1. ホーム
  2. 旧車&ネオクラシック
  3. 【クラシック オブ ザ デイ】不滅のアメリカ製特大オリジナルSUV シボレー サバーバン 80年代のSUV元祖の物語

【クラシック オブ ザ デイ】不滅のアメリカ製特大オリジナルSUV シボレー サバーバン 80年代のSUV元祖の物語

2023年8月31日

シボレー サバーバン: アメリカ発の特大オリジナルSUV。80年代のシボレー サバーバンは、ビッグブロックと7.4リッターの排気量を持つ強大なオーバーサイズSUVである。その重厚な巨大車両は、ことわざのような不滅性で魅了する。クラシック オブ ザ デイ!

「シボレー サバーバン」って聞いたことありますか?見たことありますか?アメリカで長年にわたって愛され続けたトラック?バン?ワゴン?いや、元祖オフロードトラック、言い換えればアメリカ製特大オリジナルSUVだ。8代目「シボレー サバーバン」(1973~1991)は、オーバーパワー、オーバーヘビー、オーバーサイズ。しかし、当時のアメリカンスタイル(アメリカ流)をユニークに体現している。

莫大な燃料費を賄うだけの資金があれば、この大型船は初心者にも適している。この技術は信頼性が高く、耐久性が極めて高いと考えられている。

シボレー サバーバン:尽きることのないパワー。V8エンジンの排気量は7リッター以上!これまたアメ車らしいエンジンコンパートメントだ。

サバーバンのV8はまるで船のようなパワーユニット

第一次オイルショック後、大排気量エンジンが復権。そのため、8代目「サバーバン」にもビッグブロックが用意された。サバーバンのV8は排気量7.4リッターで、240馬力を発生する。これは3800回転で発揮される。

このエンジンは船舶用ディーゼルよりも、クランクシャフトを回転させない。ビッグブロック同様、トランスミッションはタフで頑丈とされ、1970年代にはロールス・ロイスも、自社の貴賓車に採用するほど評判が高かった。

ビッグブロック仕様のロチェスター4バレルキャブレターは、サバーバンの推進力を生み出すために少なくともリッターあたり5km以下の燃費であり、2kmや3kmの場合も珍しくはない。

果てしなく広いスペース: サバーバンには、最大9人が乗り込める。シートベルトもなく、ノンパワーウィンドウなのには時代を感じるが、サードシートにも折り畳み式のアームレストがちゃんと備わるのが、実にアメリカ的。

シボレーは多くの乗員のためのトラックであることを示している

サバーバンには最大9人が乗れる。後列のシートは自由に折り畳むことができるが、横方向のサポートはない。しかも、夏場はビニールのシート表皮で汗をかく。

厳密に言えば、「シボレー サバーバン」はトラックである。ボディは、当時の重量級ピックアップと同じ強固なスチールフレームに載っている。追加料金を払えば、全輪駆動を注文することもできる。

とはいえ、走りは快適なセダンのそれに似ている。結局のところ、米国のドライバーは常に楽なことが好きなのだ。

ビッグブロックを搭載した8代目「シボレー サバーバン」に熱狂する人は、Hナンバー(クラシックカーナンバー)の車を選ぶのが理想的だ。代替案としては、排気量5.7リッターの”スモール”「サバーバン」がある。パワーとトルクの点では兄貴分に見劣りするが、銀行口座への負担は少ない。

どこから見てもアメ車以外の何物でもない。他の国では見られない&ありえない(笑)。

大林晃平: 数年前のハリウッド映画を見ると、黒いサバーバンが複数連なって走っているシーンに出会うことが結構多い。たいていは、「今そこにある危機」みたいな映画で、CIAやFBIが真っ黒に塗って、「窓を開けちゃだめよ」みたいなシチュエーションで、屋根の上のアンテナで本部と交信しながら疾走する・・・、そんなシーンである。

