【このクルマなんぼ?】わずか12台しか製造されなかった史上最強のマセラティ「マセラティ MC12 コルサ」 その落札価格は?
2024年1月26日
マセラティMC12コルサ(2007)は史上最強のマセラティであり、わずか12台しか製造されなかった。1月末にパリで開催されるオークションにオレンジ色の唯一の個体が出品される!
755馬力、公道走行不可、12台のみ製造: 「MC12コルサ」は、史上最も過激なマセラティである。1月末、RMサザビーズのオークションハウスがシャシーナンバー「0008」を推定価格280万~350万ユーロ(約4億4,800~5億6,000万円)で競売にかける!
2004年、マセラティはセンセーションを巻き起こしたスーパースポーツカー、「MC12」を発表した。「MC12」は技術的には「フェラーリ エンツォ」と密接な関係にあり、同じ6.0リッターV型12気筒632馬力(エンツォは660馬力)を搭載していたが、外観はまったく異なっていた。全長5.14メートルの「MC12」は、ホワイト/ブルーのみの設定で、タルガルーフを備えていた。
レーシングカーとして設計されたMC12
多くのスーパースポーツカーとは異なり、「MC12」は当初からレーシングカーとして設計されていた。50台のロードバージョン(2004年と2005年にそれぞれ25台ずつ、微妙にニュアンスが異なる)は、主にホモロゲーションのために必要だった。厳密に言えば25台で十分だったが、予想以上の需要があったため、2005年にも25台のMC12(マセラティ コルセ12気筒の略)が生産された。
「GT1」として知られる「MC12」のレーシングバージョンは、当初から大成功を収めた。ビタフォンとJMBレーシングの両チームがエントリーしたレーシングカーは、2005年と2006年にFIA GT耐久選手権を席巻し、「MC12 GT1」は続く2007年、2008年、2009年にも、スパ24時間などの名高いレースでの勝利を含む数々の成功とタイトルを獲得した。その結果、「MC12」は長年にわたって耐久選手権のベンチマークとなった。
史上最強のマセラティ
FIA耐久選手権の初タイトルを記念して、マセラティは2006年に「マセラティMC12」の特別なスモール(超限定生産)シリーズを発表した。「MC12コルサ(バージョンコルセとも呼ばれる)」は公道走行ができず、「GT1」と密接な関係にあった。FIAのレギュレーションに準拠する必要がなかったため、マセラティはV12が自由に呼吸できるようにエアフローリストリクターを取り外すことができた。最高出力755馬力@8000rpmのコルサは、「GT1」よりもパワフルであっただけでなく、マセラティ史上最もパワフルなモデルであった。
「コルサ」の車重はロードバージョンより200kg近く軽い1,150kgに収まっている。そして、レーシングバージョンにはドライビングエイドがない。つまり、ABSもトラクションコントロールもない。755馬力のパワーを手なずけるのは、ドライバーだけである。これが成功すれば、「MC12コルサ」は停止状態から時速200kmまでわずか6.4秒(!)で加速する。
MC12コルサの生産台数
「MC12コルサ」が何台製造されたかは、「GT1」マシンと「MC12コルサ」が混在していたこともあり、議論が分かれるところである。マセラティは公式に、12台の「MC12コルサ」のカスタマーカーと1台のプロトタイプが存在することを確認している。伝えられるところによると、12台の「コルサ」のうち、少なくとも3台は公道ライセンスが後付けされているという。
12台すべてが”ヴィクトリーブルー”のカラーで納車される予定だったが、顧客の特別な要望があれば他のカラーも可能だった。「MC12コルサ」には、ブラック、シルバー、ホワイト、オレンジの4色があることが知られている。”アランチョ”カラーのシャシーナンバー0008は、2007年にドイツのコレクターに引き渡された。
この価格帯のクルマにありがちなことだが、オレンジ色の「MC12コルサ」は、おそらく唯一のもので、ほとんど運転されなかった。とはいえ、定期的に整備と点検が行われていた。さらに、1月31日にパリで開催されるオークションに向けて、元「マセラティ コルセ」のメカニックによる大規模なエンジンのオーバーホールが行われる予定だ。
推定価格: 280万~350万ユーロ(約4億4,800~5億6,000万円)
この車両は、追加のホイールセット、燃料供給システム、豊富な資料を含むコンプリートセットとして提供される。推定落札価格は280万~350万ユーロ(約4億4,800~5億6,000万円)だ。ちなみに、2007年の新車価格は正味100万ユーロ(約1億6,000万円)だった。つまり、「MC12コルサ」が推定価格を達成すれば、それは堅実な投資であったことが証明されることになる。
但し、この仕様では、公道を走ることも、公式レースシリーズに参加することもできず、プライベートのサーキット走行でしか使用することができないクルマということだ。しかも「MC12コルサ」が単にうるさすぎるというリスクがある。そういう意味では、非常に高い買い物になる。
その一方で、将来のオーナーは、現代で最も成功したレーシングカーのひとつを手に入れるだけでなく、史上最もパワフルなマセラティを手に入れることになる!
Text: Jan Götze