新車情報 メルセデスAMG E53クーペ

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メルセデスAMG E53クーペ(2020): 価格、エンジン

EクラスクーペのV8はまだない。
メルセデスはAMGのE53クーペとカブリオにパナメリカーナグリルを含む新しいフロントを採用したフェイスリフトを発表するが、まだそこにはV8はない!

サルーンとエステートモデルに続いて、メルセデスAMG E 53 クーペとカブリオレにも、AMG GTを彷彿とさせるような新しいエクストラスポーティなパナメリカーナフロントが採用される。その他にも、変更された点は多い。

➤ デザイン
➤ インテリア
➤ エンジン
➤ 価格

統一された外観のパナメリカーナグリル

メルセデスは以前からマーケットを把握認識しており、ほぼすべてのメルセデスモデルにパナメリカーナスタイルのラジエーターグリルのレプリカを提供しているが、AMGにもそのラインナップを拡大しつつある。近くフェイスリフトを受けてデビューする、E53クーペとE 53カブリオレにも、顧客に非常に人気の高いパナメリカーナスタイルのグリルが装着されることになる。これは、従来のダブルクロームブレースの代わりに、12本の垂直ストラットを採用したデザインであることを意味する。

Eクラスのフェイスリフトと並行して、フルLEDヘッドライトのサイズが縮小され、ナンバープレートの下には、5つの垂直ストラットと別のエアインテークが備わっている。ファンはスポーティな外観を賞賛することが多いが、このグリルが増え続けたり、AMGパッケージのダイアモンドグリルが増え続けたりすることが本当に得策なのかどうか、即答する自信はない。一見すると、フロントビューはメルセデスAMG GT53 4ドアに思われる可能性もある。

一方、リアデザインはそれほど目立つ変更点はないが、53モデルは4本の丸いテールパイプ(「AMGナイト」パッケージの一部で、オプションでクロームまたはブラックが選択可能)で識別できるようになっている。さらに、リアライトがわずかに着色されており、ボディカラーのティアオフエッジもオプションとしてカーボンファイバー製のものがオプションで用意されている。E53クーペとカブリオレには19インチホイールが標準装備され、20インチホイールもオプションで利用できる。

ナローテールライトは、AMGバージョン用に採用されたものだ。カーボンレッキングエッジはオプションだ。

クーペとカブリオレの新しいステアリングホイール

インテリアのハイライトは、サルーンやエステートモデルでもおなじみの、3本の丸みを帯びたダブルスポークとXXLサイズのスリーポインテッドスターを備えた新しい「AMGパフォーマンスステアリングホイール」だ。水平方向のスポークには、クルーズコントロールや電話、インストルメントクラスターコントロールなどなど、さまざまな機能を操作するためのボタンやセンサー面が配置されている。スイッチ類は大変多く、やや煩雑な部分もあり、慣れるまでには時間が必要だ。
フェイスリフトバージョンでは、ステアリングホイールのシフトパドルもわずかに大きくなり、低くなっている。ステアリングホイールを除けば、インテリアはあまり変わっていない。AMGのレタリングと赤い縫い目が入ったレザーレプリカ「アルティコ」のスポーツシートが標準装備され、赤いシートベルトとカーボンファイバーのトリムエレメントも標準装備されている程度である。

インテリアの最大の変更点は、3本の丸みを帯びたダブルスポークを備えた新しいステアリングホイールだ。スイッチ類は大変多く、慣れるのには時間が必要。この写真ではパフォーマンス(一つ目)メーターだが、普通の2眼メーターもコントローラーで選択可能。フレームレスになった(らしい)ルームミラーに注意。

E53 クーペには依然V8はない

E53のドライブトレーンに変更はない。これは予想されていたことだが、AMGファンが4リッターV8を搭載したE63クーペへの要望と憧れは根強いものがある。V8が用意されないかわりにE53クーペとカブリオレには、サルーンとエステートモデルと同様に、48Vハイブリッドシステムを組み合わせた3リッター直列6気筒M256が搭載されており、ターボチャージャーと電動補助コンプレッサーにより435馬力と520Nmのトルクを発揮する。EQスタータージェネレーターは、さらに22馬力と250Nmのトルクを短時間で発揮しサポートする。
トランスミッション「AMGスピードシフトTCT 9G」は、完全可変式の4MATIC+全輪駆動システムにパワーを適切に配分する。クーペは0から100km/hまでのスプリントタイムを4.4秒で実現しているが、より重量のあるコンバーチブルはそれより0.2秒長くかかる。最高速度は250km/hに制御されているが、AMGドライバーズパッケージを注文すれば、270km/hまで引き上げることが可能だ。

