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ガチンコ勝負 ホンダかマツダか シビック対マツダ3一騎打ち 勝者は?

2020年5月31日

ホンダ シビック対マツダ3: テスト、エンジン、価格

マツダ3がホンダ シビックをはねのける? 新型マツダ3とホンダ シビックという、どちらかというとカジュアルな2台のサルーンの比較テストをおこなった。果たしてどちらがどのように優れているのだろうか?

800点満点中544点で第1位: マツダ3ファストバックSKYACTIV-X。
大きさやデザインには感動するが、万能な車ではない。エンジンは経済性だけが光っていて、楽しさはない。だがそれ以外には文句を言うところはほとんどない。
価格: ヨーロッパでは26,790ユーロ(約321万円)から。

800点満点中519点で第2位: ホンダシビック1.5 VTECターボ
マツダ3とのギャップは明らかであるが、シビックは明確に定義された強みを持っている。その偉大な部分はエンジンと調和のとれたシャシーだ。
価格: ヨーロッパでは32,990ユーロ(約395万円)。

ほぼ正確に3年前、1.5リッターVTECターボを得たホンダシビックは、マツダ3(その頃の日本名はアクセラ)との一騎打ちを行った。そしてシビックはその比較テストで文句なく勝利した。そして、マツダは2019年に新世代の3シリーズを発売した。2017年とは異なり、今回はSKYACTIV-Xエンジンを搭載したマツダ3セダンがホンダ シビックに再挑戦する。

シビックはよりドライビングプレジャーにフォーカスしている

マツダのSKYACTIV-Xの高圧縮エンジンは、均質圧縮点火方式に従って作動する。簡単に言えば、これはディーゼルエンジンとガソリンエンジンの動作モード、すなわち圧縮点火プロセスと火花点火プロセスを組み合わせたもので、消費量を大幅に削減することを目的としている。しかし、スパークプラグは常に電極が作動しているため、SKAYACTIV-Xは決して真の自己点火装置ではない。この全く新しい原理は間違いなく経済的だが、ボンネットの下に真の革命があるわけではない。
シビックは、燃料消費上ではSKAYACTIV-X同様に優れていて、全体的にはより多くの運転の喜びをもたらす。その心地よいサウンドのVTECターボは素早く反応し、勇気を持って高回転にまで駆け上がり、非常に弾力性を感じる。182馬力とは思えないフィーリングだ。
一方でSKYACTIV-Xは、先代モデル(165馬力)よりも非力に感じることもある。そして2.2のディーゼルエンジンよりも明確に非力である。

ダイナミック。シビックはスロットルにきちんと反応し、よく調整されたシャシーは完璧にフィットしている。

マツダ3の新エンジンは説得力に欠ける

マツダ3のエンジンは実際には150馬力くらいに感じる。その理由はシビックと比較して300kgほど重い車重のせいだけではない。加えて、このエンジンは今回のテスト中に、いくつかの小さな誤作動を起こして、2、3回はコンマ数秒間スロットル操作を拒んだりしたので、テスターは驚いてガス欠かとおもわず燃料計を確認したほどだ。
我々はシンプルに主張する。「私たちはSKAYACTIVE-Gや2.2のディーゼルエンジンのモデルエンジンの方が好きだったんだよ、マツダ!」。
それに引き換え、マツダ3のフォルムには素直に感動した。このセダンは本当にクールになった。そして、ハッチバックに比べて、4ドアモデルは乗りやすい。ヘッドルームやインテリアスペースも増えていて、そして室内もカッコいい。
シビックはフロントとリアの空間は広くなっているが、ルーフラインが低くなっていることが主な原因で、後席は窮屈に感じる。このホンダはどちらかというとスポーティなタイプで、それは着座位置の低さや、よりスパルタンなインテリアにも顕著に表れている。

マツダのやや高めの価格は正当化されている

マツダは快適さというジャンルでホンダを制するが、シビックはその驚くほど吸収力に富んだ足回りが光る。
マツダのサスペンションはやや不安定で、時にアグレッシブな挙動をすることがある。マツダの基本的に硬いサスペンション、正確なハンドリングを保証するものとは言えない。その代わりに、マツダは優れたシートでそのことを補っている。後部座席では、マツダが快適なポジションを確保しているのに対し、ホンダはやや面倒な手動での調整で頻繁に修正しなければならない。
価格面でのギャップはほぼないに等しいくらい小さい。我々のテストカーでは、シビックが約900ユーロ(約10万円)、マツダ3より安い。しかしその見返りに、マツダはホンダに備わっていないたくさんのものを提供してくれる。それは、材料の品質から始まり、より洗練されたインフォテインメント、より豪華な装備とより包括的なアシスタンスシステムといったラインナップだ。
最後だが大事なことは、市場では、少なくともマツダのほうが、リセールバリューが上昇しつつあるということだ。単純にデザインの優れたマツダのほうが、人々に人気があるということだろう。

