最新情報 真のテクノロジー満載 新型メルセデスSクラス
2020年6月30日
メルセデスSクラス(2020): W223、プレゼンテーション、12気筒、プラグインハイブリッド
新型メルセデスSクラスは、本当に技術的な打ち上げ花火となる。新型メルセデスSクラスが、2020年秋か、遅くとも年末までには発売される。内部的には「W223」と名付けられたラグジュアリーサルーンが特別な存在になる理由を解説する。
ついに待望の新型メルセデスSクラスの市場デビューがやってくる。
現在進行中のコロナパンデミックの影響に加えて、開発プロセスに時々妨げられ、ワールドプレミアは何度か延期されたこともあった。
しかし、2020年9月初旬、ついにその時がやってくる。
新世代のW223は、シンデルフィンゲンの本社で、正式な初公開セレモニーをおこない、その後まもなくディーラーショールームに並び始める予定だ。
次期Sクラスは新しく開発されたプラットフォームを採用
新型Sクラスは、メルセデスの新型大型後輪駆動プラットフォームを備えた最初のモデルとなるため、開発費が特に高額になった。
将来、多くのモデルがこのプラットフォームで製造される予定で、したがって開発コストを大幅に削減できる。
使用されるコンポーネントは、ボディシェルの構造から同一装備のコンポーネントに至るまで多岐にわたる。
W223は、メルセデスSクラスで初めてリアアクスルステアリングを備えたモデルだ。
(つまり4輪操舵)。これにより、高速走行時のダイナミクスと俊敏性が得られるだけでなく、1.20メートル小さくなったターニングサークル(回転円)も実現している。
また、Sクラスは広範囲に電動化されることは言うまでもない。
プラグインハイブリッドドライブを備えたバージョンでは、電動走行可能距離は最大100kmとなるだろう。
3種類のホイールベース、後輪駆動、全輪駆動のほか、装甲仕様も計画されている。
最高級クラスには12気筒が用意される
新型Sクラスのボンネットの下には、現行EやSクラスやGLSでお馴染みの48ボルトの電動システムを備えた6気筒と8気筒のターボエンジンが搭載される。
ダイムラーの経営陣は、当初、トップモデルに12気筒を与えることを検討していた。
しかし、2021年半ばにデビュー予定のマイバッハバージョンと重装甲のガードバリアントの2車種のみにトップエンジンは採用されることとなった。
むろん新型Sクラスは安全性や快適性などの重要な問題にも対処している。
例えば、スター付きの最上位モデルでは、後々にはレベル4にまで引き上げることができるドライバーアシスタンスをレベル3で提供するだけでなく、新たな基準を打ち立てる全く新しいコントロールシステムとシートも備えている。
Sクラスとの競合はますます激化している
「シートに身を沈めた瞬間に快適さを感じる必要があります。ここでは我々は全く新しい領域を開拓するつもりです」と、Sクラスの開発ボスであるユルゲン ヴァイシンガー氏は自信たっぷりに述べる。
同時に後ろに座っている乗客にも2つの朗報がある。
「後部座席の重要性はますます増してきています。4センチホイールベースを伸ばしたことと、リアに多くの機能を追加したのもそのためです」と、彼は教えてくれた。
続けて、
「どの世代のSクラスにも課題はありましたし、それは大きなチャレンジでもありました。そして、ライバルたちも追いついて来ています。とくにBMW 7シリーズやアウディA8は今や同じリーグに属しており、いくつかの種目では我々と同じレベルに達しています。
また、ますます重要性を増している電動モビリティも存在します。パイオニアのテスラは、まだSクラスの本格的なライバルではないにしても、今後数年で競争はますます厳しくなるでしょう。そのため、メルセデスSクラスには2021年半ばに電動兄弟車「EQS」が登場します」と語ってくれた。
今回のメルセデスベンツSクラスに関する情報を見たときに、おっ!と思った点が4つある。
ひとつ目は12気筒エンジンが残ったこと。
2つ目は、3つの異なるホイールベースを備えたバージョンがあること。
3つ目は4輪操舵であること。
そして最後は、新型メルセデスベンツSクラスの発表を本社で行うと言っていることである。
最後の発表を本社でというのは、コロナ禍の影響であることは間違いないが、現行のメルセデスベンツSクラスのお披露目が、エアバス本社の格納庫で、A380に並べて発表されたことを思うと、本当に複雑な思いになる。
機構的には12気筒と最長ホイールベースバージョンが、マイバッハ専用となったことで、今まであやふやであったマイバッハの存在意義を明確化したい、ということは正しい選択だと思うし、これにより12気筒が欲しい人は自然とマイバッハを買わなくてはいけないという条件をつけることになったわけである。
さらに興味深いのは、防弾仕様(?)ともいえるガードバリアント仕様のクルマにも同様に12気筒と最長ホイールベースを設定と堂々と言い切っていることである。それだけ、そういうジャンルの車が世界中で必要とされているということであろうが、それにしても堂々と存在を(ちゃんとしたグレードとして)言い切っていることはなんとも複雑な気持ちにもなる。今までも同様の仕様が存在していたことはもちろん暗黙の事実ではあるが、ここまで「12気筒は防弾バージョンでも選べます」などと言い切ることも珍しい。
4輪操舵に関しては、まだそのシステムの詳細が不明なためコメントは避けるが、これから満を持して出してくるのだから相当な完成度なのだろう、と想像する。その他のバージョンアップ、例えば電気自動車を含む様々なパワーユニットの設定とか、アクティブクルーズコントロールのさらなる自動運転システム、さらには新しいプラットフォームのデビューとか、様々な機構の発展などは予想通りの展開といえる。
なんといってもメルセデスベンツのSクラスなのだから、その辺は世界を牽引するように、率先して進化してくれていなければ困るのである。
Text: Stefan Grundhoff
加筆:大林晃平