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【動画付き】02へのオマージュ 伝説のBMW 02 クールなスタイルとともに復活か?

2020年7月5日

BMW 02レミニッセンス: コンセプト、1602、2002、EV、オマージュ

ジャイアントサイズのキドニーグリルを持たない新しいBMWクーペは、このようにエレガントに見えるかもしれない。伝説のBMW 02のニューエディションは、多くのファンにとって夢の実現だろう。しかし、この02へのオマージュのためのデザイン画は、残念ながらBMWからのものではない!

巨大なキドニーグリルも、ギザギザのフロントエンドも、偽のテールパイプもない。
これこそが、スポーティなBMWクーペがいかにストレートに見えるかということだ。
デザイナーのデイビッド オーベンドルファーは、細部にまでこだわってBMW 02の新モデルを描き上げた。そして特筆すべきは、この02レミニッセンス コンセプトが完全電動自動車だということだ!

レトロクーペのモデルは、1972年に開催されたミュンヘンオリンピックの際に、BMWがVIP用シャトルとして提供した、1602をベースに作られた2台の完全電動BMW 1602eだ。
オーベンドルファーは、BMW 1602と2002のクラシックなラインを現代風に解釈し、繊細なデザインを備えたものとして蘇らせた。
その際に最優先されたのは、シンプルであること。
どんな状況下でも、デザイナーはクラシックの細部を現代的にアレンジしようとは考えていなかった。
その結果、レトロカーのようなものになってはいけないと考え、その代わりに、02レミニッセンス コンセプトは、クリーンなラインと飾り気のない、敬意を込めたオマージュとして完成した。

BMWスタイルの特徴的なフロント

フロントは紛れもなくBMWだ。
縦長のダブルキドニーグリルは、ちょっとしたくぼみにしか見えないが、要望に応じてクロームメッキも用意されている。
02の特徴は、独立したインジケーターを備えた2つの丸いツインヘッドライトだ。
それ以外は、フロントには何の違和感もない。
無くなったラジエーターグリルは、このニューエディションが電気自動車であることを示唆している。
さらにプロフィールを見ると、いかにもクリーンなラインと大きさであるかがわかる。
ボンネットとトランクリッドを備えたフロントとリアのオーバーハングは非常に短い。
全長4.51メートル、全幅1.81メートル、全高1.40メートルと、オーベンドルファーァーが描く電動BMWは、現行BMW 2シリーズとサイズが似かよっている。

よりスポーティにしたい方に。オーベンドルファーはMルックの02レミニッセンス コンセプトもデザインしている。

インテリアは必要最低限のものに抑えられており、クラシックとモダンが見事にミックスされている。ちょっとクラシカルな3本スポークのステアリングホイールにはスイッチ類が一切なく、非常に精巧に作られている。その後ろには、デジタルメーターとして機能するスクリーンと、ナビゲーションやマルチメディアコンテンツのための細長いタッチスクリーンが備わっている。
LED技術の丸いテールライトがリアを支配し、リフレクターははるかに下に移動している。

インテリアは整然としており、クラシックとモダンが見事に調和している。クラシカルなステアリングホイールにスイッチが何もないのも好ましい。

02レミニッセンスの動力となるのは?

オーベンドルファーァーは、02レミニッセンス コンセプトの動力源に関してはまだ決めておらず、未確定としている。可能性としてはたとえば、184馬力(135kW)と約250キロの日常的な航続距離を兼ね備えるi3s用の電動モーターも選択肢の1つだ。
これは(当たり前ではあるが)ミュンヘンオリンピック当時の1602eと比較してかなり進歩している。48年前の電動モーターは44馬力(32kW)、航続距離は30~60kmだったからだ。
しかし、最終的には、この素晴らしいオマージュは、ドローイングのままで終わりかねない。
BMWよ、このストレートなデザインを見て、参考にしてはどうだろう。
その通りだと、うなずく人は世の中にたくさんいると思うが…。

どのモデルがもっともBMWらしいか、それは人によって違うだろう。
マルニー(02)こそBMWという人もいれば、6シリーズこそ世界で最も美しいクーペという考え方もあるし、やっぱりM535が出た当時の5シリーズこそ最高、という人もいて当然である。つまりその人にとってのBMWらしいモデルは、それぞれの人の数だけあるし、人生の多感な時期に触れたモデルこそが一番心に刻まれるのかもしれない。
だが、これだけは言えるが、現在のX7とか、X6がサイコーにBMWらしいデザインの車だ、とあなたが思っているのであれば、そりゃあちょっと違うでしょう、と諭してあげたい。

少なくともバイエルンの青い空とアルプスの白い雪をイメージしたエンブレムの自動車ならば、やはり小股が切れ上がったようにシンプルで、黄金比のようにバランスが良くて、そしてやはりどこかにスポーティさが必ずあるような、そんなクルマこそがBMWなのではないだろうか。シルキーシックスとか、トランクリッドの裏に工具ボックスのついたころのモデルに影響を受けたオジサンは、そう思ってしまうわけである。

「X」がついたSUVモデルだけではなく、普通のセダンも、クーペモデルもいつの間にか大きく立派で、そして豪華なBMWばかりになってしまった。もちろん永遠のライバルであるメルセデスベンツのクルマも同じかもしれないが、少なくとも向こうは昔からBMWよりも豪華で、スポーティさよりも質実剛健さ(これは今のメルセデスベンツには、かけらもないが)や、安全装備に特化したブランドだったはず、である。高性能なモデルもあったかもしれないが、それよりも本来はもっと合目的的で、自動車の王道としていやらしいほどの完璧を目指していたのが昔のメルセデスベンツで、それもいまや相当デコラティブな車になってしまってはいる。

話はそれてしまったが、現在のBMWは覚えきれないほどの車種を持つフルラインナップメーカーとなり、スポーツカーから超豪華SUVまで選び放題の状況である。だがその車種の中に、昔のマルニーのようにシンプルでフレンドリーな小型車があるかと言われたら、答えに悩む。もちろん時代が昔とは全く違うし、車に要求されるものは複雑で、以前の何倍もの要件を満たさなくてはいけないのが現代の自動車、である。それでもシンプルで美しく、毎日の生活の中に溶け込むようなBMW…。そんな一台がこれから出たら、と思う人も案外多くいるのではないだろうか。私自身を含めて。

新しいフィアット500がEVとなり、VWビートルやデリバリーバンもEVとして復活すると噂されている現在、マルニーがEVとして復活しても悪くはないだろう。街にこういうレトロテイストなEVが走る光景、それは決して悪いとは思わないし、無味乾燥なミニバンや恐竜のような大きさのSUVばかりが溢れるよりも、なんだか楽しい風景になるのではないかと思う。

Author: Jan Götze
加筆:大林晃平