スポーティでパワフルなSUV×17台 ユーズドカーと呼ぶにはもったいない!
2020年6月6日
スポーティなモデルから、2.6トンのヘビーなモデル、そして710馬力モデルまで様々なSUV 17台の中古車市場をリポート
これらの17台のパワーSUVの中古モデルは、ビッグサイズでヘビーではあっても、パワフルかつ高速だ。その上、耐久性や居住性にも優れている。
今からご紹介する高性能SUVはすでに中古モデルか、そうなりつつあるモデルだ。しかし、とてもそうは思えないというのが実感だ。
冷静に見ると、大型SUVはスポーツカーとは真逆の存在だ。
理想的には、後者は軽く、流線型で、コンパクトで、可能な限り低い着座位置を提供することが望ましい。
一方、トレンディな高級高層自動車は、重量が2トンを超えることが多く、長さが5メートルを超えるものもあり、クローゼット程度の空力特性しか備えていない。
だから、合理的な観点から見ると、レース用に快適なSUVを改造したりすることはほとんど意味がない。
それでもパフォーマンスSUVのセグメントは相変わらず活況を呈しており、そのほとんどのモデルがかなり渇望されていて、ここ数年で着実に成長している。
一方で、アウディQ2のようなよりコンパクト、より環境に優しいSUVモデルにもハイパフォーマンスのスポーツバージョンが準備されている。
想像以上にダイナミック
それらのモデルのユーザーは、何よりも安全性の高さ、部分的にゆとりのあるスペース、そして突進する大きな城のような立派な外観を高く評価している。さらに、それらのモデルのスポーツバージョンの場合は、贅沢なパワーと、時にはかなり凶暴な外観がこれに加えられていることもその特徴だ。
この背の高いオフロードカーは、先入観に反して、一見しただけでは想像もつかないほどダイナミックな走りをみせる。
金属製のボディの下には、最先端のシャシーテクノロジー、強力なブレーキシステム、そして多数の電子補助機能が備わっている。
パワーSUVの中には、より軽くて小さい車の中に座っているような感覚になるような、俊敏なハンドリングを実現しているものさえ存在する。
以下のフォトギャラリーで、それらのパフォーマンスSUVを紹介しよう。
ではアルファロメオ ステルヴィオQVから始めよう。
イタリア最高峰の峠にちなんで名付けられたステルヴィオは、アルファロメオ初のSUVモデルだ。
2017年初頭の市場導入後まもなく、初代モデルにはスポーティなトップバージョン「Quadrifoglio Verde」(略してQV)が投入された。
この気合の入ったイタリア製四輪車のボンネットの下には、姉妹モデルのジュリアQVで知られた、フェラーリが開発した2.9リッターV6が鎮座ましている。
データシートによれば、このキビキビとしたサウンドを備えるターボユニットは、510馬力と600Nmを誇り、8段変速のZFオートマチックトランスミッションとの組み合わせで、0から100km/hまでわずか3.8秒、最高速度283km/hを実現している。
1.9トンという驚異的な重量にもかかわらず、全長4.69メートルのイタロSUVは、本物のスポーツカーであり、シャープで正確なハンドリングで納得させてくれる。
新品のステルヴィオQVの場合、最低でも89,000ユーロ(約1,060万円)を支払わなければならないが、中古であれば、50,000キロ未満の走行距離で良好な状態なもので、約71,000ユーロ(約850万円)から入手可能だ。
また日本では新古車もかなり魅力的な値段で登場しているので、それを狙うのも良いだろう。
アウディSQ2:
2018年末より、全長4.21メートルのSQ2がインゴルシュタットのパワーSUVの世界に参入した。
最小のアウディSUVのスポーツバージョンは、VWグループ内で多くのモデルに用いられている2.0リッターTFSIを搭載している。その300馬力ユニットは、ほぼ1.6トンのシティSUVをゼロから100km/hまで4.8秒で加速し、最高速度250km/hを可能にする。最大トルク400Nmは、7つのギアを備えたダブルクラッチトランスミッションを介して4輪すべてに分配される。
卓越した走行性能にもかかわらず、SQ2は日常のドライブにも適したSUVだ。
