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サーキットでも公道でも1,030馬力!「フェラーリ SF90 XXストラダーレ」にフィオラノで初試乗!

2023年11月20日

フェラーリSF90 XXストラダーレ: マラネロ製ハイブリッドハイパーカー。フェラーリSF90 XXストラダーレとは何か?それを知るために、フェラーリ本社を訪ね、フィオラノにあるホームコースでこの野獣を手なずける。

フェラーリでは、XXは最もエクストリームなパフォーマンスの玩具を意味する。599XXやFXXを思い浮かべてほしい。これらに共通するのは、公道走行が認められていないということだ。しかし、この「SF90 XXストラダーレ」は公道走行が可能なのハイパーモデルなのだ。

連続ライトストリップと再設定されたエキゾーストシステムを備えた、完全に再設計されたリア。

我々はフィオラノにあるフェラーリのテストコースで、1,030馬力のスーパーカーを運転することが許された。その前に、「XXストラダーレ」のコンセプトを見てみよう。「XXストラダーレ」は、レーストラックXXプログラムから得られた経験を活かして、「リバースエンジニアリング」されている。ドライバーの後方に極めて低く設置された4リッターV8は17馬力アップの797馬力を発揮し、3基の電動モーターは合計で13馬力強化され、233馬力を発生する。これらのパワーソースにより、システム出力は1,030馬力になるというわけだ。0-100km/h加速は2.3秒、0-200km/h加速はたったの6.5秒(!)だ。

システム馬力はわずか30馬力アップ?ベースはすでに限界に近い

燃焼エンジンは、新しいピストンとさらに精巧に作られた吸気管が搭載されている。燃焼室も最適化され、エンジン全体が3.5kg軽量化された。排気システムは再構築され、まったく新しいサウンドを生み出している。サーキットモードでは、さらにブーストアップしているかのような錯覚に陥る。

驚くことに、背の高い私でも、適切なドライビングポジションを得られるほどコックピットには十分なスペースがある。

ブーストアップによってコンマ2.5秒は向上するはずだ

ちなみに、フェラーリはこの機能も組み込んでいる。予選モードで作動するプッシュ トゥ パス ボタンだ。追加のパワーブーストは、1回の作動につき最大2秒間有効で、エネルギー貯蔵システムが許す限り何度でも作動する。正確な出力は、走行状況や現在利用可能なトルクによって異なるため、尋ねたところ定量化することはできなかった。ここフィオラノでは、ブーストによって1周あたりコンマ2.5秒削れるはずだ。

しかし、開発の主眼はエアロダイナミクス、特にリアエンドに置かれ、デザインボスのフラビオ マンゾーニが本領を発揮した。2つのツインリアライトは姿を消し、連続したライトストリップに変わった。その下にはディフューザーセクションが拡大され、サイドには2本のダブルフィンが伸びてサイドラインを長くしている。

フェラーリはフロントにもほとんど手を加えていない: コントラストカラーのエアダクトは特に目立ち、2つの機能を兼ね備えている。一つは、e-テクノロジーのラジエーター用エアダクトとして機能し、もう一つは、流入したエアが2つのSダクトへと横方向に導かれ、「F8トリブート」と同様、フロントアクスルに数kgのダウンフォースをもたらす。

ダブルSダクトはラジエーターに給気すると同時に、空気の流れをリアに導く。

ボンネット上では、2つの通気孔が、ラジエーターで加熱された空気をリアウイングの中央へと導き、外側のアウトレットは、フロントガラス周辺のSダクトからの冷気を2つのサイドラジエーターへと導く。

エアロダイナミクスは最優先事項だった

フロントだけでも、「SF90 XX」はSダクト、よりクローズドでフローが最適化されたアンダーボディ、新しいフロントスプリッターによって、従来よりも20パーセントも大きなダウンフォースを発生する。250km/hで530kgのダウンフォースを発生し、そのうちの315kgはリアのみによるものだ。カーボン製のウイング(残念ながら調整不可)に加えてもうひとつの特徴は、シャットオフガーニーと呼ばれる、空気抵抗が必要なときにリアウインドウ裏のパネルを下げる機構だ。これにより、ウイング下に追加のトレーリングエッジが生まれる。

フェラーリのテスト兼開発ドライバー、ラファエレ デ シモーネが編集者のアレックス ベルントとともに最初のスティントを分析。

ブレーキは、「296GTB」に搭載された新しい「ABS Evo」が統合され、より高度なセンサー技術によって、カーボンセラミックブレーキの制動距離(フロント398mm、リア390mm)をさらに短縮することを目的としている。フェラーリはあえてファクトリーブレーキの値を明記している: 100km/hから0km/hまでは29.2メートル、その2倍の速度からは108.1メートルで停止するとする。これは実にセンセーショナルな数字だが、サーキットではかなり現実的な数値のようだ。「XX」のアンカーがいかに積極的で、何よりも安定しているかには驚かされる。

めまいがするほどの加速

シャシー面では、すべての剛性が再び強化され、ロールレートは10%減少した。カーブで達成可能な遠心力は、「SF90ストラダーレ」より9パーセント高いという。まるでジェットコースターに乗っているかのように、一瞬めまいがするほどパワフルだ。極端に遅れてアンカーを打つこともできるし、何よりもカーブの奥でブレーキをかけることができる。ベタベタのセミスリックのおかげでカーブ出口でのトラクションも問題なく、高速コーナーでもわずかにオーバーステアになるだけでコントローラブルだ。私のような背の高いドライバーでも、適切なドライビングポジションをとることができるほどコックピットには十分なスペースがあることもあり、終始運転に集中することができる。

パワーカーブ、ステアリング挙動、シャシーバランス – 新型XXは、リズミカルにカーブを踊るように駆け抜ける。

この狂気の代償は?「ストラダーレ」が77万ユーロ(約1億2,350万円)、「スパイダー」が85万ユーロ(約1億3,600万円)。しかし、それは問題ではない。1,398台のSF90 XX(799台のストラダーレは2024年第2四半期から、599台のスパイダーは2024年第4四半期からデリバリーされる)はそれぞれ、すでに完売状態で、選ばれた顧客に贈られるからだ。

結論:
史上最高のフェラーリ?敏捷性とサーキットでのポテンシャルの点で、「SF90 XXストラダーレ」はマラネロオリンパスに非常に近い。これ以上のパッケージは考えられない。

Text: Alexander Bernt
Photo: Hersteller