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新型アルピナXB7登場 BMW X7 アルピナ621馬力チューンナップバージョン

2020年5月31日

BMWアルピナXB7(2020): 価格、チューニング、性能、馬力、ウェイト

BMWスペシャルチューナーとして世界に知られるアルピナがBMW X7を621馬力のXB7に変身させた。ヘビーなBMWのSUVのスポーツバージョンはこんなにも速いのか!?

BMWの拠点ミュンヘンの西に位置するブーフローの街を本拠地とするBMWチューニングのスペシャリスト、アルピナは現在、BMWの高級SUV、X7をスポーツモデルに変身させる最終作業に取り掛かっている。
BMW自身が大型7シーターSUVのMバージョンを作らないため、アルピナは独自にX7をさらに高性能なXB7へと昇格させている。アルピナXB7がベースとするモデルは、V8ツインターボが530馬力を発揮するBMW X7 M50iだ。アルピナのエンジニアは、8気筒エンジンの出力を621馬力にまで引き上げた。
価格は155,200ユーロ(約1,862万円)から。アルピナ XB7 は今すぐにでも注文することができ、最初のロットは 2020 年 12 月にデリバリーされる。

XB7を見れば、このSUVがもはや普通のBMWではないことはすぐにわかる。独自のメーカーとしても登録されているチューナーは、X7をスポーティでエレガントなものにトリミングした。アルピナの常として、エアダムスカートと大径アルピナホイールが特徴となる。

4本のテールパイプを備えたボリュームのある排気システム

アルピナのデザイナーは、パッケージにレーストラックの繊細なタッチを与えた。フロントには、拡大されたエアインテークとアルピナのレタリングが施されたスポイラーリップが備わっていて、この両方が、XB7 を公道でより際立たせる。サイドでは、典型的なアルピナのホイールが目立つ。21 インチの鋳造ホイールが標準装備され、典型的な「アルピナ クラシック」鍛造ホイールはオプションとなる。XB7では、初めて23インチ!!のサイズに拡大された。リアでは、チューナーがSUVにディフューザー付きの独立したスポーツエプロンと、4本のテールパイプを備えたエレガントなエキゾーストシステムを装着されている。

スポーティX7はアルピナ製のディフューザー付きエプロンと4本のテールパイプを装備している。

大容量スポーツカーのラウンジの特色

アルピナは、XB7 のインテリアも一新し、X7 シリーズをリファインした。
アルピナ XB7 には、4 色のメリノレザーインテリアが標準装備されている。コンフォートシート、3列目シートにヒーター、アルカンターラ製ヘッドライナーも基本装備の一部だ。ステアリングホイールの衝撃吸収装置やセンターコンソールの iDrive コントローラーなどのディテールには、アルピナブランドのロゴがあしらわれている。フルデジタル計器クラスターのビューもアルピナのデザインに合わせて変更され、より多くの設定オプションが可能になっている。
XB7にもっと多くの贅沢をもたらしたい人は、11,000 ユーロ(約132万円)を超える「ラヴァリーナ」レザーインテリアを選ぶこともできる。もちろんカラー、素材は選び放題で、どのようなものにも変身させることができる。

内装は上質そのではあるが、せめてアルピナくらいは逆回転のタコメーターを直してほしい(グラフィックの問題だから、直せるはず。そういうことをやってこそのアルピナではないか)。

エアサスペンションにより、より低い地上高での走行が可能

BMW X7のロードホールディングを向上させるために、アルピナはXB7に2軸エアサスペンションとアクティブロールスタビライザーを備えたスポーツサスペンションを採用している。これにより、BMW X7をロードサーフェイスに最大40mm近づけることが可能となり、重心をさらに下に移動させることが可能になった(M50iでは20mm)。
ボディ剛性を高めるために、ドームバルクヘッドストラットに加えて、強化されたトーションストラットがアンダーボディに取り付けられている。
BMW X7にすでに標準装備されているZF製8速スポーツオートマチックトランスミッションは、アルピナによってさらに改良され、より敏速にシフトチェンジが行えるように調整されている。その結果、このトランスミッションはXB7の増大したトルクの要求に応えるものとなっている。また、XB7のサイズにもかかわらず機敏に動けるように、リアアクスルも操舵できるようになっている。サプライヤーのZF社が開発した「アクティブキネマティクスコントロール」により、最大2.4度の操舵角が可能になった。

XB7のiDriveコントローラーには、アルピナのロゴが追加された。その上には、もちろんアルピナのプレートも装着される。

大型8気筒エンジンにさらなるパワー

XB7はアルピナ流に最良の方法でBMWモデルに比べて性能も向上している。4 リッターV8ツインターボは、621馬力にまでパワーアップし、800Nmの最大トルクを発揮する。
あなたがアルピナに期待するように、より大きなターボと改善された冷却コントロールシステムにより、エンジンはより効率的になっており2.7 トンという車両重量にもかかわらず、0 から 100 km/hまでを4.2 秒で加速し、最高速度290km/hまで一気に駆け上がる。

先日、自粛中のとある休日、仲の良い友人と、一生の中で所有してみたい「夢の車は何かについて」長電話した。その友人のチョイスは911かアルピナで、特にアルピナはオプションのブルーにするか、グリーンにするか、徹底的に迷って決めたい、と彼は語った。
そういう私もアルピナには、特別なあこがれがある。
それは高校時代、ということは40年近くも前のことではあるけれど、ヨコハマタイヤのCMに登場した、故ポール フレール氏(フェラーリでルマン24時間耐久レースに勝ったアマチュアレーサーで、その後、世界でもっとも有名な自動車ジャーナリストとして活躍した)が、アルピナグリーンに塗られたB7Sターボクーペでサーキットを走り抜けるCMにすっかり魅了されてしまったのである。
その頃は東京都内であっても、アルピナはめったに出会えない希少な車だった(普通のBMWにアルピナデカールを貼っただけのクルマはいっぱい存在したが…)。
ましてやB7Sターボクーペは、一台も見たことがないまま現在に至っている。
その当時のアルピナのラインナップは、3シリーズベース、5シリーズベース、そしてヨコハマタイヤのCMに登場した6シリーズベースの3種類で、7シリーズのアルピナはなかった(はず)、とにかくボディが3種類に、エンジンの違いが数種類(しかもMTのみだったはず)というのがすべてであった(というよりも、そもそもBMWのラインナップが、それだけだったのである)。
そんな時代のアルピナは、それは、それは輝いていて、私も一度はグリーンに塗られて、細い金のストライプの入ったアルピナに乗ってみたい、と心の底から憧れたものだ。もちろん今でも街でアルピナを見かけると、得したような気持になる。いつもアルピナはそんな存在で、その影響力の発信元はしつこいかもしれないが、ポール・フレール氏のCMだった。
そんなB7SクーペのCMから40年が経過すると、ニコルオートモビルズが日本で取り扱うアルピナの多くがXD3となっていることに驚く。そして今度はXB7という大型SUVのラインナップ追加…。もはやアルピナでさえも、ますますSUVラインナップを充実させ、普通のセダンタイプは少数になってしまうのだろうか。
蛇足ながら、私の友人も私も、現在も憧れているアルピナは、B3(D3)、あるいはB5(D5)のセダンに限るという意見にまとまって、その日の長電話は終わった。二人とも四捨五入すると60代のおじさんたちにとっては、SUVのアルピナはやっぱりしっくりこないのである。
ポール フレール氏が見たらこのXB7、どうお思いになるだろう?

Text: Andreas Huber
加筆:大林晃平