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サプライヤーにとってのバッドニュース!? メルセデスが電動モーターの自社製造を計画中 最新情報をお届け!

2023年9月30日

メルセデス、電動モーターを自社製造。メルセデスはこうしてサプライヤーと競争する。これはサプライヤーにとってはバッドニュースだ。サプライヤーは自分たちのゲームをステップアップさせなければならない。

これまで、電動モビリティはサプライヤーにとって金鉱だった。メルセデスのような高級車メーカーにとっても、自社製EV用の重要な電動モーターをサプライヤーが製造することが許されていたのだ。例えば、ZFは「メルセデスEQC」のドライブトレイン一式を供給した。

しかし、『Handelsblatt』紙が報じているように、これは間もなく過去のものとなるだろう。それによれば、メルセデスは2025年以降、新型電気自動車の「電気駆動ユニット」を主に自社で製造することになるという。こうすることで、高級ブランドは「Made in Germany」のラベルで、他社との差別化を図りたいのだ。「私たちの垂直方向の製造範囲は大幅に増加しています」と、同ブランドのマネージャーのコメントは新聞から引用されている。車軸、2段変速ギアボックス、炭化ケイ素製インバーター、制御ソフトウェア、冷却システム、エンジンのローターとステーターなどだ。

さらに、このドライブにはすべてが備わっている。メルセデスは将来に向けて、航続距離750km以上、消費電力12kWh/100km程度を宣伝している。現在のところ、100kmあたり平均15kWhが見込まれている。もうひとつの利点は、電気駆動装置の製造に必要なレアアースを90%削減できることだ。このように、シュヴァーベンのメーカーはドイツのサプライヤーと競合している。それもそのはずだ: 電気ドライブを自社で製造することで、雇用を守ることができるのだ。

メルセデス、電動モーターの自社製造を計画。

ZF社、磁石のないモーターを宣伝

サプライヤーにとって、これはつまり、メーカーとの提携を維持するため、あるいは再び進出するためには、良い主張が必要だということになる。そこでZF社は全開で、磁石を使わないモーターを発表した。『Handelsblatt』紙によれば、磁場のエネルギーはローターシャフト内の誘導型エキサイターを介して伝達される。こうすることで、CO2排出量は最大50%削減され、効率は向上し、9センチメートルのスペースが節約される。その結果、他に類を見ないコンパクトなモーターが誕生した。さらに重要なのは、磁石の原料となるレアアース(主に中国産)に依存しないことだ。

しかし、革新的なプロジェクトを行っているのはZF社だけではない。マーレ(Mahle)社もまた、マーレのボス、アーンド フランツが「完璧なモーター」と呼ぶドライブを発表した。エンジン構造における魔法の言葉、それは効率の向上だ。効率が高ければ高いほど、バッテリーを小さくできるからだ。これはコスト削減につながる。

マーレとシェフラーは独自のプロジェクトを持っている

一方、シェフラー(Schaeffler)社は2つのアプローチを取っている。中国産のレアアースは使用しない。その代わりに、ノルウェーのメーカー、リーテック(Reetec)社と手を組んだ。シェフラーは2026年までに、電動モーターの生産能力の拡張と開発に5億ユーロ(約800億円)以上を投資する計画だ。マグネットレスモーターも開発される予定だ。「今年だけでも、シェフラーの工場で合計7つの顧客向けeモータープロジェクトが始動している」と、自動車委員会のマティアス ツィンクのコメントを『Handelsblatt』紙が引用している。

最高のeモーターをめぐる争いは、価格面でもとっくに始まっている。ZF、マーレ、そしてボッシュも東欧諸国でモーターを設計している。問題は、メルセデスがいつまでドイツ国内のコスト構造を同じように低く抑えられるか、あるいはプレミアムカーメーカーにとって高すぎる楽しみとならないか、である。

Text: Bianca Garloff
Photo: Mercedes