スーパーSUV比較テスト 最強のSUVはどちらか アウディRS Q8対BMW X6 M 一騎打ち

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アウディRS Q8対BMW X6 M: テスト、高級&高性能SUV、V8エンジン、価格

いずれも最高性能バージョンであるアウディRS Q8とBMW X6 Mは限界知らずで、信じられないほど強力で、高速で、高価だ。2台のスーパーSUVを比較してみた。

彼女は世界征服をくわだてる邪悪なエレクトラ(ボンドガール=仏女優ソフィー マルソー)、しかこうしボンドは答える。
“ワールド・イズ・ノット・イナフ(世界は十分ではない!)”
それはボンドがチタン製装甲のZ8を操った1999年の同名の007作品の中の話だ。
しかし次にボンドが乗る英国車以外の全身鎧(フルボディアーマー)に適しているのは、
例えば、このBMW X6 MやアウディRS Q8などではないだろうか。
ヘビー級SUVクーペであると同時に高性能スポーツカーでもあるこれらのクロスオーバーは、車としては明らかに十二分なモデルであり、人々を唸らせるライセンスを持っている。
そして、それはどのようなものか、我々が明らかにする。

アウディはRS Q8を比較的控えめに仕立て上げた

より印象的な外観を備え持っているのは、X6 Mだ。急な傾斜のルーフと、目を見張るような怪物的なリアが、人目を惹く。決して慈悲深いものではないが、それがまさにBMWスーパーSUVのあるべき姿だ。
それに比べて、とても優雅とは言えないアウディは、角張っていて、威圧的で、控えめとは決して表現できない。しかし、インテリアはクールで透明感があり、ハイグロス、クローム、そして3つの大型タッチスクリーンモニターが見事に融合している。また、張りのある硬さと高い長距離走行時の快適性がちょうどよくミックスされたスポーツシートプラス(追加料金3350ユーロ=約41万円)もお勧めだ。
BMWの有名なMマルチファンクションシート(標準装備)は、さらに優れた形状で、何十通りにも調整が可能で、肩の部分もしっかりとサポートしてくれる。

BMW X6 Mはスプリントでライバルを凌駕する

X6 Mでは、ドライバーは道路により近く座り、インテリアは2つの大きなディスプレイと奇妙に湾曲した計器を持つ、現在のBMWのレイアウトに沿ったものだ。
リアは、X6 M、RS Q8の両モデルとも、充分なスペースを備えている。特に、BMWは、ルーフの形状から心配されるよりもゆったりとしたスペースを提供している。しかし、深く取り付けられた座り心地の悪いリアシートが厄介ではある。
一方、アウディは、驚くほど広々としている。リアシートは縦に動かすことができ、背もたれの角度を調整することもできる。
エンジンに関しては、2台ともに、ほとんど息を呑むようなデータが出てくる。
RS Q8は、マイルドハイブリッドシステムと48ボルト電動システムを搭載した、4.0リッターV8ツインターボが600馬力を発揮し、2200rpmという低回転時から800Nmという最大トルクを発揮する。
一方、BMWに搭載されている4.4リッターV8ツインターボは、最高出力625馬力、アウディより低い回転域1800rpmから、750Nmの最大トルクを発揮する。
ヘビー級SUVにもかかわらず、2台ともに、驚異の加速性能を誇る。
X6 Mは完全停止状態から100km/hまで3.7秒、200km/hまで12.9秒で加速する。
一方、RS Q8は、0から100km/hまで3.8秒、200km/hまで13.8秒で加速する。

しかし、これらは実際の体験や感覚を語る上では何も語られていない些細な数字である。
両車のその獰猛なパワーと凄まじいまでの牽引力のミックスには驚くほどだ!
猪突猛進とはまさにこのことで、2台のジャイアントサイズSUVは、その場から過激にダッシュをはじめ、原子のような力でただただ地平線の彼方を目指して猛進する。
そして、彼らは後ろに備わった太いテールパイプからガスとともに強烈なエグゾーストサウンドを吐き出す。