【フォトギャラリーと結論】

テストカーの構成では、シビックもそれなりに充実しているが、マツダ3の装備は素晴らしい。そしてその差はわずか900ユーロ(約10万円シビックのほうが安い)しかない。
見事なまでに美しいプロポーションとスタイリングを備えた現代マツダのデザインビューティの1台だ。
ホンダも前後のバランスのとれたスタイリングだ。
ホンダはどちらかというとスポーツドライビングにフォーカスしたタイプで、低い着座位置や、よりスパルタンなインテリアにもそれが顕著に表れている。
マツダは、デジタルとアナログを備えた読みやすい燃料計を含む計器クラスターで明確に構造化されており、かなり整然としている。画面はドライバーに向かって傾いている。
シビックは、その驚くほど軽いサスペンションと、素晴らしいエンジンとの調和のとれたセットアップを兼ね備えた、ドライビングの楽しめるスポーティなモデルだ。
バリューフォーマネー。30,590ユーロ(約360万円)という価格でマツダは多くのものを提供する。材料の品質から始まり、より洗練されたインフォテインメント、より豪華な機器とより包括的な支援システムといったラインナップだ。

結論:
マツダ3と言えばハッチバック、といったイメージが日本では先行しているが、実際にバランスよく室内スペースも広く、そして大きさもジャストフィットのセダンの方が本筋、であると私は思っている。
一方、シビックはセダンよりもハッチバックなのではないかと思う。というか、現行モデルはセダンなのかハッチバックなのかわかりにくいデザインになってしまってはいるが、ハッチバックの方がより明快なデザインで、やはりシビックはハッチバックと思ってしまうことは事実だ。
今回はマツダ3が若干のポイントをリードして勝利を得たようだが、このテスターたちの意見同様、私もSKYACTIV-Xだったから勝利を得たということではない点がミソであり、問題なのだ。
皆様ご存知のようにSKYACTIV-Xはガソリンエンジンとディーゼルエンジンのいいとこ取りのような印象で、世の中に出ておきながら、現時点ではちょっとどっちつかず、なのではないかという辛口の評価を受けることがほとんどだ。
さらに難しいと思われるのは、普通のガソリンエンジンモデルと比較した場合、70万円ほども高価になってしまう価格と、それだけ支払ったのに外観はバッチのみの相違点というわかりにくさ。マツダの熱血ファンでなければ超えられない高い、高い敷居、それが現状でのSKYACTIV-Xなのである。
であるならば、せめてSKYACTIV-Xのモデルだけ外観などは大きく変えても良かったのではないか。例えばメルセデスベンツのAMGパッケージとか、BMWのMラインのように、外観上、明らかに違う何かがあったらもっと訴求できたのではないか。言うまでもなくオリジナルのデザインは完成していて、そこに後付けのパーツなどをつけることをデザイナーは、よしとしないかもしれない。だが現状のままではあまりにもハードルの高いモデルがSKYACTIV-Xである。
またSKYACTIV-Xの性能に忖度して廃止してしまった2.2のツインターボディーゼルエンジンモデル。このことが残念でならない。ゴルフのGTDのように、スポーツモデルのキャラクターをマツダ3に与え、特別なモデルとして大切に育てる気はなかったのか? 一度メーカーに聞いてみたい。そういうちょっとしたボタンの掛け違いこそが、せっかく素晴らしい車を生みだしているのに販売不振のマツダの理由のような気がしてならないのである。
一方のシビックはわが国ではすっかり、タイプRだけのような車になってしまっているが、セダンもハッチバックもちゃんとまだ売っている。だが昔のシビックを知っている者にとっては、今のシビックを普通の実用車と考えたならば大きく、煩雑なデザインを持つ、やや高価な車、というイメージになってしまうのではないか。今度のホンダeのように明確で、シンプルでホンダらしいシビックが出てくれたならば、うれしいのだが…。もっとわがままを言えば、ホンダeの外装と内装で、ハイブリッドか、プラグインハイブリッドのようなシビックが出てくれたならば、と思う人も多いのではないか。
今度のフィットを見ていると、ホンダの新しいデザイン言語は、なかなか明瞭で良い感じである。だからこそシビックも、ホンダeに負けないような外装と内装で登場し、美しく素晴らしい精度の内装と外装を持つマツダ3の好敵手になってくれたらと願う。
現在のマツダ3に足りないものは前のモデルであったような2.2ディーゼルエンジンのような魅力的なエンジン(とわかりやすい外装と内装を持つSKYACTIV-Xモデル)、一方のシビックに足りないものはホンダeのような魅力的な外装、というのが私の意見である。

Text: Stefan Novitski, Dennis Heinemann
加筆:大林晃平
Photo: AUTO BILD / Christoph Börries