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【このクルマなんぼ?】80年代のアイコン ネオクラシックカーのプライスチェック デルタ インテグラーレ、CRX、ゴルフ2 GTIほか

2020年7月20日

ゴルフ2 GTI 16Vはやはりお手頃価格のコンパクトスポーツカーだ!運動性能の高い80年代のコンパクトスポーツカーは需要が高く、その多くがヒーローとして人気を博している。だがその中には、ゴルフ2 GTI 16Vのように、手頃な価格のものも多い。現在のヨーロッパにおけるその市場価格を紹介しよう。

「小さな車に大きなエンジン」というレシピは、特に80年代には、手頃な価格でドライビングを楽しむため、大流行した。「ホットハッチ」と呼ばれる、馬力のある小さなハッチバックは、当時の若者たちにとってのヒーローだった。そして、往年のファンは、今日もGTIやその仲間たちを愛して、探し求めている。「これらの車は時代全体を形作ってきました」と、マーケットオブザーバーであるクラシックデータ社のマリウス ブルーネ氏は言う。しかし、高い需要と価格の上昇にもかかわらず、多くのモデルは手頃な価格を維持している。

ゴルフ2 GTIは、ゴルフ1 GTIの半分の価格だ

VWの初代ゴルフGTIの価値が急騰している。1976~77年の初代モデルは2016年あたりから150%以上も値上がりしており、トップモデルの価格は今では2万ユーロ(約250万円)を大きく超えている。その後継のゴルフ2は、より控えめな価格になっている。標準的なゴルフ2 GTIの価値は、「初代GTI」の半分以下に過ぎない。

クラシックデータ社の情報では、コンディション2のゴルフ2 GTI 16Vの価値は、9700ユーロ(約121万円)で、コンディション3であれば、5900ユーロ(約73万円)くらいから入手可能だとしている。しかし、この状態も、長くは続きそうにない。新車当時26,045マルクだったゴルフ2 GTI 16Vは、今では最も人気のあるオールディーズの一台となりつつある。未改造の個体は、すでに見つけにくい状態にある。ラリーゴルフやG60リミテッドのような希少モデルに至っては、25,000ユーロ(約312万円)以上、あるいはほぼ50,000ユーロ(約625万円)という、高次元のリーグで売り買いされているほどだ。まあどちらも、かなりの希少車であるから仕方ないが。

139馬力ゴルフ2 GTI 16V(1986~88年)。10,000ユーロ(約125万円)は手の届く金額だ。

価格上昇がひと段落したランチア デルタHFインテグラーレ

コレクターの市場での高価な例外モデルはランチア デルタHFインテグラーレだ。80年代のラリーでの成功は、デルタHFインテグラーレの高い人気を維持させ続けている。2010年代半ばに価格が爆発した後、良い状態の個体なら、今では30,000ユーロ(約375万円)以上の費用がかかり、1990年代初頭からの「エボ」は、その2倍もする高価なものだ。しかし、どこもかしこも、現在は価値の上昇が鈍化傾向にあるようだ。コレクターたちは、数百台しかないスペシャルシリーズに特別な興味を持っている。「ジアロジネストラ(Giallo Ginestra)」「ブルーラゴス(Blu Lagos)」「ヴェルデヨーク(Verde York)」「ディーラーズコレクション(Dealers Collection)」などのスペシャルエディションモデルは、8万ユーロ(約1000万円)以上で取引されることが多い。

210馬力ランチア デルタHFインテグラーレ16VエボI(1992年)。値上がりはほぼ止まった。といっても、まだまだ日本でも根強い人気を誇る1台だ。

近年の「ホットハッチ」セグメントで最も高価な車は、プジョー205ターボ(1984~85年)である。グループBのホモロゲーションモデルで、205シリーズとの共通点はほとんどない。特に最強の200馬力プジョー205ターボ16ホモロゲ取得用ロードカー(全輪駆動、ミッドエンジン、240台のみ製造)の価格は、15万ユーロ(約1875万円)を超えている。

Photo: Ronald Sassen
Photo: Ronald Sassen
プジョー205ターボ16。これまたレアな80年代のアイコンモデル&ラリーレジェンドだ。
Photo: RM Sotheby’s

フォード フィエスタXR2とホンダ シビックCRXがお手頃価格

クラシックデータ社によれば、市販の「ホットハッチ」は5000~1万ユーロ(約62~125万円)と、初心者にも優しい価格で今も広く販売されているという。最も安いのはフォード フィエスタXR2(1983年~89年)で、コンディション3で2300ユーロ(約28万円)だが、今となっては非常に希少だ。フォードの小型ハッチバック、フィエスタXR2は、旧型の84馬力のケントエンジンではなく、97馬力の1.6リッターエンジンを搭載している。ほとんど注目されていないことが、価格の安さを説明している。

人気のTV番組、「名車再生!クラシックカーディーラーズ」で、エドの手によって再生されたフィエスタXR2を、美しいイギリス人女性がマイクから購入したのを、覚えておられる(ニヤニヤしながらご覧になった)方もいるのではなかろうか。80年代にはとても人気のあった小型ハッチバックだ。日本にも正規輸入されていた時代があった。
Photo: Roman Raetzke

ファンやコレクターの間で関心が高まっているにもかかわらず、まだ安いのはホンダのシビックCRXだ。使用可能な車はまだ5000ユーロ(約62万円)以下で手に入る。後継モデルのED9(1987年~)でさえ、より人気があり、より優れているにもかかわらず、同じような価格レベルで売り買いされている。傾向としては、今後、価格が徐々に上昇すると思われる。

100馬力のホンダ シビックCRX(1983年~1987年)。カルトジャパニーズカーへの関心は高い。今見てもデザイン、内容ともたいへん魅力的だ。

オペル カデットD 1.8 GTEの価格が上昇中

Dカデットの中でも、GTEはコンディション2で10,700ユーロ(約133万円)、コンディション3で5500ユーロ(約68万円)と圧倒的に高価だ。生産期間の短さと生存率の低さから、希少なコレクターズアイテムとなっている。価値の上昇が弱まっているとはいえ、供給の薄さが、売り手を強気にしていて、中には公示価格を大幅に上回るものもある。

115馬力オペル カデットD 1.8 GTE(1984年)。市場に出てくるのが稀だというのが、値段が高止まりしている理由だ。オペル 80年代には日本の街中でも見かけた1台だ。今や土にかえってしまった車がほとんどだろうが。

そして、高価なエキゾチックなモデルといえば、サンビーム ロータス(1979~81年)がある。1981年の世界ラリー選手権で優勝したにもかかわらず、スコットランドのリンウッドでタルボットの指揮のもとに製作された後輪駆動のロータス4バルブエンジン(2308基)は、長い間、コレクターたちのレーダーに引っかからず、数年前にようやく「発見」された。数年前のその「発見」がきっかけとなり、価格が100%近くも高騰した。現在、サンビーム ロータスはコンディション2が26,000ユーロ(約325万円)、コンディション3でも17,000ユーロ(約212万円)する。

1977年から生産された後輪駆動のタルボット サンビーム。そのトップモデルが、2.2リッターエンジンで150馬力を発揮するサンビーム ロータスだった。

Text: Martin G. Puthz