ここまでやるかドイツ人!日本では見たこともないキャンピングカーの比較テスト
2020年7月19日
理屈抜きで面白い バンクベッド付きボックスバン: モーターホーム比較テスト
ダブルの方がよく眠れる?パネルバンで4人旅?二段ベッドがあれば大丈夫!フォルスター、シャウソン、XGOの6m移動式ホーム3台を試乗してみた。
パネルバンの良さは、なんといってもコンパクトなことだ。これがあればどこへでも行ける。でも、そこに行きたい人はみんな一緒に来てくれるのだろうか?2人なら、こんなバンが理想的。しかし、4人のキャンパーが一泊しなければならないとなると、大変なことになる。それともそうじゃない?
二段ベッドですべて解決
今回のテストに供されたフォルスター、シャウソン、XGOの3台のモーターホームは、いずれも、幅約1.4メートルのリアの横型2段ベッドを兼ね備えている。これにより、縦型ベッドやダブル横型ベッドに代わる実用的な空間を提供している。
今回の旅のゲストは、幅の狭い大人2人と子供2人だ。そうでなければ、一緒に旅行するのは好きだが、ベッドを共有するのは好きではない仲良しのお友達二人。または、時々孫を連れて出かけて行くことがある高齢者など。あるいは、あの休日のキャンプ気分に憧れるノスタルジックな人。
結論:
二段ベッドはイエスかノーか、これはよく考えた方がいい。上部のベッドが使用されていない場合は、すぐにストレージスペースの不足についてイライラするので、万人のためのものではない。最高の解決方法は、折りたたみバージョンを備えたXGOによって改善されるが、製作費用を節約したために品質は他の2台に比べて明らかに劣っている。シャウソンは、スカイルーフとシックなインテリアデザインのおかげで、空間の広さを感じさせてくれる。フォルスターは、多くのおまけがついているにもかかわらず、手ごろな価格としっかりとした仕上がりで高得点を獲得している。
第3位: XGO X-Van 5
製作費用削減で手ごろな価格。テストカー3台の中で一番安いだけでなく、手厚い装備パッケージも!?お財布に優しいXGO。残念なことに、そのために品質は他の2台に比べて劣っている。インテリアは、より人間工学に基づいた、より良い加工によって改良される余地がある。ベッドの変換のソリューションは賢い。
第1位:
第一位は、合理的なフォルスターバン599 VBとシャウソンV594マックスの2台が分け合う結果となった。グリーンのフォルスターは、価格性能の勝者でもある。しかし、運転席の上の部分の使用されていないスペースを有効活用して、もう少し収納スペースが欲しいところだ。
第1位:
同じく1位に輝いたのは、マニア向けの高級バン、シャウソンV594マックスだ。シャウソンの「ロードラインエディション」は、整然としたベースに、大型エンジン、スカイルーフ、ストーン仕上げなど、シックなフランス車は、私たちを夢中にさせる何かを与えてくれる。贅沢にはコストがかかるが、インテリアの質は申し分ない。何が欠けているか?間違いなくUSBソケットだ。
テクニカルデータ
シャウソンV594 マックス | フォルスター599 VB | XGO X-Van 5 | |
エンジン | ディーゼル | ディーゼル | ディーゼル |
排気量 | 2287cc | 2287cc | 2287cc |
最高出力@rpm | 160PS@3500rpm | 140PS@3500rpm | 120PS@2750rpm |
最大トルク@rpm | 380Nm@1500rpm | 350Nm@1400rpm | 320Nm@1400rpm |
最高時速 | 163km/h | 140km/h | 130km/h |
トランスミッション | 6速MT | 6速MT | 6速MT |
駆動方式 | 前輪駆動 | 前輪駆動 | 前輪駆動 |
前後ブレーキ | ディスク/ディスク | ディスク/ディスク | ディスク/ディスク |
テストカータイヤ | 225/75 R 16 CP | 215/70 R 15 CP | 215/70 R 15 CP |
タイヤ | ミシュラン アギリスキャンピング | コンチネンタル ヴァンコキャンパー | コンチネンタル ヴァンコキャンパー |
燃料タンク容量 | 90リットル | 75リットル | 75リットル |
トランク容量 | 2500kg | 2000kg | 2000kg |
全長×全幅×全高(mm) | 5990×2050×2610mm | 5990×2050×2610mm | 5998×2050×2659mm |
ホイールベース | 4035mm | 4035mm | 4035mm |
基本価格(ベーシックエンジン搭載) | 40.990ユーロ(約504万円) | 37.990ユーロ(約467万円) | 35.999ユーロ(約442万円) |
テスト車価格 | 50.760ユーロ(約624万円) | 43.520ユーロ(約535万円) | 43.487ユーロ(約534万円) |
以前から日本の自動車雑誌のテスト対象が、セダンかスポーツカーか各種SUVばっかりなのは、つまらないなぁと長年思っていた。世の中にはもっともっと多種多様な車が存在しているのだから、様々な車種のテストやインプレッションがあってもいいんじゃないか、と現在でもそう思う。
例えば世の中に沢山存在する軽トラックや、軽のワンボックスの比較テストなどはどうだろう?決してニーズは少なくないはずなのだが、残念ながらまだ見たことがない。
同様にこれだけ大人気にもかかわらず、キャピングカー(モーターホーム)の紹介記事やインプレッションを、総合自動車雑誌で見かける機会はめったになく、それがいったいどういうものなのかを知らないというのが普通だろう。
今回ドイツ本国のアウトビルトでは、ヨーロッパのお手頃モーターホームを3台そろえて、比較テストを実施している。大切なのは1台ではなく、比較している、ということで、この点だけでも彼らのやる気と、ヨーロッパにおいてこういう種類の自動車がどれだけ市民権を得ているかということの証左であろう。
さらにこのテストでは燃費をはじめとするデータやオプションなどを考慮した場合の価格なども記されているが、興味深いのは車内の写真でちょっとした食べ物を並べたり、ワインを飲んだりしているカットがあることで、この写真の有無はリアリティの強弱と密接に関係しているだろう。
まあ天邪鬼なものの見方をするならば、こんなものカッコウつけた写真を写すための小道具と演出だろう、と言ってしまえば身も蓋もないが、それでもこのカットをはじめ、多くの写真がいかにも楽しそうに見えるのは妙にうらやましいではないか。
まじめに車をテストすることも、比較インプレッションをすることもちろん必要だし大切だ。でもこんな風に、キャンピングカーの楽しさを人肌で伝えるような記事を、大真面目に、そして心から楽しみながら作っている彼らの精神的豊かさと洒落っ気を素直に羨ましく思う。
Text: Jenny Zeume
加筆:大林晃平
Photo: Bernd Hanselmann / AUTO BILD