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【残したいグランドツーリングカー】ニッサン スカイライン 400R

2023年8月12日

ニッサン スカイライン 400Rは究極のグランドツーリングカーだ。世界的なSUV人気の陰で、セダンの人気は下がり、ついにはモデルラインナップから外されていくほどだ。いや、待ってほしい。自動車の基本形であるセダンは、まだまだ進化する!

スカイラインのラインナップから2ドアクーペがなくなり、GT-Rが独立した今、スカイラインはセダン一筋だ。1957年に誕生して以来ミケロッティによるデザインの「ツリ目」、「ハコスカ」、「ヨンメリ、ケンメリ」、「ジャパン」、「ニューマンスカイライン」、「鉄仮面」、「セブンス」、「R32」、「R33」、「R34」といった世代ごとのペットネームとともに、常に日本の自動車史を彩ってきた。そして2013年に誕生した13代目のV37が現行モデルとして熟成が重ねられている。

綿々と引き継がれるニッポンの名車

スカイラインの輝かしい歴史の話はさておき、今回試乗した「400R」は、スカイライン史上最大パワーの405馬力エンジンを搭載して2019年に誕生、ドアミラーはブラックアウトされ、控えめながらスパルタンな雰囲気を醸し出している。「400R」の名はエンジンパワーに由来する。また、搭載されるVR30DDTT型3.0L V6ツインターボは新型「Z」にも搭載される名機だ。

「スカイライン NISMO」、「スカイライン NISMO Limited」が発表され伝説のスカイラインは生き続ける。

「400R」は同乗者にやさしい

高出力エンジンに7速AT、電子制御ショックアブソーバー、世界初のダイレクトアダプティブステアリングなどの「400R」に搭載された技術を5つのドライブモードがハイパフォーマンスを実現する。「400R」に追加されたPERSONALモードは112通り(!)の⾛りから選べる。この辺りは、さすが「技術の日産」である。

これらの技術的要素の配合がうまくいったかどうか、約300kmの試乗で確かめてみた。

それでは出発だ。4人の乗員と荷物を積んで、さっそく高速道路に入った。目的地は富士スピードウェイ。高出力V6ツインターボエンジンを搭載した「400R」が高速道路で本領を発揮することは、すぐに明らかになる。

坂道知らず。4人の乗員と荷物を積んでもパーワー不足を感じることは一切ない。

大人が4人乗れて、どの速度域でも力強く加速し、インテリジェント ダイナミックサスペンションによる極めて快適なサスペンション、コンベンショナルな4ドアセダンだが、印象的に静かに走る、高性能をひけらかすことをしない大人のクルマ。この「400R」はそんなクルマだ。

航続距離約700km

また、数時間の運転でも疲れない、肩の凝らない、フィット感の高いコンフォートシートは秀逸だ。「400R」は、長旅を満喫するには完璧だ。”Are we there yet?”が、”Oh, are we there yet?”になる。

80リットルの燃料タンクは、高いエンジンパワーを常に使用しなければ、約700kmの航続距離を可能にする。高速道路を流れに乗って走行すれば800km以上走ることが可能だ。今回の約300kmの走行での燃費はリッター8.8kmであった。褒められる数字ではないが、ハイパフォーマンスカーとして炎天下を意のままに、快適に走行出来ることを考慮すれば悪くない数字だ。

我々のグランドツアラーは、日常走行テストのエクスプレスパート(高速部門)を見事にクリアした。4人の乗員と荷物を載せて走る行程の中に弱点はないのだろうか?もちろん、2トンという車重や、4.8メートルという全長は、スポーツカーとしてのデータとは言い難い。とはいえ、2.85メートルというホイールベースと、後輪駆動の組み合わせで、クルージング走行はもちろん、曲がりくねった田舎道でも、スムーズに、驚くほど気持ちよく走れるのだ。

低速走行を強いられる市街地でのスロットルワークは注意が必要だ。うっかりアクセルを大きく踏むとビックリすることになる。

また、市街地での運転は注意が必要だ、アクセルを優しく踏まないとビーストが顔を出す。「400R」は短距離の街乗りよりも長距離の移動が好きなようだ。

「400R」はSUVを敬遠する人たちのための最適なグランドツアラーだ。4つのドア、独立したラゲッジルームを持つウェルネスラウンジとして、ニッチで貴重な存在である。

【評価と採点】
通勤: 長距離通勤者には嬉しい。約590万円という価格はバーゲンと言っていい。
5点満点中5点
ショッピング: ラゲッジルームは大きくはない。2メートルボディサイズは駐車場では左右の幅を意識して駐車した方がいい。
5点満点中4点
ホリデー: 長期休暇の旅行のお供に最適だ。4人でゴルフは行けない。
5点満点中4点
家庭生活: 子供用タクシーというより、プライベート新幹線か。
5点満点中4点

【ひとことで言うなら】
・この車で乗り付けると、近所の人は何て言うんだろう?
「これは何というモデルですか?初めて見ました」
・なぜ、この車を友人に薦めるのか?
「400R」はグランツーリスモ&ツーリングカーを愛する人には極上のクルマだ。

スカイライン400R
• エンジン: DOHC・筒内直接燃料噴射V型6気筒
• パワー: 298kW(405PS)/6400rpm
• 長さ/幅/高さ: 4810/1820/1440mm
• 燃費: 10.0km/L(WLTCモード)
• 価格: 5,899,300円より

Text&Photo:アウトビルトジャパン