のテスト車のフォルスターとシャウソンは、ベッドの構造の点で、ほぼ同じだ。
二段ベッドの個々のパーツも、簡単に取り外すことができる。
しかし、我々はXGO X-Van 5の折り畳み式バージョンの方が好きだ。理由は簡単で、折り畳み式のほうが、作業が楽だからだ。
フォルスターやシャウソンのような多くの部品での組み立て作業は、パズルのように、時間と頭を要する。やや工夫と労働が必要だ。
オプションの長いリストは、やや魅力的なベース価格の喜びを減少させる。
フォルスターは、圧力水ポンプ、ディーゼル ヒーター(シャウソンのように)と、3台のテスト車の中で唯一、3つのよく配置された USB ソケットが付属している。
多数の、しかし価格の高いエクストラを備えた、私たちのテストカーは、それでも手頃な価格を維持している。
だが、収納スペースに問題がある。フォルスターには、運転席の上にシックなスカイルーフも収納スペースも備わっていない。パネルバンの愛好家は、ラゲッジコンパートメントがいかに実用的であるかを、身をもって経験し、理解している。だが、残念なことに、2段ベッドがあるためにスリーピングエリアの収納スペースまでなくなってしまっている。その分の荷物収納スペースは出発前に考えなくてはいけないだろう。
総重量は約3.3トンだが、積載量に関してはタイトだ。
オプションの140馬力(790ユーロ=約9万8千円)を備えたフォルスターは、十分なパワーを備えており、リッターあたり9.1kmと、より経済的なシャウソンよりもわずかに燃料消費量が多いだけだ。
ドライブ中の騒音は最小限に抑えられているものの、家具の柔らかい音とロッカードアの取り付けがやや緩くなっていることは否めず、様々なノイズが聞こえた。
その代わり、我々のテスト走行中に、ショートバンのESPは非常に効率の良いブレーキングを提供してくれた。
ステアリングだけが少しダイレクト感に欠ける。
そして我々の比較テストの第三候補は、4つの座席と折り畳み式寝台を備えたXGO X-Van 5だ。価格は35,999ユーロ(約500万円)からと、3台中最も安いモーターホームだ。
ダークブラウンの木目調の家具は、シャウソンやフォルスターのインテリアデザインほどシックで新鮮さはないものの、汚れには強い。シックなスカイルーフの代わりに、XGOには運転席の上に便利な深い収納スペースがある。
しかし、引き出しの中を覗いてみると、どこを節約しているのかがすぐに明らかになる。内側は塗装されておらず、現在ほとんどのメーカーで標準となっている開口部のソフトクローズシステムも欠落している。
XGOは、テストカーの中で唯一、薄型テレビ(1,999ユーロ=約25万円)を装備していた。完全にストレートにカットされた家具の背もたれは、ご覧のとおりすぐに腰痛を招く。
プラスチック製のバスルームは掃除がしやすい。
大きなパネルはそれほど近代的ではないが、すべての必要な情報を表示する。
下部2段ベッドのコンバージョンコンセプトは、我々を納得させた。フレームは折りたたんでマットレスと一緒にロックされる。このようにして、1台のベッドを船内に残し、積載スペースをフルに利用することができるようになっている。なかなかこれはクレバーだ。
XGOにはガス暖房が付いているが、後部には5キロのガスボトルを入れるスペースしかない。バッテリーはリア右の収納ボックスから簡単に取り出せる。
シャウソンとフォルスターと異なり、XGOの車内には購入時にオプションで追加しなければならないエクストラがいくつかある。例えば、助手席エアバッグ、電動/ヒーテッドドアミラー、パーキングセンサー、クルーズコントロールなどだ。その他のオプションは、非常に魅力的な価格のパッケージで提供されている。
それでは、ドライビングインプレッションをしてみよう。
リッターあたり8.9キロという3台中もっとも燃料消費量が多い。
家具やパネルは、走行中に少しチャリチャリとガタガタと音を発する。
しかし、唯一の本当の不穏な要因はキャブの後ろにあるルーフハッチで、しつこくて迷惑な口笛を鳴らし続けることだ。
そういったノイズでもわかるように全体的な質感に欠けることは残念である。

結論:
二段ベッドはイエスかノーか、これはよく考え抜かれなければならない。上部のベッドが使用されていない場合は、すぐにストレージスペースの不足についてイライラするので、コンセプトは、万人のためのものではない。
最高の解決方法は、折りたたみバージョンを備えたXGOによって改善されるが、製作費用を節約したために品質は他の2台に比べて明らかに劣っている。
シャウソンは、スカイルーフとシックなインテリアデザインのおかげで、空間の広さを感じさせてくれる。
フォルスターは、多くのおまけがついているにもかかわらず、手ごろな価格としっかりとした仕上がりで高得点を獲得している。

