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【この911 GT2 RSなんぼ?】1,280万円の塗装がほどこされたワンオフの「ポルシェ911 GT2 RS(991)」

2023年11月5日

クロマフレア塗装されたワンオフのポルシェ911(991)GT2 RS。80,000ユーロ(約1,250万円)の塗装で、このポルシェGT2 RSは特別高価だ。塗装代だけで、ポルシェ718ケイマン、小さなマンションが買える。

塗装だけで普通のクルマより高くつく・・・。そんな特別な「ポルシェ911 GT2 RS」がアメリカで販売された。「911」の「GT2 RS」バージョンは特別だが、この1台はワンオフであり、さらに特別なものとなっている。

2017年に発表された「991」シリーズの「GT2 RS」は、今でも最もパワフルで最速の市販「911」だ。その3.8リッター6気筒ボクサーエンジンは、「991.2ターボ」および「ターボS」のエンジンと基本的に同じだが、大幅な改良により最高出力580馬力(ターボSエクスクルーシブシリーズは607馬力)が、700馬力と750Nmという驚異的なパワーを発生する。

トップモデルは0から100km/hまで2.8秒、200km/hまで8.3秒で加速する。ポルシェが最高速度を重視しないのは当然としても、「GT2 RS」は340km/hと決して遅くはない。しかも、ニュルブルクリンク北コース、ノルトシュライフェでのラップタイムは6分47秒3で、ニュルの最速記録をしばらく保持していたほどだ。

「GT2 RS」の基本新車価格は28万5220ユーロ(約4,560万円)で、「911」史上最速の1台であるだけでなく、最も高価な「911」の1台でもあった。

911 GT2 RSの価値は上昇

しかし、高価格にもかかわらず(あるいは高価格だからこそ)、その価格は上昇し続けた。発表から6年後、ドイツでは「991 GT2 RS」の最も安い中古車が389,000ユーロ(約6,220万円)で提供されている。減価償却?とんでもない!

光の入射によって、クロマフレアラッカーは色を変える。ちょうどフリップフロップラッカーのようなものだ。

ここで紹介するアメリカからのゴールデンボディの個体はかなり高価だが、それは主に塗装によるものである。数年前、ポルシェ エクスクルーシブ マヌファクトゥールは、いわゆるクロマフレア(Chromaflair)塗料、フリップフロップ塗料の一種を発表した。このエフェクト塗料は、製造が非常に複雑である。

クロマフレアペイントは非常に高価

その理由は、トップコートのクロマフレア顔料の厚さはわずか1マイクロメートルで、人間の髪の毛よりもはるかに薄いからだ。そのため、クロマフレア塗料を注文された車は、1台1台手作業で塗装される。

しかも、生産台数には限りがある。年間最大5台が納車され、このエフェクトペイントは「ポルシェ911」にしか使用できない。「ボクスター」や「マカン」などに順番は回って来ない。しかし、それも無理はない。何しろ、塗装だけで一部のモデルの価格を超えてしまうのだから。

ヴァイザッハパッケージは、GT2 RSをさらに30kg軽量化する。

クロマフレア塗装仕上げの価格はなんと82,646ユーロ(約1,280万円)だ。ちなみに、選べるカラーは「シフティングカーボン(Shiftingcarbon)」、「パイソングリーン(Pythongreen)」、「アーバンバンブー(Urbanbamboo)」、「マジックマジェンタ(Magicmagenta)」、そして「エクスプローシブゴールド(Explosivegold)」の5種類となっている。

このGT2 RSはワンオフ

この「911 GT2 RS」のカラーは「エクスプローシブゴールド」で、このカラーの「GT2 RS」は世界で唯一という。このワンオフを提供したのは、アメリカのポルシェスペシャリスト「グラハムレイホールパフォーマンス(Graham Rahal Performance)」。走行距離はわずか3,942kmで、近年はほとんど動かされていない。

高価な塗装に加え、特筆すべき装備は、ドイツでは29,750ユーロ(約475万円)もするヴァイザッハパッケージ、ブラックのマグネシウムホイール、ポルシェのレタリングとマッチしたブラックのブレーキキャリパーなどである。ホイールにはピレリPゼロ トロフェオRタイヤが装着されている。

アルカンターラ、レザー、カーボンのミックス: エクステリアに比べ、インテリアは地味。

目を引くエクステリアに比べ、インテリアはシンプルだ。最初のオーナーは、レッドインテリアパッケージは選択せず、ブラックレザー/アルカンターラバリエーションを選んだ。印象的なのはコントラストステッチだけだ。この「GT2 RS」には、このユニークな作品の制作の歴史を記録した書類が付属していた。

60万ドル(約9,150万円)弱で販売された

ここで価格に話を戻そう。念のため申し添えておくと、特別塗装とヴァイザッハパッケージを含め、2018年の新車価格はおそらく40万ユーロ以上(約6,400万円)だった。それどころか、「GT2 RS」は価値を失っていない。このワンオフモデルは、599,995米ドル(約9,150万円)という価格で売り出された。そして数日で売約済みとなった。独占にはお金がかかる!

Text: Jan Götze
Photo: Dealer Spike / Graham Rahal Performance