俊敏な走りをするが、同時に音響的にも抑制されており、非常に柔らかなサスペンションも備えている。
ただし、野心的なスポーツドライバーは、過度に警戒心の強いESPに悩まされることになるだろう。
Q2と比較しても、外見的には目立たないようにのみ強化されているSQ2は、4万4800ユーロ(約537万円)からという高価格帯からの設定となっている。
一方、15,000キロ未満という比較的短い走行距離の中古モデルは、約39,000ユーロ(約468万円)から市場に出回っている。アウディの常でオプション価格が高いので、中古車はかなりお得ともいえる。
アウディRS Q3:
2013年から2016年まで、アウディは、その兄弟モデル、RS3でもその仕事をしている2.5リッター5気筒ターボエンジンを登用したRS Q3の第一世代をデビューさせた。
SUVというステータスにふさわしく、1.7トン以上の重さだが、それにもかかわらず、かなり俊敏であるコンパクトSUVは、4輪駆動と7速Sトロニックを備え持っている。
2015年初頭、この背の高いコンパクトスポーツカーはフェイスリフトを受け、出力を当初の310馬力から340馬力にアップし、トルクも20Nm増加して450Nmとなった。そしてその改良されたRS Q3は4.8秒で0から100km/hまで加速した。最高速度は250km/hで、電子的に制限されている。
最後の生産年にのみ提供された、367馬力RS Q3パフォーマンスの速度制限は、20km/h増加し、270km/hとなった。
2015年には、RS Q3は、少なくとも56,600ユーロ(約670万円)が新車購入に必要だった。
現在、走行距離5万キロ未満の中古フェイスリフトモデルは、約33,500ユーロ(約400万円)からとなっている。
ただしタイヤなどの消耗パーツは、普通のモデルよりもかなり高価になるので、維持費だけはしっかりと覚悟しておくべきだ。
アウディSQ7:
SQ5の成功を受けて、アウディは、その兄貴分である第2世代のQ7に圧縮点火式のスポーツバージョンを提供することを決定した。
しかし、2016年から生産開始され2019年にフェイスリフトを受けるまで製造されたQ7には、8気筒の大きなディーゼルエンジンに頼っている。4.0リッターのV8ツインターボは435馬力と900Nmの巨大なトルクを発揮する。そのパワーは、8速ティプトロニックを介して四輪を駆動する。
その結果、4.8秒でゼロから100km/hまで加速し、最高速度は250km/hで次週制限されている。
高出力にもかかわらず、2.4トンの巨大なシャシーのチューニングでは、当然のことながら、より快適性に焦点が当てられている。
2018年、新車のSQ7の価格は93,400ユーロ(約1120万円)だった。走行距離50,000キロ未満の中古モデルは、現在、約62,000ユーロ()から市場に出回っている。
我が国では、駐車スペースに苦労するサイズであり、コインパーキングからははみ出るのでご注意あれ。
ベントレー ベンテイガ スピード:
現在、世界最速SUVの座は、ベントレーが保持している。
英国の高級SUV、ベンテイガ スピードは、最高速度306km/hを達成し、時速1km/h、ランボルギーニ ウルスを上回っている。
この印象的な数字は、635馬力と900Nmのトルクを併せ持つ巨大な6.0リッターW12によって提供されており、そのパワーとトルクは、ZF製の8速オートマチックトランスミッションによって4輪に分配され、駆動する。
これにより、2.5トンの巨大な車は、0から100km/hまでわずか3.9秒で到達することができる。
とはいえ、ベントレーは居住性を失わないよう、シャシーの引き締めは控えめにおこなった。トップモデルの優先事項は、明らかに高いレベルのサスペンションの快適性にある。このように、この英国製の大きな象は、公道での爽快な走行に適しており、レーストラックでは限られた範囲でしか使用できない。
パワーSUVの王様の購入には、現在235,000ユーロ(約2800万円)の費用がかかる。
その唯一無二の存在性のために、ベンテイガ スピードは、実質的な価値を失うことはなく、より高価になる傾向がある。そのため中古のモデルであっても高価だし、普通の生活の人間が買うべきかどうかは、答えに窮する車ではある。
Photo: Bentley Motors