どちらも動きの異なるキャラクターを映し出す

残念ながら、サウンドトラックを追加することはできないのが残念ではあるが、なかなか素晴らしいメロディーだ。
X6 Mでは次のようにシリンダーは点火される。1-5-4-8-6-3-7-2。
またアウディはさらに温かみのあるサウンドである一方、BMWのものはやや人工的すぎるきらいがある。
運転の仕方は、人柄の問題ではあるが十分に注意してほしい。
四輪駆動とステアリング、アダプティブダンパー、エアサスペンション、ロールスタビライザー、リアアクスルのスポーツデフなど、技術的にはどちらも最高レベルにある。
X6 Mは、どんな冒険にも対応できるようになっている。覚醒した緊張感とともに、細かく神経質なステアリングであらゆる状況でもドリフトを楽しめる。野生の神経の塊のような、限りない楽しさがあるが、長いドライブではかなり疲れるだろう。
RS Q8は走行速度がBMWに対して劣ることはないが、より穏やかでバランスのとれたニュートラルな走りをする。
よってロングドライブではこちらのほうが楽である。

次はハンドリングの話だが、BMWに優れたステアリングが備わっていなければ、アウディは全面勝利していたであろう。この部分ではBMWのほうが自然なハンドリングであるといえよう。

さあ最後に価格に行こう。
2台のテスト車の価格はどちらも約150,000ユーロ(約1875万円)だ。
万民に対してすすめられる価格とは決していえない!

【順位と結論】

800点満点中512点で第1位: アウディRS Q8
パワフルなV8、卓越したパフォーマンス、巧みなチューニング、そしてきちんとした快適性をも備えている。
また、広々としており、実用的な内装が施されている。

800点満点中500点で第2位: BMW X6 M コンペティション
目を引くデザイン、パワフルなV8、卓越したパフォーマンス、見事なハンドリング。
だがQ8に比べて、タイトで快適性という面でやや劣る。

結論:
アウディとBMWは、誰も質問していなかった質問に見事な答えを出した。
RS Q8とX6 Mは、多くの点で印象的で、大きく重いものの、速い。
私たちは、モスクワとドバイの男たちに楽しんでもらうことを願い、ドイツのエンジニアリングの生んだ2台の優れたモデルを嬉しく誇りに思う。

ハンドリングを除いてはアウディRS Q8のほうが、主にロングドライブや悪天候時には楽で快適であるといえる。価格に関しては一般的とはとてもいえないが、こういうクルマはそういうものだから仕方ない、ともいえる。また蛇足ながら、こういうクルマを所有する時には、ガソリン代だけではなく、タイヤやブレーキなどの消耗パーツに関しても、多大な出費が必要だということも忘れてはいけない。

重く大きい自動車ほど、ブレーキとタイヤに負担がかかるし、両車とも驚くほど大きく太いタイヤを履いているので、交換する場合には30万円前後の出費がかかったとしても文句を言っては絶対にいけない。そういうものなのだから。さらにタイヤが減ったり、ブレーキが十分でなかったりしたら、どちらのクルマにも備わった高度で複雑な電子デバイスが設定通りに作動することができないということも忘れてはならない。
どんなに優れた電子デバイスであっても最終的にはタイヤを通じて、ごく小さい面のみで路面に伝えられている。それはどんな車でも同じだが、こういう大きく重く、高性能な自動車ほど依存度が大きく、ゆえにタイヤが減ってしまっているのであれば、普通のクルマ以上に危険な存在になりえる。
新車での性能を維持するためには、頻繁にタイヤをチェックし、ブレーキパッドやディスクなどもまめに点検し、どちらも十分以上な状態であることを必ずチェックするべきである。

誰もが高性能を享受できる時代ではあるが、だれもがずっと魔法使いのままであったり、ずっとスーパーマンのままなわけではない。超高性能である時間には明確な期限があるということを、決して忘れてはいけないのである。

【フォトギャラリー】

優雅とは言えないアウディは、角張っていて、威圧的で、控えめとは決して表現できない。
クールでクリアなスタイルで、ハイグロス、クローム、鮮やかな光学系を備えた3つの大型タッチスクリーンモニターを組み合わせた素晴らしい素材で構成されている。
張りのある硬さと高い長距離の快適性がちょうどよくミックスされたスポーツシートプラス(3350ユーロ=約41万円)もおすすめだ。
急な傾斜のルーフと、目を見張るような怪物的なリアが、人目を惹くBMW X6 M。
X6 Mでドライバーは、より地上に近く座り、インテリアには2つの大きなディスプレイと奇妙な曲線を描く計器類があり、現在のBMWのレイアウトと一致している。
BMWの有名なMマルチファンクションシート(標準装備)は、優れた形状で、何十通りにも調節可能で、肩の部分もしっかりとサポートしてくれる。

Text: Dirk Branke, Dennis Heinemann
加筆:大林晃平
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD