1. ホーム
  2. 旧車&ネオクラシック
  3. 【このクルマなんぼ?】80~90年代のアイコン歌手 ティナ ターナーの所有したメルセデスSクラス(W140)その落札想定価格は?

【このクルマなんぼ?】80~90年代のアイコン歌手 ティナ ターナーの所有したメルセデスSクラス(W140)その落札想定価格は?

2023年11月25日

ティナ ターナーのメルセデスS 320 W140(1995)。世界的スターのティナ ターナーが所有していた黒のメルセデスSクラス。この大きな車がオークションにかけられることになった。推定価格はたったの(?)4万~6万ユーロ(約640~960万円)!

ティナ ターナー(2023年5月24日逝去)は80年代と90年代のアイコンであり、絶対的な世界的スターだった!音楽だけでなく、グラミー賞を12回も受賞した彼女は、車にも並々ならぬ興味を持っていた。かつてティナ ターナーが所有していた「メルセデスSクラス」が、2023年11月末にRMサザビーズで競売にかけられる!

ティナ ターナーが自身の伝記『My Love Story』で明かしているように、1970年に俳優のサミー デイヴィス ジュニアからプレゼントされた白い「ジャガーXJ6」が、彼女の車好きに火をつけた。それからわずか数年後、彼女はシルバーの「ジャガーEタイプ」におそろいのナンバープレート”1 TINA”を付けてジャガーコレクションに加えた。

70年代当時、彼女のパートナーであったEMIエレクトローラのボス、エルヴィン バッハがコブレンツで、7万マルク(約580万円)で購入した黒の「ランボルギーニLM002」が、彼女の最も華麗な車のひとつだった。ターナーはオートマしか運転しなかったが、「LM002」はマニュアルしかなかったのだ。

かくして、LM002 “Rambo Lambo” は大改造された。「カウンタック」から拝借した自然吸気V12エンジンに適したオートマチックギアボックスが見つからなかったため、「LM002」を事故車の「メルセデスE 500」の駆動系を移植することにした。この巨大プロジェクトには莫大な費用がかかった。約15万マルク(約1,250万円)、正確には購入価格の2倍以上である。

ターナーはS 320を選んだ

ランボの改造車ほど高価ではなく、華々しくもないのが、ターナーが1995年に購入した車だ。「W140」シリーズの黒い「メルセデスSクラス」のことだ。意外なことに、彼女は「S 600」や少なくとも「S 500」でもなく、控えめな「S 320」を選んだ。

ティナ ターナーは自分で運転するのが好きだったので、ロングホイールベース仕様は必要なかった。1995年のメルセデスS 320の新車基本価格は105,800マルク(約880万円)。

231馬力の直列6気筒エンジン

直列6気筒エンジン(M 104 E 32)は231馬力と315Nmを発揮し、最高速度225km/hには十分だった。というのも、この「Sクラス」はチューリッヒ近郊のキュスナハトにあるターナーの住居で使われていたからだ。特に重要だったのは、「Sクラス」にはオートマチックトランスミッションが搭載されていたため、ターナーのために改造する必要がなかったことだ。

ブラックとブラックのカラーコンビネーションはクラシック。

それから約30年後の2023年11月、この「メルセデスS 320」がミュンヘンのRMサザビーズのオークションに出品される。資料によると、この「W140」は音楽レーベルEMIによって登録され、ティナ ターナーがスイスで日常車として使用していた。2000年代半ばにドイツのコレクターに売却された「Sクラス」は、数年間使用されることなくモスボールとなった。

15万km近い走行距離

15万km弱という走行距離を考慮すると、「W140」は写真で見る限り、手つかずの良い印象を与える。この走行距離では当たり前の飛び石による小傷を除けば、目に見えるダメージはなく、ブラックレザーの内装も過度に使い込まれているようには見えない。

231馬力の直列6気筒エンジンは耐久性と信頼性が高いとされている。走行距離は15万km弱だ。

「S 320」は、新しい車検証とターナー名義の旧スイス車両書類のコピーとともに販売される。予定価格は4万から6万ユーロ(約640~960万円)。ざっと価格を比較してみると、同じような装備と走行距離で製造年の「S 320」が15,000ユーロから25,000ユーロ(約240~400万円)で状態の良いものがある。ただし、前オーナーにグラミー賞12回受賞者がいるわけではない。

Text: Jan Götze
Photo: RM Sotheby’s