BMW X5 M:
ドイツ国内のライバルであるアウディとは対照的に、BMW Mのエンジニアは、パワーSUVのために古典的なガソリンエンジンに頼っている。
2015年から2018年にかけて生産販売された第3世代のX5(F15)の最も強力なバージョンは、575馬力と750Nmのトルクを持つ4.4リッターのツインターボV8を搭載している。そしてXドライブの全輪駆動への動力伝達は、8速オートマチックトランスミッションによって行われる。
このようにして、2.35トンの鉄の塊は、静止状態から4.2秒後には100km/hに到達し、他のメーカー同様、最高速度は250キロ/hで自主的に制限されている。
さらに、X5 Mは驚くほど俊敏なハンドリングと、アダプティブシャシーのおかげで十分なサスペンションの快適性を提供する。したがって、高速道路だけでなく、レーストラックでも果敢にパフォーマンスを発揮する(ただし、レーストラックに持ち込むべき車ではないことは言うまでもないが)。
X5 Mは現在、新車で購入するには、高額な114,300ユーロ(約1370万円)の費用がかかる。走行距離が5万キロ未満の良質な中古モデルは、現在6万ユーロ(約720万円)弱からとなっている。この車も消耗パーツは高価だし、燃費も著しく悪いので、維持をするときにはしっかりとそのたくわえをしておこう。
BMW X6 M:
X6を使って、BMWは全く新しいタイプの車を作った。
それがSUVクーペだ。
スポーティなルーフラインを持つこの先駆者の第2世代に、猛烈なMバージョンが用意されるのは当然予想されたことだ。
技術的には、クーペバージョンはX5 Mとほぼ同じ構造で、ここでも575馬力の4.4リッターV型8気筒エンジンと2つのターボチャージャーがボンネットの下で猛威を振るっている。四輪駆動方式と8速オートマチックも同じだ。
X6 Mは、見た目が従来のX5 Mに比べて10キロほどしか軽くなっていないため、走行性能も同じで、最高速度250km/h、0-100km/hスプリントは4.2秒だ。
しかし、クーペ版の俊敏性と走行精度の高さには驚かされる。
価格面では、結局X6 MがX5 Mを上回った。
新車としては117,700ユーロ(約1410万円)と、さらに40万円ほど高くなった。
走行距離の比較的少ない中古モデルは、約58000ユーロ(約695万円)から市場に出回っている。
果たして屋根のぺったんこのSUVがどういう層にアピールするのかわからないが、それでも人気は高い。X5よりも実用性は劣ることは言うまでもないが、そういうことを冷静に考えて購入する車ではないだろう。
Photo: Ronald Sassen
ジャガー F-PACE SVR:
ジャガーは2019年の初めからパワーSUVを投入した。F-PACE SVRによってジャガーはパワー不足の問題を解消した。搭載された5リッター過給機付きV8エンジンは、550馬力という出力と680Nmのトルクを発揮し、ZF製8速オートマチックトランスミッションを介して四輪に分配される。
最高速度は283km/hで、0から100km/hまでの加速タイムは4.3秒だ。
同時に、重量が2トンを超えるF-PACE SVRは、横方向への傾斜もほとんどなくコーナーを曲がる。
最大の欠点はやはり燃費の悪さだろう。普通のドライビングスタイルでも、イギリスのネコは100kmを走るのに15リットル以上を必要とする(6.66km/ℓ)。
ジャガーF-PACE SVRの新車価格は101,000ユーロ(約1200万円)で、数ヶ月しか経過しておらず、走行距離も少ない中古モデルは86,000ユーロ(約1030万円)から市場に出回っている。さらにジャガーの常で、数年経過した中古車は著しく価格が低下する傾向にある、F-PACEも例外ではないため、数年経過した車はかなり安くなるだろう。
Photo: Jaguar Land Rover
ジープ グランドチェロキー トラックホーク:
2017年から提供されているジープ グランドチェロキーのトップモデルは、SUVの形をした本格的なマッスルカーだ。
ボンネットの下で働くのは、ダッジ チャレンジャー ヘルキャットで知られるV8ユニットで、すべてのエンジンの中で最もアメリカンな6.2リッターは710馬力を発揮する。性能データ以上に印象的なのは、エンジンの残忍なサウンドだ。
868Nmのトルクは、8つのギアを備えたオートマチックを介して4輪に伝達される。
スタートから100km/hまではわずか3.7秒で到達し、スピードは290km/hで限界に達する。
名前が示すように、アメリカンSUVはレーストラック用に開発され、そこではまともなパフォーマンスを発揮する。
ただし、ガソリン消費量は膨大だ(おそらく日本で使用すると、5km/ℓ程度であることは覚悟しておくべきだ)。
新車の2.5トンのジープは132,900ユーロ(約1594万円)で、中古モデルは73.000ユーロ(約876万円)から市場に出回っている。また、この車も中古車になると数年で値段が大変下がる傾向にあるため、数年待つと良い物件に巡り合える可能性も高い。台数は少ないが。
ランボルギーニ ウルス:
もちろんランボルギーニもSUV市場におけるシェア獲得のために、2018年以来、ワイルドなアウトルックを備えたウルスを投入している。
ウルスは1993年にLM002が生産中止されて以来、初のオフロードランボとなる。
ランボルギーニの新型SUVは、650馬力、850Nmを発揮する4リッターV8ターボエンジンを搭載している。
最高速度305km/hを有する2.2トンのイタリアンは、一時、世界最速のSUVとしての記録を保持した。しかし、直後にベントレーがその最速記録を1km/h上回るベンテイガ スピードを投入したことによって、2位に甘んじている。
しかし、ランボSUVは、8速オートマチックトランスミッションと可変四輪駆動のおかげで、わずか3.6秒後に0から100km/hに加速、到達する。
ウルスはスポーティさと同時に、優れたオフロード走行性能も可能だ。
オプションのオフロードパッケージを購入すれば、追加の走行モード「テラ(オフロード)」と「サッビア(砂)」を取得できる。
イタリア製スーパーSUVの新車購入には、少なくとも204,000ユーロ(約2448万円)の費用がかかる。中古車購入で節約の可能性を期待している人は、失望するだろう。中古車市場での最も安いオファーは、現在新車より高い215,000ユーロ(約2580万円)だ。
その理由は絶対的な数の少なさはもちろんだが、だいたいオプション装備が数百万単位でつけられている車ばかりだからである。ゆえに新車も中古も気軽に買える車ではないし、維持することにもそれなりの度胸と費用が必要となる。なにせこれはランボルギーニなのだから。
Photo: Ronald Sassen / AUTO BILD
レンジローバー スポーツSVR:
2014年以来、レンジローバー スポーツSVRはレンジローバーのパフォーマンスモデルの頂点に立ってきた。
その市場投入から3年後、モデルはアップグレードを受けた。同時に、5リッター過給機付きV8エンジンの出力は550馬力から575馬力にアップされた。700Nmのトルクは、8速オートマチックトランスミッションを介して四輪駆動システムに伝達される。
その結果、0から100km/hまでのダッシュは4.5秒、最高速度は283km/hを記録した。
そしてそれらのパワーをフルに発揮しても、2.3トンの巨象はワインディングロードでバランスを崩すことはない。アダプティブエアサスペンションを最も高いポジションにセッティングすれば、英国製SUVは木の幹を乗り越えることもできる。
いわば、真のオールラウンダーだ(ほとんど)。
しかしレンジローバーのトップモデルは全く経済的ではないし、安くもない。
レンジローバー スポーツ SVRの新車は、少なくとも 135,200 ユーロ(約1622万円)し、中古のフェイスリフトモデルでは、約105,000ユーロ(約1260万円)を想定する必要がある。
ただし日本ではあまり人気がないことも確かで、数年経過するとあっという間に半額以下になることもあり、そのサイズと存在感などを別とすれば比較的安価で購入することが可能な場合もある。
Photo: Jaguar Land Rover
メルセデスG 63 AMG:
厳密に言えば、旧型Gクラス(W463)は単なるジャンクSUVではなく、本物のオフロードカーである。
しかし、正直に言おう。
G 63 AMGをオフロードで乗る人はいるだろうか?
