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耐久テスト 三菱アウトランダーPHEV 5万キロ時点での評価は?

2020年5月28日

三菱アウトランダーPHEV: 耐久テスト

プラグインハイブリッドのパイオニア。走行距離5万キロを走った後にあらためて考える、三菱アウトランダーPHEVの強みと弱点。

アウトランダープラグインハイブリッドが、我々の耐久テストに参戦するまでに、三菱は長い時間を要した。
初代プラグインハイブリッドモデルは、2003年にすでに欧州で提供されており、時代をはるかに先取りしていた。もう17年前のことだ!
エコカーに対する補助金と0.5パーセントという低い法人自動車税のおかげで、三菱車は欧州市場でヒットし、大きな成功を収めた。三菱はすでにドイツだけでも5万4,382台の新規登録されている。欧州全体で10万台近くも販売している。
もちろんプラグインハイブリッドとしてだけではない。当初はプラグインなしの安価なガソリンエンジンのシェアが優勢だった。しかし、2019年には64%のユーザーがプラグインハイブリッドバージョンを選んでいる。

燃費と航続距離が最大の弱点

2019年4月15日、毎年恒例の耐久テストが始まった。輝きのあるマザーオブパールホワイトの三菱アウトランダーPHEVは、贅沢な装備を備えていて、コスト:49,990ユーロ(約600万円)だった。エキストラコストとして、これに、600ユーロ(約7万2千円)のナビゲーションシステムが追加された。したがって、三菱は、Apple CarPlayとGoogleマップを兼ね備えることになった。
だがより重要なことは、そのドライブ、スペースとハンドリングだ。それらが、アウトランダーが我々に残した印象だ。そしてそれは、そのバックグラウンドノイズに象徴される。
トヨタ プリウスのような加速時の燃焼エンジンの遠吠えのような音はない。音色も挙動も控えめで、必要なときにはさりげなくスイッチが入る。非常に気持ちがいい。全体的な遮音性を伴う。
ダンパーも十分に機能している上に、しっかりとしたシャシーと18インチホイールが悪路でのパフォーマンスも保証する。
全体的に見て、大きく快適な座席と十分なスペースのあるリラックスしたツーリングカーとしてもお勧めだ。
最大の弱点は燃費と範囲だ。三菱のスペック表によれば、電動のみの航続距離は54キロまでとなっている。我々の実際のテスト開始時には、50 キロをカバーし、1 年後には、その航続距離は45kmにまで減った。そしてこれからも減り続けるだろう。

きれいに整えられたエンジンルーム。ボンネットの下には、精巧なプラグインテクノロジーを示すものは何もない。
テクニカルデータ
エンジン 4気筒、フロント横置き
排気量 2360cc
最高出力 135PS@4500rpm
最大トルク 211Nm@4500rpm
電動モーター フロントアクスルとリアアクスルにそれぞれ1基
性能 フロント60kW(82PS)/リア70kW(95PS)
最大トルク フロント137Nm/リア195Nm
システム最大性能 165kW(224PS)
バッテリー リチウムイオン
容量 13.8kWh
駆動方式 全輪駆動/自動入力
全長/全幅/全高 4695/2121 mm/1710mm
ホイールベース 2670mm
乾燥重量 1951kg
ペイロード 439kg
牽引能力 1500kg
トランク容量 463~1602リットル
最高速度 170km/h
0-100km/h加速 10.5秒
平均燃費 10.2km/ℓ
CO2排出量 46g/km
Eレンジ 54km

