チューニング 史上最も美しい993? オリーブグリーンの400馬力ポルシェ911
2020年6月11日
ポルシェ911(993) チューニング: 400馬力、レストモッド400R
カリフォルニアのギュンター工場では、現代の技術を駆使してポルシェ993を製造している。そして今、400Rの第1号が完成した。チューナー、レストモッドの993チューンナップモデルは、400馬力を発揮し、幅広なボディに、オリーブグリーンカラーを纏っている。
レストモッドは、90年代に登場した古い外観を身にまとった911に、現代の技術を加え、クールに生まれ変わらせた。
シンガー(Singer)やケーゲ(Kaege)といった有名な911のチューナーは、Fモデルの空冷エンジンに、964や993の空冷ボディを載せて、90年代の外観を保つことをモットーとポリシーにして守り続けてきた。
しかしカリフォルニアのチューナーは真逆のアプローチを採用した。
彼らは、993シリーズ(1993年~1998年)のポルシェ911を最適化し、993のより現代的なビジョンを作りたいと考えた。
レストモッドは、短いホイールベース、少ない電子機器、空冷エンジンは、最後の空冷911の利点であるという。だからこそ993をベースにすることを考えついたのだった。
レストモッドの993チューンナップモデルは限定25台の製造が計画されており、この度最初の1台が完成した。それが400Rと呼ばれる、このオリーブグリーンのポルシェ911だ。
6センチワイドなボディワーク
400Rのデザインは993-GT2をベースにしている。
リアには、1973年に登場した伝説のRS 2.7のスタイルを模したクラシックなダックテールが装飾されている。顧客の要望に応じて、993-GT2ウイングのバージョンを使用することも可能だ。
911カレラからシャシーを剥ぎ取り、ボディワークを完全に設計し直している。ボディは両側とも3センチ成長している。フロントアクスルとリアアクスルのトレッドは同じ幅になっている。ルーフ、フェンダー、フラップにはカーボンファイバーが採用されている。
リアスカートの中央に配置されるチタンバージョンのエキゾーストシステムもオプションで用意されている。
リアシートは、軽量化のために完全に取り外されている。
インテリアはレザーとカーボンが支配
インテリアの素材や色は、お客の好みに完全に合わせることができるようになっている。ただし、基本的なレイアウトはシリーズ生産モデルの993に近いままだ。クラシックなペピタシートカバーから鮮やかなカラーまで、すべてが可能だ。シートシェルはカーボン製である。
ステアリングホイールはアルカンターラで覆われ、5つの丸い計器はミルドトリムパーツで縁取られている。そのような部分にもオリジナルディテールへの愛が溢れている。
オリーブグリーンの400Rは、車内の色にもこだわっていて、オレンジ色のレザーがシートとダッシュボードを覆っている。
そして、同様に外観もまったく控えめではない。
クラシックなホイールは、眩しいばかりのゴールドで彩られている。フロントとリアのヘッドライトには、現代的なLEDが取り付けられている。そしてボンネットの下にはスペアホイールが設置され、レザーとカーボンで統一されている。
エンジン容量は4リッターに拡大
3.6リッターのボクサーエンジンは一度完全に分解してオーバーホールし、新しいコンポーネントで組み立て直されている。排気量は4.0リッターにアップされ、エンジン制御はMOTECシステムで行われている。
エンジンはアメリカ、オレゴン州のチューナー、ロートスポーツ社が手作業で組み立て、テストベンチでテストを行われており、その性能データは400馬力、トルクは450Nmだ。
新しいのは6速ギアを備えたG-50トランスミッションで、その変速比はチューンナップモデルにあわせたものとなっている。
サスペンションもチューンアップされており、フロントアクスルのリフトシステムは、障害物の上でも走行しやすくし設定されていて、カーボンノーズも30ミリ高くなっている。
ブレーキも変更され、より大きなブレーキディスクが装着されている。
信じられないほど複雑なコンバージョンには当然それなりの価格が設定されている。400Rの購入には、最低525,000ドル(約5,775万円)が必要とされる。
手のかかった内容を考えれば妥当なのかもしれない。
Text: Matthias Techau