特に世代交代前の最後の膨張期(2012年~2018年)には、どちらかというと裕福な都市居住者や目立ちがり屋さんたちに人気があった。
後者は、何よりもサイドパイプからのV8サウンドに魅せられていた。
5.5リッターの8気筒ツインターボエンジンは、当初は544馬力を発揮し、2015年からは571馬力にアップした。動力伝達は7速オートマチックトランスミッションを介しておこなわれた。
スタートから5.4秒後、2.5トンSUVは100km/hに到達する。最高速度は210km/h、AMGドライバーズパッケージを装着すると230km/hになる(むろん追加料金がかかる)。
旧式のシャシーのため、Gは残念ながら直進でしか速く走れない(もっといえば、直進安定性もたいしたことない)。
新車時のG 63 AMG 2017の価格はなんと145,358ユーロ(約1744万円)した。
走行距離が過走行な中古モデルは、約75,000ユーロ(約900万円)から市場に出回っているが、全体的にGモデルは値下がりが少ないため、あまりに安いモデルは程度も悪く、決しておすすめできない。程度の良い車を購入するためには、それなりの費用が必要だし、新しいモデルが出たにもかかわらず、この「古い463」モデルも高値安定なままだ。
Photo: Werk
メルセデスAMG GLC 63:
2017年以降、メルセデスAMGはGLCとGLCクーペに63シリーズのバージョンも提供している。
クラシックな姉妹モデルであるC63同様、ミッドサイズSUVのトップモデルは、よく知られた4リッターのV8ツインターボを搭載している。
ノーマルのGLC 63では、このパワーユニットは476馬力、650Nmのトルクを発揮する一方で、ハードコアバージョンのAMG GLC 63 Sは、510馬力と700Nmを発揮する。
動力伝達には、9つのギアを備えたスピードシフトオートマチックトランスミッションが標準で装備されている。
もちろん全輪駆動も標準装備されている。
GLC 63は4.0秒後に100km/hに到達し、最高速度は250km/hで自主的に制限されているが、追加料金を払えば、280km/hまでアップできる。
GLC 63 Sの0-100km/h加速タイムはGLC 63より0.2秒速い。
全体としては、GLCのトップモデルかなり俊敏だが、高速コーナーでは1.9トンを超えるその重量を否定することはできない。
最近フェイスリフトされたGLC 63は、現在、新車価格が86,370ユーロ(約1036万円)からとなっている。対照的に、それなりの走行距離のフェイスリフトの前に製造された中古モデルは、約65,000ユーロ(約780万円)から市場に出回っている。
さらにこれから数年経過すれば値下がりは必須だが、荒く乗られる場合も多いので、コンディションにはくれぐれもご注意あれ。
メルセデス-AMG GLE 63:
GLC 63の兄貴分のGLE 63もパフォーマンスSUVクーペとして提供されている。ラグジュアリークラスのSUVのトップバージョンは2015年に登場し(それ以前のモデルはまだMLと呼ばれていた)、最近正式に2代目にモデルチェンジした。
初代のボンネットの下には、旧型の5.5リッターV8ツインターボがいまだにその仕事をしている。
標準モデルのGLEでは、このエンジンは557馬力と700Nmのトルクを、7速オートマチックトランスミッションを介して前後左右の4輪すべてにパワーを供給する。
一方、Sバージョンは585馬力、760Nmのトルクを発揮します。
どちらも通常は250km/hで自主規制されている。
しかし、オプションとして有料で280km/hまで引き上げることができる。
2.2トンの標準モデルGLE 63は4.3秒後に100km/hに到達する。
Sは全体で28馬力アップしているものの、それよりも0.1秒しか速くない。
2016年モデルでは、スワビア(シュヴァーベン)製のパワーSUVの新車価格は、111,681ユーロ(約1340万円)だったが、適切に使用された程度の良い中古車は半額に近い65,000ユーロ(約780万円)から市場に出回っている。
通常のモデルよりもハイパワーなこともあり、タイヤはあっという間に減るし、ブレーキパッド&ディスクなども減りやすい。そういうことをよく理解したうえで購入するべき車である。
Photo: Ronald Sassen
メルセデスAMG GLS 63:
メルセデスの全長5.13mのSUVフラッグシップの初代は、2015年から2019年までGLS 63として提供された。
それは、1ランク下のGLEのトップバージョンGLE 63 Sとエンジンを共有していた。
しかし、ほぼ2.6トンのGLSを牽引するためには、5.5リッターV8ツインターボユニットは、充分とは言い難いようだ。
0-100km/h加速タイムは4.6秒で、弟分GLE 63 Sのトップバージョンよりもほぼ半秒遅い。最高速度は250km/h、または270km/h(有料のオプション)だ。
GLS 63は、最初に期待するよりも扱いやすい。
しかし、もともとサイズも大きく、スポーツカーではなく、高速道路での長距離走行を志向のモデルとして作られている。そのため、調整可能なシャシーと余裕のあるトルクが、滑らかな高速走行を可能にする。
新車としてのジャイアントGLS 63の2017年型の購入には、なんと140,241ユーロ(約1680万円)を要した。中古で、走行距離が50,000キロ未満のメルセデス最大SUVの最も強力なバージョンは、約75,000ユーロ(約900万円)から売りに出されている。また今後は値下がりも多きいのではないかと予想される。
だが車の絶対的な大きさは駐車スペースも、通ることのできる道も限られることがある。さらに燃費は絶望的なので、ハイオク満タンの際には覚悟しておこう。
Photo: Daimler AG
ポルシェ カイエン ターボS:
ポルシェ カイエンのトップバージョンは、元祖パワーSUVの1台だ。
2013年から2017年まで、カイエン ターボSの第2世代が生産ラインから行動へと出て行った。
ハイレグなスポーツカーで、エンジン容量4.8リッターのV8ツインターボを搭載している。当初は550馬力を発揮していたが、2015年からのアップデートモデルでポルシェは570馬力にまで出力をアップさせた。フェイスリフトされたカイエン ターボSの最大トルク800Nmは、8速ティプトロニックを介してリアヘビーな全輪駆動システムに伝達される。
この2.3トンパワーSUVは、最高速度284km/hを発揮し、4.1秒で0から100km/hまでダッシュできる。
さらに、このスポーツSUVは、ほとんど馬鹿にできないほどの俊敏なハンドリング、卓越したトラクション、優れたブレーキなどの高いレベルの特徴を備えている。
カイエンシリーズのチャンピオンの当時の新車価格は170,504ユーロ(約2046万円)。走行距離5万キロ未満の保存状態の良い中古モデルは、半額以下の8万ユーロ弱(約960万円)から市場に出回っている。
ターボモデルも比較的台数も多く、良い中古車を見つけることができる。しかしこの車もハイパフォーマンスSUVの欠点で、タイヤがめきめき減りやすく、あっという間に数十万円単位の出費が必要になる場合も多い。普通のカイエンよりもその頻度は多いので覚悟しておこう。
ポルシェ マカン ターボ:
2014年、ポルシェはSUVのラインナップを下方に拡大し、新しいモデルを世に送った。
小型のマカンのパフォーマンスバージョンは、ポルシェブランドの典型的な呼び名のターボが与えられた。もちろん四輪駆動システムは装着されている。
ただし、V8ではなくV6を使用している。
2018年のフェイスリフト前には、3.6リッターのツインターボエンジンは400馬力の出力と550Nmのトルクだったが、パフォーマンスパッケージでは440馬力と600Nmものトルクを発揮していた。
トランスミッションは、7速のダブルクラッチ式だ。
マカン ターボのより強力なバージョンは、0 から 4.4 秒で 100km/hまでのスプリントを完了し、最高速度は272km/hだ。
2トン弱の重さを持つスワビアン製パワーSUVは、市場で最もダイナミックなSUVの1台であり、その軽快な足取りは、ケイマンをどこか彷彿とさせるものさえある。
2017年製のパフォーマンスパッケージを搭載したマカン ターボは新車当時、91,964ユーロ(約1100万円)という価格だった。良い状態の中古モデルは約63,000ユーロ(約756万円)から市場に出回っている。
言うまでもなくマカンはカイエンよりも安く購入することができる、しかし、その大きさや燃費、さらに維持費などはカイエンとそれほど違うわけではない。マカンの維持費はカイエンよりも大幅に安いと誤解すると痛い目にあうのでご注意あれ。
Photo: Christoph Boerries / AUTO BILD
Text: Elias Holdenried