テスト 興味津々 はたしてドイツ人は日常生活用ジムニー シエラをどう評価するのだろうか?

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スズキ ジムニー: テスト、エンジン、価格

普段の生活の中でのジムニー シエラの実力は? ボクシーで絶大な人気を誇っているスズキ ジムニーには、オフロードだけでなく、オンロードのファンもたくさんいる。それもそのはず? 我々は8章に分けて日本製コンパクトSUVを生活圏内で検証してみた!

このテストが少し意地悪だということは認める。
スズキ ジムニーが得意とする、クライミングやクローリングやスイミングといったことは、ここではフォーカスしない。なぜなら、それらはすべてSUVに対する古い固定観念だからだ。
むろん、我々はこの小さな日本製SUVがオフロードに向いているのは分かっている。
だが現実には逆転現象が起きつつある。
我々はますます多くのジムニーを街中で目撃し、地下のガレージで丸くなっている姿もよく見かけるようになった。
あるいは、都会の家の庭先に停まっていたり、ショッピングセンターで見かけたりする。
いったいジムニーとはどういうクルマなのか、一緒に考えてみようではありませんか。

結局のところ、新型ジムニーは、森林地区の外、特に都会では非常に人気があり、「売り切れ状態」にさえなっているほどだ。
注文しても、それから納車まで長い間待つ。それが今の状況だ。
しかしこのクルマは日常でも役に立つのだろうか? ジムニーに恋している人々は普段の生活の中での使い勝手の良さも確認した上で、購入しているのだろうか?
我々はそのことを確かめたいと思った。そのため、アスファルトとコンクリートの上でジムニーをチェックする。
以下の8つのテーマで、我々は日本からやってきた盆栽4×4の実態を検証してみた。結果は、フォトギャラリーとともにご覧ください。

ボクシーなスズキ ジムニーはオフロードだけでなくオンロードでも人気がある。

第1章: 高速走行

高速道路はジムニーにとってはちょっと苦手項目かももしれない。トップスピードを出しても、ジムニーにはすでに(過剰な)負荷がかかっている。頑固なサスペンションは、速度と道路の状況にほとんど対応できない。そして、ローギヤードのためしぶしぶ高速道路上にとどまっているだけだ。
風切り音、粗いタイヤの音、駆動音のミックスが不快であることに加えて、エンジン(トップギアで130km/hでブーイングのような周波数)と適当にパッドの入れられたシートが長距離走行に耐えることを困難にしている。
明らかに高速道路走行には向いていない。

第2章: 運搬

今日では、VWポロが毎週の買い物旅行に役立つクルマに成長した(昔のゴルフほどに大きくなったのだから当たり前だが)。
ジムニーは? 窮屈だと言わざるを得ない。剛性の高い車軸と親指ほどの太さのコイルスプリングにもかかわらず、この小さな車には約320kgの荷物しか積めない。
トランクは85リットルと小さく、背もたれを倒しても最大830リットルの荷物しか入らない。そして、フロアのミニコンパートメントには小物を収納することしかできない。
テールゲートは、右側通行のドイツの道路には逆方向となる右方向に横向きに開く。

第3章: 都市での利便性

駐車、操作、概観の維持…。これが、3.6メートルの短い正方形のエッジを持つクルマが最高のパフォーマンスを発揮する場所だ。そう、それがこのクルマだ。
非常にクリアで、狭くて短い。つまり、去り行くスマートの役割をほぼ引き継ぐことができる。しかも4人がちゃんと乗れる。
より高い位置に座るので、大都会の人ごみの中でも視界を確保しやすくなる。
また、異常なほど高いグランドクリアランスとミニショートオーバーハングのおかげで、高い縁石でもかなりカジュアルに乗り越えられるのも良い点だ。

第4章: 大通り上のタイガー

場違い? ノー! それともプラダの店の前でも似合う? イエス、絶対に似合う!
小さなSUVは本当にアイキャッチャーであり、角張ったボディワークは素晴らしく「レトロ」であると同時にキュートに見える。
メルセデスGモデルとの類似性は、全く馬鹿げているようには見えない。何しろこちらのほうが、絶対的な歴史は長いのだから。
スズキは、そのスリムな102馬力とシンプルな技術にもかかわらず、「シンプル4×4 」を、本当に威厳のあるモデルに仕立て上げることに成功している。

第5章: グループツアー

大人4人が本当に乗れるか? まあ、少なくとも4つのシートベルトは装着されている。実際、ジムニーはミニバスとしては不向きだ。後部座席に背の高い人が2人ちゃんと座れるが、それでも短距離の場合のほうが良いだろう。
もちろん、ホイールベースが2.25mでは膝のスペースが限られており、幅も不足している。昔のミニくらいのスペースと考えておいてほしい。