ファンはEクラスクーペのV8バージョンを待ち望んでいるが、現時点ではエンジンに変更はない。

しかし、1つだけ進化した点がある。それはメルセデスAMGがこれまでよりパワフルなV8バージョンのみに与えていた「AMGダイナミックプラスパッケージ」を、6気筒モデルに初めて提供することだ。このパッケージには、ドリフトモードを含む「レース」走行モードが追加されている。そのことは赤いブレーキキャリパーで認識できる。

80,000ユーロ(約960万円)以下のものはない

メルセデスはまだ価格表を公表していない。先代モデルは、メルセデスAMG E53 クーペが81,592ユーロ(約979万円)から、E53カブリオが87,066ユーロ(約1,044万円)からとなっていた。今回のフェイスリフトにより、価格は若干上昇するはずで、我々は、クーペは約83,000ユーロ(約996万円)から、カブリオはおそらく88,000ユーロ(約1,056万円)以上からの価格設定になると予想している。そしてもちろん多数のオプションが用意され、欲しいものを組み合わせていくと、簡単に200万円くらい高くなることは覚悟しておいた方がよい。

メルセデスAMG E 53クーペとカブリオレには、AMG GTを連想させることを目的とした、新しい、よりスポーティなパナメリカーナフロントが与えられる。53シリーズのモデルには、4つの丸型テールパイプが備わっている。
標準で19インチのホイール、オプションで20インチホイールが用意されている。
電動3リッター直列6気筒は完全可変式4MATIC+全輪駆動システムに動力を伝達、クーペを4.4秒、コンバーチブルを4.6秒で0から100km/hまで加速させる。

今やメルセデスAMG E53クーペといわれて、それがどのような形で、どんなエンジンを搭載しているか、即座に答えられる人は少ないだろう。それより以前に、現在のAMGにはどんなラインナップが存在するのか、一覧表を見なければディーラーでさえ説明できないほどの数が存在している。
さらにE53だから、5300ccエンジンだろうと安直に思う人は、もうおじさん以上の年齢で、実際には3リッター6気筒のクルマなのだから、そのネーミングに関してもわかりにくく、把握しにくいことこの上ない。
だが一つだけ言えることは、AMGというのはかなり前から、メルセデスベンツのスポーツで上級のモデルという位置づけのブランドであり、昔のように特別なチューナーが仕上げたチューンドメルセデスベンツではない、ということだ。そういう意味で言えば、マイバッハというのは、普通のメルセデスベンツ以上の豪華で高価な一ブランドであるということができるし、AMGパッケージはAMGまでの高性能までは不要だが、姿かたちだけはAMGのようにスポーティなモデルが欲しいという選択をするユーザーのためのラインナップなわけである。
蛇足ながら、AMGにもマイバッハにもディーゼルエンジンのモデルが存在しないのは、実用性や現実感ではなく、どちらもイリュージョンを商売にしている証拠である。

普通のベンツだって十分以上に速く、そして他の車よりも高価である。だがそれ以上の車が欲しい、という人の欲望を満たすためにAMGもマイバッハも存在する。
メルセデスは、温暖化や環境対策という名目でEVを一生懸命に開発し、市場にこれからも投入し続ける。その一方で、これからもAMGはより高性能なモデルをより多く投入し続けるだろう。同じメーカーなのに、いったいどっちが本音なのか? 一度メルセデスの偉い人に聞いてみたい質問ではあるが、どちらが好きかという質問であれば、きっと高性能で楽しい方を選ぶ、と答えるはずである。
完全EVのAMGというのは、いつの日か登場するのだろうか?

Text: Jan Goetz
加筆:大林晃平
Photo: Daimler AG