【クラシック オブ ザ デイ】超クールなドリフトキングの三菱ランサーEvo 豪快なサウンドとダイナミックな走り
2023年7月6日
三菱ランサーEvoは、最初はラリーの野獣であり、次にチューニングの寵児となり、そして映画のスターとなった。さらに、この日本車はそのクレイジーなドライビングダイナミクスで輝きを放った。
ラリーコースで銃撃戦のようなことが起きても、ファンは身を隠したりしない。それどころか、より高く頭を上げる!というのも、この大迫力のスペクタクルこそが「三菱ランサーEvo」の登場を告げる可能性が高いからだ。
その技術は、兄貴分の三菱ギャランに由来する
1992年、三菱はラリー用「ギャラン」の技術を、はるかにスリムなランサーに詰め込んだ。250馬力、全輪駆動、アクティブリミテッドスリップディファレンシャルは、地球上のスピードフリークたちがすぐにジェネレーション1の市販バージョンに食指を動かした理由の3つである。
フィンランドのトミー マキネンのようなチャンピオンがステアリングを握ったとき、「ランサーEvo」はラリー世界選手権で4連覇(1996-1999)を達成した。そして、さらに。「ランサーEvo」は、今日に至るまでモータースポーツのさまざまな場所で使われているのだ。
ランサーエボはラリーコースから映画館のスクリーンへ
初代モデルの外向的な外観とラフなマナーは、スポーツマンだけでなく、速い三菱への興味を引きつけた。チューナーたちはすぐにランサーに注目し、すぐにワイルドな改造を施した。
「三菱ランサーEvo」はスクリーンにも登場した。映画『ワイルド・スピード』シリーズの第2作目と第3作目に「ランサーEvo」が登場し、日本車のクレイジーな動力性能を観客に納得させた。そして、彼らは本当に狂っている。
2016年、『AUTO BILD SPORTSCARS』誌は、「ランサーEvo」のジェネレーションXについて、「エボは他にはないトルクを操り、個々のホイールにブレーキをかけ、他のホイールに的を絞ったパワーを与え、フロントとリアをシフトさせ、連結を解除し、ドッキングさせることができるのです。確かに複雑に聞こえますが、最終的には、トラクションとハンドリングを事実上シームレスに織り成す絶対的にユニークなドライビングダイナミクスにつながるのです」と、評価している。
大林晃平: ランサーエヴォリューション、通称ランエボが生産中止になってずいぶん時間が経ってしまった。言うまでもなく最大の好敵手は青いスバルだが、どちらを好むかはその人の価値観と、どちらのシンパかということだと思う。個人的にはスバルのストイックなまでの成り立ちにより一層の格好良さを感じるものの、ではランエボが嫌いかと言われたら決して嫌いではなく、自由に一日乗ってよいと言われたらものすごく嬉しい、そんな車である。そしてその内容は進化を続けた結果、ものすごいモンスターになっていたのであった。この車を見かけると、なぜかゴジラを連想してしまう。
だがそんなゴジラのような自動車の高性能を、僕の腕で十分に発揮し満喫できるかと言えばそれはまた別問題で、私の場合、おそらく目をはじめとする身体がその速さについて行かないのではないか、と思う。乗せられている方も同じで、その当時に助手席に座った(座らされた)ことがあるが、全開加速をされた時には、むち打ちになるかと思うほどの加速であった。そして車から降りた後、その日の夜には下痢したことを思い出す。今まで車に酔った記憶は一度もないが、下痢したことはあの時だけである。仕方なくビオフェルミン胃腸薬を飲んだ。
もちろん普通の車と並んで街を走るだけでよいのであれば特別な技術も必要としないし、エアコンを効かせながらラジオで森永卓郎を聴きながら移動することも別に困難でもなんでもない。そういう意味では典型的な日本車だし、信頼性だって心配いらないだろう。
だがその性能をフルに発揮し、乗りこなそうとした場合、それなりの強靭な肉体を持っていなければ頭痛がしたり、お腹を壊すほどの強烈な性能を持っているし、おそらくそれだけの性能を発揮することのできる場所が、日本では公道上に見つけることが不可能かもしれない。とにかくランエボもインプレッサも年々たゆまずに進化し続けた結果、人間の限界を超えるほどの性能を持っているようになり、もうこれ以上は無理です、というレベルにまで最終系では達していたような気がする。
さてそんなランエボだが、「ワイルド・スピード」の影響があってか、驚くほど高く、8年落ちでも600万円くらいするし、10年から18年落ち(!)でも300万円くらいは当たり前の値段がつけられた個体がほとんどだ。たまに妙に見つける安い物件は過走行、あるいは修復歴「あり」という感じで、ちゃんとした程度の良いランエボに乗りたければ300~700万円は必要であろう。
それでも欲しいという人を私は止めないし、むしろせっかくだから「今こそ」ぜひ愛車にしてたくさん乗ってほしい、とも思う。そして、もうこういう車は三菱から発売されることはないかもしれないが(なにしろベース車両がないのだから・・・)、全世界には熱狂的な三菱ファンが多くいる、という事実をメーカーは忘れてはいけないと思う。それこそが財産なのだから。
これからもランエボの価値は下がらないどころか、伝説的なイメージのまま歩み続けることと思う。
Text: Lars Hänsch-Petersen