アウトランダーPHEVは速度制限のある道路向けに設計されている

我々はアウトランダーPHEVを「長距離旅行という野心のない日曜大工や職人のための万能トラクター」と位置付けた。言い換えるなら車にあまり趣味がなく、道具として使う人のための、短い電動航続距離の実用車、ということである。
また燃費なども決して良いとはいえず、耐久テストの期間中、燃費は平均でリッターあたり10kmだったが、スポーティなペースで走ると、リッターあたり約8kmだった。
そしてガソリンタンクは小さい(43リットル)ので、より頻繁なガソリンスタンド訪問を余儀なくされた。三菱がガソリンエンジンにアトキンソン原理を採用していることは変わらない。エンジン技術に深く関わることなく、目的はガソリンエンジンの燃料消費量と排気ガスを減らすことだ。そしてそれがまた性能を奪う。
3,000キロの長距離走行後の我々の得た結論は、アウトランダーは四輪駆動の重いSUVを必要としない場所でのみ経済的で、すなわち、都市交通の短い旅行を意図したコンセプトのもとに、速度制限のある公の道路での走行のために開発されたモデルだというものだった。

燃費をよくするためには時速130kmでクルーズコントロールとともにスムーズに文字通りクルーズする。そうすれば、リッターあたり12kmの燃費も可能になってくるはずだ。そして実際に我々はそれを試してみた。
800キロに及ぶミュンヘンからハンブルクへの途上、たくさんの荷物ともにテスト車に乗っていたのは三名。しかし室内スペースはかなり広く快適であったため、全員、リラックスして楽ちんな旅を楽しめたし、ハンブルクに着いた時も笑顔とともに車から降りた。後部座席に座っていても、旅は苦痛にはならなかった。
2回のピットストップ(小さなタンクのせい!)の際も、全員、喜んでコーヒーブレイクのために時間を費やした。実際に燃費もリッター12キロは走ったし、十分快適であったと言える。

信頼性に関しては文句のつけようがない

5万キロ走行後もアウトランダーは信頼性の高いリラクゼーションという面ではまったく問題はない。内燃機関エンジンと2基の電動モーターも、仕上がりにも不満はない。
ただし、コックピット内のさまざまなスイッチの配置と分散は、慣れるのに時間がかかるし、デザインも決して良いとはいえず、はっきり言って古臭い、
あとは適当に充電ステーションの配置場所をよく把握しておくことだ。

時速130kmでクルーズコントロールを使ってゆったりとクルージング。そうすれば、リッターあたり12kmも可能となる。

【フォトギャラリーと結論】

三菱アウトランダーPHEVは2003年から欧州で販売されている。エコカー補助金と0.5%という低額の法人自動車税のおかげで、販売が成功したのは3代目になってからだった。
ナビゲーションシステムは追加で600ユーロ(約7万2千円)かかるが、Apple CarPlayとGoogleマップが付いてくるので必須アイテムだ。
悪路では18インチホイールのガタガタした音しかしないが、それにもかかわらずしっかりとしたシャシーは完璧にフィットしている。快適なシートと十分な室内空間を備えゆったりとしたツーリングカーとしてもお勧めだ。
最大の弱点は燃費と電動のみでの航続距離だ。その航続距離は54kmとスペック表にはあるが、現実的には50キロか、それ以下だろう。
ガソリンタンクが小さい(43リットル)ので、長旅の際には頻繁な給油のためのストップが必要となる。
Photo: Uli Sonntag / AUTO BILD
トランクルームにも最大1602リットルという十分なスペースが備わっている。
ロードコンパートメントカバーの下に充電ケーブル用のストレージコンパートメント。よく整理整頓されていて、いかにも日本製らしい。
リラクゼーションも問題ない。リラックスした走りを楽しめる。後部座席でも、長旅は苦痛とはならない。

結論:
三菱は2003年からプラグインハイブリッドSUVを作っており、他の日本メーカーに先行していた。
第三世代は日常使用用に作られ、問題なく、信頼性も高い。
しかし、昨今ではライバルも多く登場し、電気のみでの航続距離も少なく、ライバルたちに負け始めている。内装のデザインやスイッチ類などは、はっきり言って古臭く、時代遅れだ。
今年後半に8年ぶりにフルモデルチェンジしてデビューする予定の三代目アウトランダーに期待したい。

Text: Manfred Klangwald
Photo: Toni Bader / AUTO BILD