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【この190なんぼ?】この走行距離たった20万kmのメルセデス190 Dの値段? リーズナブルだが値引き交渉も可能です(笑)

2023年9月2日

グッドコンディションのメルセデス190 D(W201)がeBayで売られている。1991年製のこのベンツは、まるで1年落ちの車のようだ。このメルセデス190 Dは、最初のコンパクトなメルセデスの伝説的な評判に応えている。ダークブルーの190はディーゼルで、Hプレート(クラシックカーナンバープレート)付き。

「錆びのないことを保証します」と、この「W201」型ベンツの売り手はeBayの出品に書いている。それは軽率だろうか?1982年から1993年まで製造された「190メルセデス」は、生産された車の中で最も長命なモデルのひとつである。そしてこの個体は、広告に添えられた写真を見る限り、疑う余地はない。

75馬力の4気筒ディーゼルは、ハイパワーのレーシングドライブに対するアンチテーゼだ。言い換えれば、ソリッドだがカタツムリのようにダサい。

装備の少ない190

ダークブルーの1991年型ディーゼル。グレーのインテリアはオリジナルを保った外観と完璧にマッチしている。オプション装備もほとんどない!しかし、付いているものは説得力がある: 売主によると、フロントガラスは飛び石の被害で交換されている。アルミホイールだけがちょっとした贅沢品だが、オリジナルではない。

リペイントしていないオリジナルコンディションのこの190Dは、写真では完璧に見える。売主は、このベンツはガレージカー(屋根付き車庫内で管理)だったと強調している。インテリアもきれいに見える。スピードメーターの写真を見ると、走行距離は199,800km。これは、75馬力の4気筒ディーゼルとしては過走行車というにはまだ早い。

ダークブルーのペイントがグレーのインテリアとマッチしている。4速マニュアルギアボックスが標準装備。

しかし、このエンジンはもちろんステートメントでもある。言い換えれば、オキシキャット付き75馬力ディーゼルは、郊外のカサノバではなく、愛すべきカタツムリなのだ。その一方で、このエンジンは現代のターボディーゼルに慣れ親しんだ燃費値を達成している。6リッター(リッターあたり16.6km)を切るのは簡単だ。

このクルマにはH(クラシックカーナンバー)プレートがついているので、あらゆる環境ゾーンで使用が許可されている。この点で、触媒コンバーターはユーザーの良心を浄化する効果がある。駆動方式も良い意味でシュヴァーベン的で、4速マニュアルギアボックスが無駄のない走りに貢献する。

真のコンディションは現場でしか見られない

あとはすぐに語られる:「190」は耐久性の模範として知られている。たとえば運転席のアウターボルスターは、先代の「W123」シリーズによく見られたものとは異なり、少しも削られていない。エンジンにオイル漏れがないか、アンダーボディに損傷がないかなど、このクルマが実際にどの程度の保存状態なのかは、現場での徹底的な検査によってのみわかる。

リアシートもほぼ完璧だ。190のシートは耐久性に優れている。

購入希望者は、書類の有無を尋ねることもできる。整備記録を含むすべての書類だ。この「190」がよく手入れされてきたのか、それとも放置されてきたのかを判断するのは簡単だ。このモデルは非常に頑丈だが、「190」といえども時の流れには逆らえない。

この「W201」の購入希望者は、オリジナルのホイールがまだ入手可能かどうかも知っておく必要がある。新品のホイールは、中古でも100ユーロ(約1万6千円)はする。価格について言えば、売り手の6499.99ユーロ(約102万円)という希望価格は、かなり強気なものだ。1991年に製造され、最高のコンディションを誇る「190D」は現在、平均6000~8400ユーロ(約95~132万円)で市場に出回っている。この個体にはオプションパーツがほとんど付いていないことを考えれば、最終的な価格交渉も自信を持ってできるはずだ。

大林晃平: 本当の、まごうかたなきメルセデス・ベンツというのは、こういうののことなのではないか、と今回の190Dを見ながら、旧い(時代遅れの)メルセデス・ベンツファンはつい思ってしまう。今のようにデザインと高性能とブランド先行の自動車ではなく、質実剛健で、少しダサいけれども頑丈で、長年にわたって使える基本に忠実なクソまじめな自動車、それが古くからの自動車ファンの抱くメルセデス・ベンツのイメージである。

特にW114やW123あたりにはそのイメージは顕著で、地味で頑固でつまらないくらいに真面目で丈夫なヤツ、それがメルセデス・ベンツの本質だと僕は思っている。だから、現行の電子デバイス満載のCクラスとかEクラスを見ると、なんだかこれじゃないのになぁ、とつい思ってしまうし、今も毎日W213のディーゼルを愛用しているけれど、本当はこういうものじゃないんだけどなぁ、と贅沢で罰が当たりそうなセリフをつい口に出してしまうことがある。

じゃあお前の思い描く、まごうかたなきメルセデス・ベンツはどれだと聞かれたときに、つい天邪鬼な僕は「ウニモグ」と答えてしまうのだが、そういうトラックとかではなくセダンで答えてみよ、と言われたならば今回のW201の190Dなどは模範解答の最右翼である。

75馬力、ということはおそらく最高速度だって150、いや140kmくらいしか出ないかもしれない(けれど、その速度を持続したまま一日走り回ることは可能である)。装備だってあか抜けない柄のファブリックシートに手回し式のウインドー、オートエアコンなど夢のまた夢のマニュアルエアコンに、4速マニュアルミッション。フロントシートバックのマガジンラック(観光バスのような網で作られたものが、オプションで用意されていた)さえ付いていないこの190Dを、現在C180に乗っているオーナーが見たら憐れみを覚えてしまうほど質素なたたずまいである(デザイナー、ブルーノ サッコの傑作)。

だがそれでも必要十分というか、これ以上でも以下でもない、実用車とは何かに対する、どんぴしゃりの、正解のような清貧さをこの一台に感じると言ったら誉めすぎだろうか。

本文にもある通り、20万km近く走ってしまった190Dが100万円と言うのは、確かにちょっと高い気もするが、それでもなんだかこの車を憎めないばかりか、ちょっと一緒に生活してみたいと思ってしまうのはなぜだろうか。それはおそらくこの190Dが、本物の、まごうかたなきメルセデス・ベンツとはこういうものだ、と誇りをもって乗れる一台だからである。手ごろなサイズのマニュアルミッションセダン、絶滅危惧種のようなこの個体、なんだか欲しい・・・。

Text: Roland Wildberg
Photo: AUTO BILD Montage eBay/zc63