【ユーズドカーチェック】10万キロ超のマツダ ロードスターの評価は?
2020年6月2日
四代目マツダMX-5は最高? 走行距離10万キロを超える中古車としてロードスターの評価と価値とは?
2015年に登場したニッポン製極上ロードスターの第4世代。
一見、アグレッシブなスタイリングのジェネレーションNDは、MX-5の典型的なデザイン言語を壊しているように見えるかもしれないが、ほんの数メートル走っただけで、すべてのMX-5ファンは、日本人が原点に絶対的に忠実であり続けていることを感じとることができるだろう。低重心、軽量、サクサクとしたギアシフト、後輪駆動のカクテルは、これまで以上に消化しやすい味を持っている。
そんなMX-5の初代(NA)が発売されてから早や31年。
2000年代くらいまでは、MX-5は、「美容師用のポルシェ」などと言われて蔑まれていたが、今では、多くのエンスージアストたちがMX-5を運転して楽しんでいる。
ND第1および第2シリーズのトランスミッションは問題を起こすことが多い?
先代の(NC)MX-5では悪天候がサビの原因になることが多かったが、現行のモデルが登場してまだ5年しか経っていないのに、NDがどれだけサビに弱いかを最終的に判断するのは早計だろう。しかしマツダは今のところ錆び対策をしっかりとっているようだ。
アルテンディエズ(ラインラント=プファルツ州)にあるSPSモータースポーツのオーナーであり、MX-5のエキスパートでもあるヤン スピース氏は、彼の工房では現在までのところまだ錆の問題を抱えたNDの個体は見たことがないという。一方で、チューナーでありレーサーでもある同氏は、「NDの深刻な弱点は、最初の2シリーズのギアボックスだけです。我々はすでに30~40台のトランスミッションの損傷を修理してきました」、とスピース氏は言う。トランスミッションの交換作業には5時間かかるそうだ。
中古車のトランスミッションに問題があるかどうかを見極める最良の方法は、もちろん実際にテストドライブをすることだ。
テクニカルデータ | |
エンジン | 4気筒/フロント縦置き |
バルブ/カムシャフト | 4/2 |
排気量 | 1496cc |
最高出力 | 131PS@7000rpm |
最大トルク | 150Nm@4800rpm |
最高時速 | 204km/h |
0–100km/h加速 | 8.1秒 |
燃料タンク容量 | 45リットル |
トランスミッション/駆動方式 | 6速MT/後輪駆動 |
全長/全幅/全高 | 3915/1735/1225mm |
トランク容量 | 130リットル |
乾燥重量 | 1006kg |
傾斜したステアリングホイールは必ずしも事故を示しているわけではない
一方、スロットルが離された(つまりアクセルオフ時)のハウリングノイズは、アルミクロスバーに対してデファレンシャルが起動したときにおこるが、NDの損傷の兆候ではない。
MX-5をあまり深刻に考えないようにしてオープンにして走ってみよう。そうすれば気にならなくなる程度の問題なのだから。
【フォトギャラリーと結論】
結論:
MX-5は、31年の間にロードスターの伝説へと成熟した。第4世代は私たちの目には最高のものだ。ルーフを素早く開けることができるからだけが理由ではない。何よりも車の基本であることに忠実であり、弱点がほとんどないからだ。
そしてそれは10万キロ走行しても、前述の魅力が失われることはない。NDロードスターは小さく、そして軽く作られている。車が様々なデバイスで重く複雑になっている現在、小さく、そして軽く作ることにどれだけの技術とエンジニアの情熱が必要なのかは言うまでもないだろう。
ロードスターの魅力は、シンプルに、そして車の基本に忠実に作られていて、よく走り、よく曲がり、よく止まることにある。NAロードスターの登場時に持っていたそれらの魅力が、31年を経過しても生き続けていることはマツダの良心であり、エンジニアの熱い想いが今も冷めていないということであろう。賞賛に値する。
10万キロ走行した車を購入することはめったにないかもしれない。だがもし10万キロ走行したロードスターがそこにあったとして、今までのオーナーが大切に使用し、そしてできるだけ改造などが施されていないとしたら、その車を購入することは間違いではない。確かにいくつかの部品は劣化しているかもしれないし、内装からゆるい音が発生しているかもしれない。だがそんな劣化している部品を交換し対処することも、この車にとっては楽しみになるし、世の中に交換パーツは無数にあるのだから心配は不要である(パーツ代もリーズナブルな価格だから問題ない)。
もし内装からきしむ音が聞こえたり、なんとなくヤレが感じたりしたならば…。幌を開けてしまえばいいだけのことだ。
オープンカーの幌を開けて乗れば、たいていの場合、音も少しの不具合も解放感とともにどこかに吹き飛んでしまうだろう。そもそも、ああだ、こうだと、細かいことなど考えずに乗ることこそが、オープンカーの正しい使用方法なのだから。
判定: 5点中4.5点
Text: Stefan Novitski
加筆:大林晃平
Photo: Thomas Ruddies