第3位: XGO X-Van 5
製作費用削減で手ごろな価格。
テストカー3台の中で一番安いだけでなく、手厚い装備パッケージも!? 
お財布に優しいXGO。
残念なことに、そのために品質は他の2台に比べて劣っている。
インテリアは、より人間工学に基づいた、より良い加工によって改良される余地がある。
ベッドの変換のソリューションは賢い。

第1位:
第一位は、合理的なフォルスターバン599 VBとシャウソンV594マックスの2台が分け合う結果となった。
グリーンのフォルスターは、価格性能の勝者でもある。しかし、運転席の上の部分の使用されていないスペースを有効活用して、もう少し収納スペースが欲しいところだ。

第1位:
同じく1位に輝いたのは、マニア向けの高級バン、シャウソンV594マックスだ。
シャウソンの「ロードラインエディション」は、整然としたベースに、大型エンジン、スカイルーフ、ストーン仕上げなど、シックなフランス車は、私たちを夢中にさせる何かを与えてくれる。贅沢にはコストがかかるが、インテリアの質は申し分ない。
何が欠けているか? 間違いなくUSBソケットだ。

シャウソンV594 マックス フォルスター599 VB XGO X-Van 5
テクニカルデータ
エンジン ディーゼル ディーゼル ディーゼル
排気量 2287cc 2287cc 2287cc
最高出力@rpm 160PS@3500rpm 140PS@3500rpm 120PS@2750rpm
最大トルク@rpm 380Nm@1500rpm 350Nm@1400rpm 320Nm@1400rpm
最高時速 163km/h 140km/h 130km/h
トランスミッション 6速MT 6速MT 6速MT
駆動方式 前輪駆動 前輪駆動 前輪駆動
前後ブレーキ ディスク/ディスク ディスク/ディスク ディスク/ディスク
テストカータイヤ 225/75 R 16 CP 215/70 R 15 CP 215/70 R 15 CP
タイヤ ミシュラン アギリスキャンピング コンチネンタル ヴァンコキャンパー コンチネンタル ヴァンコキャンパー
燃料タンク容量 90リットル 75リットル 75リットル
トランク容量 2500kg 2000kg 2000kg
全長×全幅×全高(mm) 5990×2050×2610mm 5990×2050×2610mm 5998×2050×2659mm
ホイールベース 4035mm 4035mm 4035mm
価格
基本価格(ベーシックエンジン搭載) 40.990ユーロ(約504万円) 37.990ユーロ(約467万円) 35.999ユーロ(約442万円)
テスト車価格 50.760ユーロ(約624万円) 43.520ユーロ(約535万円) 43.487ユーロ(約534万円)

以前から日本の自動車雑誌のテスト対象が、セダンかスポーツカーか各種SUVばっかりなのは、つまらないなぁと長年思っていた。
世の中にはもっともっと多種多様な車が存在しているのだから、様々な車種のテストやインプレッションがあってもいいんじゃないか、と現在でもそう思う。

例えば世の中に沢山存在する軽トラックや、軽のワンボックスの比較テストなどはどうだろう?決してニーズは少なくないはずなのだが、残念ながらまだ見たことがない。

同様にこれだけ大人気にもかかわらず、キャピングカー(モーターホーム)の紹介記事やインプレッションを、総合自動車雑誌で見かける機会はめったになく、それがいったいどういうものなのかを知らないというのが普通だろう。
今回ドイツ本国のアウトビルトでは、ヨーロッパのお手頃モーターホームを3台そろえて、比較テストを実施している。大切なのは1台ではなく、比較している、ということで、この点だけでも彼らのやる気と、ヨーロッパにおいてこういう種類の自動車がどれだけ市民権を得ているかということの証左であろう。

さらにこのテストでは燃費をはじめとするデータやオプションなどを考慮した場合の価格なども記されているが、興味深いのは車内の写真でちょっとした食べ物を並べたり、ワインを飲んだりしているカットがあることで、この写真の有無はリアリティの強弱と密接に関係しているだろう。

まあ天邪鬼なものの見方をするならば、こんなものカッコウつけた写真を写すための小道具と演出だろう、と言ってしまえば身も蓋もないが、それでもこのカットをはじめ、多くの写真がいかにも楽しそうに見えるのは妙にうらやましいではないか。
まじめに車をテストすることも、比較インプレッションをすることもちろん必要だし大切だ。でもこんな風に、キャンピングカーの楽しさを人肌で伝えるような記事を、大真面目に、そして心から楽しみながら作っている彼らの精神的豊かさと洒落っ気を素直に羨ましく思う。

Text: Jenny Zeume
加筆:大林晃平
Photo: Bernd Hanselmann / AUTO BILD