第6章: セルフケアとメンテナンス

セルフケアとメンテナンスは十分に可能だ。とどのつまり、もしあなたが慣れ親しんでいるような取り扱いや操作をしたいなら、クルマ自体に慣れ親しんでおくことは当然だ、と我々は考える。
実際、テールゲートにはスペアホイールがぶら下がっていて、車載工具を使って取り付けることもできる。
オイルチェック? むろん自分でチェックすべきだ。 エアフィルター、スパークプラグ、電球、ヒューズ? 自分で交換できるようになっている。そして数々の(無数ともいえる)アフターパーツが市場に出回っている。

第7章: 安全性

追従性、緊急時の停泊、事故回避…、ジムニーの安全性は? 
ESP、レーン逸脱警報システム、その他もろもろ、アシスタントシステムが兼ね備わっている。だがアダプティブクルーズコントロールはないし、自動ブレーキの性能もソコソコである。
弱点: オフロードタイヤのため、ブレーキング性能に劣り、100km/hからの完全停止距離が47mにもなる。
車はアンダーステア傾向にあり、回避行動を取るときの操作が必要となる。要するに、最高の事故防止を望むなら、他のメーカーのモデルの購入を考えるべきだということだ。

第8章: コストパフォーマンス

価格は21,000ユーロ(約260万円)弱と、オフロード車としては安いうえに、オートマチックトランスミッションは1200ユーロ(約15万円)の追加しかかからない。むろん全輪駆動システムは標準装備だ。搭載されたエンジンは、税金も安い。
その上、ジムニーは効率も良く、平均燃費は、リッターあたり12km程度は走る。
セルケアとメンテナンスさえ、しっかりやっておけば、毎年の整備費も節約できるはずだ。
現在スズキは、価値が非常に安定している(納期が長いため)。
要するに、ジムニーはコスパの良いモデルであるということだ。

結論:

全体的なスコアは、角張ったジムニーは価格相当のクルマであって、万能選手ではないということだ。特にブレーキは絶対に時代遅れだと言わざるを得ない。
それにもかかわらず、小さな盆栽4×4は、日常生活でもストレスを感じることがあるが、とても楽しいクルマであることは間違いない。
AUTO BILDテストスコア:3

日本の著名モータージャーナリストで、「最後の車はジムニー」と宣言(?)している方が、複数名もいる。理由は様々だが、つまりジムニーはあがりの車、として考えてもよい魅力を持っている、そんな自動車なのでないだろうか。
と大げさに考えなくとも、実際問題地方の山岳地帯とか、雪の多い地方、あるいは海の近辺、浜松の砂丘近く(笑)などなどで、生活の自動車として、なくてはならない存在、それがジムニーである。
別にカッコいいからとか、流行しているからではなく、これじゃなくっちゃ走れない道路だからダメという人や、仕事の道具として必要として買うような飾らない車、だからこそ媚びへつらいがなくていいわけである。
確かに現行のモデルになって高速走行も見違えるほど改良されたし、乗り心地も室内スペースも各段に良くなってはいる。だがあくまでも、それは前のジムニーと比較した場合であり、同門のハスラーや、出たばっかりのタフトに比べてしまっては、スペースユーティリティや乗り心地、そして燃費や高速性能といった部分では劣って当然だろう。だから本来、ジムニーはジムニーが欲しい人が買う車で、ほかの車と迷って買うものではない。
格好は良いし、もし形で選んだとしても後悔はしないとは思うが、それでもジムニーは万能選手ではなく、一芸に秀でる、魅力的な変わり者であることは忘れてはならない。扱いやすい大きさと見晴らしの良い視界とシートポジション、そしてホイールのガリ傷や少々の段差など気にしなくていい車高…。それらの「街中で使いやすい、有用な数々の美点」は、ジムニーが主戦場たるオフロード性能を確保するために必要として生み出した条件が、たまたまもたらした副産物であり、順番としてはあくまでもオフロードを走ることのプライオリティが高い。
パタゴニアのジャケットや、LLビーンのブーツを街中で普段着として使う格好良さと同じ感覚で、ジムニーを街中専用車として使うことも決して間違いではないし、これ一台だけで過ごす、身の丈に合った自動車生活は心地よいものであることも確かである。
でも、一度だけでもいいから、それらしい場所に冒険に行ったり(でも素人が無理しちゃいけませんが)、ちょっとした小旅行にジムニーで出かけてみたりしてはいかがだろうか?
日本にもまだまだ知らない場所が沢山あることに気が付くだろうし、街中だけでは感じられなかったジムニーの新しい魅力にも触れられるかもしれない。
とことことゆっくり出かけるのにはちょうどよいし、ゆっくりだからこそ行き過ぎてしまうことなく様々な発見を楽しめるのである。

Text: Jan Horn, Dennis Heinemann
加筆:大林晃平
Photo: Toni Bader