映画だけではなく実際にFBIもCIAもNSAもSPも愛用するのはたいていこういういうサバーバンのような大型の自動車で、大統領が専用車のビーストで移動する時にはその周囲に数十台ものサバーバンが同行するのが一般的である。一体あれほどの数の自動車の中に、どういう役割分担で、どういう階級の人々が大統領と一緒に移動しなくてはいけないのか、一市民の私などはどう考えても多すぎて無駄なのに、と思ってしまう。それでもあれだけのSPやら補佐官やらが帯同しなくてはきっといけないのだろうし、誰が乗っているのかと彼らに聞いたところで、「トップシークレット」の一言で終わってしまう話だろう。

という話はともかく、サバーバンはちゃんと防弾ガラスと装甲を持つモデルもメーカーオプションで(!)選択でき、アメリカでは民間のボディガード会社や警備会社が普通に購入しているそうである。まあ銃もホームセンターで普通に売っているのだから、当たり前と言えば当たり前の話ではあるが・・・。

さてそんなサバーバンではあるが、今回のコンテンツに登場したシボレー サバーバンは7代目にあたり、1973年から1991年まで、ということは20年近く作られたサバーバンの中でも圧倒的に長生きのモデルで、アメリカに住んでいた方はもちろん、ちょっとした旅行でアメリカに行かれた方は見かけただけではなく、ちょっとしたシャトルとしての送迎や人と荷物運搬時にお世話になったのではないだろうか。

7代目ということはもちろん初代も存在しているが、初代の登場は1935年に遡る。1935年と言えば昭和10年、ペルシャがイランと名前を変え、満州国の皇帝が日本に来日し天皇陛下と対面し、吉川英治が『宮本武蔵』を書き、忠犬ハチ公が死んだ年である。その頃からコンセプトとしては人と荷物を両方たっぷり運べる自動車、つまり今でいうSUVを開発していたのだから、やっぱりアメリカ人と言うのはすごい。そんな時代に開発されたシボレー サバーバンはその頃からピックアップトラックのシャーシーを使用して作られた自動車であり、その伝統は今も基本的にそのまま受け継がれているのである。

1950年代の3代目では、すでにトルクコンバーター式のATが付いたサバーバンもあったし、やはりアメリカの自動車の歴史と風景の中に、このサバーバンとF150のようなピックアップトラックは欠かせないものだ。1955年から4年間だけ作られた(短命だった)4代目では、ポンティアックのV8を載せたサバーバンも登場。ここからはひたすら大排気量で安楽な車へと進化していく。結局2001年頃の8.1リッターエンジンのモデルが最大であったはずだが、今は6.2リッターV8で450馬力のエンジンがサバーバンには搭載されている。

6.2リッターもありながら、このエンジンのペットネームは「エコテック スリー」というのがなんともおかしく可愛いらしいが、10速ATだし、ゆるゆるっとフリーウエイを流せば、そりゃ昔のサバーバンとは比較にならないほどのエコではあろう。

ちなみにサバーバンのGMC版はユーコンXLと言う名前になるが、基本的にはセドリックとグロリアのような兄弟車と考えてよい。もう一つおまけにシボレーの名前は、創業者でありレーサーでもあるスイス人のルイ シボレーに由来している。だからChevroletと表記されるのに、シェブロレットと読まずフランス語読みでシボレーと読むのであった(ということは、シボレーさんは、スイスの中でもフランス語圏の人だったんですね)。でもアメリカではシボレー(アメリカ人の発音する感じだとシェヴォレ、ですかねぇ)と言うよりも、シェビーと呼ばれることは有名であるが、これはアメリカ人がシェヴォレと発音するのが面倒くさいからだそうで、アントワーヌ ロメ ドゥ ラ モト スィール ドゥ カディヤックから生まれたキャディラックを、キャディーと略しちゃうのと同じであります(まったくもうアメリカ人てやつは・・・笑)

Text: Lars Hänsch-Petersen
Photo: Heimbach