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61年の歴史に終止符 ベントレー製V8エンジン生産終了 名エンジンの最後

2020年6月21日

さよならベントレーV8 また1基手造りの名エンジンが消えていく

世界最長のシリーズ生産を誇るV8エンジン。ベントレーV8が61年の歴史に終止符を打つ。1959年以来、6.75リッターV型8気筒エンジンは、ベントレーのトップモデルの動力源となってきた。60年以上の歳月を経て、フラッグシップモデルであるミュルザンヌとともに、その生産が終わりを迎えようとしている。

なんともセンチメンタルな話だ。
60年以上の歳月を経て、ベントレーは伝説の6.75リッターV8を引退の時を迎えようとしている。このエンジンは、他のどのV8エンジンよりも長い61年間、製造され続けた。生産期間中には2基のターボチャージャーも搭載され、360馬力を発揮した。最終的に36,000台のハンドメイドモデルが製造された後、由緒あるLシリーズV8とミュルザンヌはベントレーに別れを告げた。

15時間の手作業で製造されたエンジンだった

1950年代に設計されたLシリーズV8。1959年にベントレー S2の吸引エンジンとしてデビューし、6.2リッターから約180馬力を発揮した。その後ストロークを増やし、1971年には6.75リッターにまで容量を拡大したが、ボアは生産期間中、最後まで変わらなかった。エンジンは、2010年に現在のミュルザンヌ世代の導入に伴い、最後の大規模な改訂を受け、クランクシャフト、コンロッド、ピストン、シリンダーヘッドなどが微調整された。最終的に最もパワフルな構成となったV8は、ダブルターボチャージャーのおかげで537馬力と1100Nmのトルクを発揮する。現在でもパワーユニットは手作業で製造されており、組み立てには15時間を要する。この工程の最後には、各ユニットが専門家によって承認され、バッジが与えられる。

ベントレー独自の綴り。「6 3/4リッターツインターボ」。残るV8は、排気量4リッターのみだ。

最後に製造された6.75リッターV8は、それなりの地位を与えられている。ベントレーは、30台限定のミュルザンヌ、「6.75エディションbyミュリナー」特別モデルに537馬力を発揮するV8を搭載している。ちなみに標準モデルのミュルザンヌエンジンは513馬力だ。ミュルザンヌが終了すると、フライングスパーがベントレーのフラッグシップモデルとなる。エンジン面では、4リッターV8、6リッターW12、V6ハイブリッドが残る。これらは新設計のエンジンで効率は良いが、歴史は持っていない。

しかし、ベントレーによると、6.75リッターは「今後何十年にもわたってベントレーのお客様の車の中で生き続ける」とのことだ。6.75リッターV8を搭載したベントレー ミュルザンヌに幸あれ!

ミュリナーによる6.75エディション(写真後方)は、ミュルザンヌと6.75リッターV8に同時に別れを告げる。So long!

Text: Moritz Doka