最強バージョンの190E 2.5-16エボリューションII 走行距離1万キロ以下 お値段は?

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メルセデス190E 2.5-16エボリューションII: 価格、パフォーマンス、購入

新品同様のこの190エボIIは、お買い得な価格で購入できる。2.5-16エボリューションIIはメルセデスW201の中で最もパワフルなバージョンで、今日ではカルトカーとなっている。現時点で、走行距離1万キロ未満のほぼ新品同様の個体が販売され話題となっている。

1990年、メルセデス190 E 2.5-16エボリューションIIは、W201シリーズのトップモデルとして市場に登場した。
このスポーツサルーンをベースに開発されたグループAのレーシングツーリングカー、略して「エボII」で、メルセデスベンツは1992年シーズンのDTM選手権で初の3位を獲得した。
このエボIIは、FIAがDTM用グループA車のホモロゲーションを行うための最低台数である502台が生産された。
そのすべてが「ブルーブラックメタリック」に塗装され、17インチのホイール、露骨なフェンダーエクステンション、調整可能な巨大なリアスポイラーを装備していた。
現在、プレイデルスハイム(バーデン=ヴュルテンベルク州)にある、「メカトロニック(Mechatronik)」で、わずか9300キロしか走行していない2.5-16エボリューションIIが販売されている。

提供されたエボIIの性能データは、今日の水準でも立派なものだ。
16バルブエンジンは235馬力を発揮し、ベンツを7.1秒で0から100km/hまで加速する。
最高速度は250km/hで、レブリミットは7700rpmという高回転型だ。
また、エボIIは特大ステアリングホイールの左に小さなスイッチがあり、3段階に車高を調整できる。

30年で9,300キロしか走行していない

このエボIIは1990年5月にシンデルフィンゲンのメルセデスベンツ工場で製造され、その2ヶ月後の1990年7月13日にアウクスブルクのメルセデスベンツ支店に納車されている。
以後8年間、同支店のショールームで、展示車両として展示され、イベントの際にのみ出かけて行った。
1998年には、アメリカ人レーシングドライバーのガンター ティールがこの車両を手に入れた。
その後21年間、190はレーシングドライバーのコレクションの一部となっていたが、彼がこの車を動かすことは非常に稀だった。
その結果、スピードメーターは、現時点では、わずか9,307キロを示している。

インテリアは、古典的なチェック柄のファブリックを組み合わせたブラックレザーが使用されている。

428,400ユーロ(約5355万円)

「クラシックデータ」では、エボIIを、コンディション2で210,000ユーロ(約2625万円)、コンディション3で、130,000ユーロ(約1625万円)と評価しているが、「メカトロニクス」は、このエボIIのために、428,400ユーロ(約5355万円)のプライスを要求している。
それは非常に高価にも聞こえるが、これほどの低走行距離、完璧な歴史と絶対的な最高の状態で、このような個体を見つけることは非常に稀だろう。
つい最近、同様のエボ IIが英スコッツデールで、434,000ドル(約4774万円)でオークションにかけられた。
「メカトロニクス」は、車の全体的な状態を「新品同様」と説明している。
売り手によると、詳細なペイントコートの測定により、この車がオリジナルの塗装状態を保っていることも確認されたという。

純正モデルのみに備わったジャイアントリアウィング。190E 2.5-16エボリューションIIは502台のみが製造された。

また、質の高いボディワークと高級感のあるウッドの装飾を備えた居心地の良いインテリアは、そのままの状態を保っている。
長年にわたる使用にもかかわらず、車両は無傷の状態にある。
特に、エボIIのシャシーは欠陥が発生しやすいが、2019年11月に大規模なカスタマーサービスを受けている。
エボIIは、市場投入時には115,259ドイツマルク(約800万円)という購入価格だったから、今はざっとその6倍以上のプライスなのである。

メルセデスベンツの黄金時代?といえば、やはりW201 とW124 とW126 が惑星直列のようにラインナップされ、そこにR129 のSLと、ゲレンデヴァーゲンとSECが加わっていたあの時代、という意見は多い。私自身もそんな人間の一人なわけだが、そのころの「最善か無か」の時代、W201の190Eに追加された、2.3-16と、2.5-16は、それはもう特別なクルマだった。
価格も特別なら内容も特別で、今の街で見かけるAMGとかBMWのMとかとは、比較にならないほどの存在感と希少性を持っていたものである。
さらにその中でもエヴォリューションモデルといえば、特別も特別、見かけることさえ希なクルマだったし、一種のスーパーカーであったと言ってよい。
今回のエボリューションⅡはそんな気持ちを抱く人間にとっては、間違いなく魅力的だし、希少さ満点な一台ではあることは間違いないが、いくら新車に近いコンディションとは言われても5000万円と聞くと急に夢から覚めてしまうような気持になる。
ついこの前(とはいっても、10年ちょっと前くらい)には、環八か目黒通りのどこかのお店で見かけた時は、4桁万円の価格ではなく、ポルシェ911の新車よりずっと安いくらいの価格だった、と記憶している。それがいつの間にかロールスロイスの新車と同じくらいのプライスをぶら下げている事実……。
30年という年月、希少性、そして走行距離とコンディションを考えれば、これはけっして暴利な価格ではないのかもしれない。だが(当たり前だが)1億円の半分という価格を見るにつけ、あの黄金時代の頃の車たちは、もうすっかりクラシックカーになってしまったのだ、ということも認識させられるのである。

Text: Matthias Techau
加筆:大林晃平