【このクルマなんぼスペシャル】カロッツェリアの名門 ピニンファリーナがデザインした名車たちの価値とは?高騰中?下降中?
2023年7月5日

ピニンファリーナデザインの名車はこれくらいで買える。ピニンファリーナの名車は、超高価か安価か?!イタリアのデザインスタジオ、ピニンファリーナは、数十年にわたって世界のカーデザインにその名を刻んできた。フェラーリの向こう側では、安価なエントリーカーに巨匠のサインが刻まれている。
ピニンファリーナという名前は、クラシックカーファンの舌の上でとろけるようだ。トリノを拠点とするこのデザインスタジオは、イタリア国内にとどまらず、広く自動車の歴史を刻んできた。創業者のバティスタは、台形ラインでモダンサルーンのスタイルを確立した。
そして、アルファ、ランチア、神話に登場するフェラーリなど、多くの人気車種にピニファリーナ家のサインが刻まれている。AUTO BILD KLASSIKが選んだ「史上最も美しいクラシックカー100選」の中には、ピニンファリーナのデザインスタジオから生まれた名車が13台も含まれている!
とはいえ、優れたスタイルが高価であるかといえばそうでもない。ピニンファリーナの場合、中古車販売店で格安で手に入ることもある。
例えば、プジョー306カブリオや406クーペなど、数十年にわたるイタリア・フランスとのコラボレーションが終わったクルマがそこにある。フェラーリ456GTに似ているとの声も多い。V6として、フランス車は状態の良いもので5,000ユーロ(約77万円)から入手できる。フェラーリはその10倍はする。
メルセデスSLに対するゼネラルモーターズの回答であるキャデラック アランテもピニンファリーナによってデザインされ、コンディション2が1,3200ユーロ(約205万円)、コンディション3が7,800ユーロ(約120万円)と、V8ロードスターとしてはお買い得である。
ピニンファリーナクラシックの市場相場

大林晃平: つい「何十億円で取引された」というニュースが先行してしまう250だが、フェラリー(なぜか、昔はフェラーリではなく、フェラリーと呼ぶ自動車愛好家も多く、亡くなった父もフェラリーと呼んでいた)の、ピニンファリーナのなかでも、硬派なスポーツカーいえば250が最右翼であろう。今の誰でも(こういう時に、女子供という差別発言は厳禁、って不自由な時代だ)免許を取得した日に教習所から乗って帰れるようなフェラーリとはワケがちがう。クラッチ(おそらく)重く、ステアリングも(たぶん)重く、エアコンなどないから夏は灼熱地獄で(絶対)快適さの「か」の字もないような自動車だが、もはや骨董的美術品レベルの一台。コレクターがひっそりと自分のガレージに収めるのが通例、と思いきや、本当のヨーロッパのお金持ちは委細構わずイベントなどで全開して、たまにクラッシュしたりしているのだから豪胆である。(だがそういう部分が粋で格好いいと思う)もちろん購入するとかそういうレベルではないし、私ごときには座ることも触ることもできない250だが、こういう世界もあるということと、これからもきっと最高額更新のニュースで世の中を賑わせることは、華やかで楽しい話題である。
Bild: Courtesy of RM Sotheby’s

大林晃平: マセラティ クアトロポルテと聞いて、奥山清行氏デザインのこのモデルを連想する方も多いと思う。個人的にはゴッドファーザーパートⅢに登場し、その後ロイヤルと呼ばれるようになったモデルの危ないほどの存在感や、その後のモデルの怪しい魅力も捨てがたいものの、世の中で一般人にも認知されるようになったこのモデルの妖艶さは断トツだろう。そういう怪しい魅力という意味では、妙に大きく間延びした感じを抱いてしまう現行のクアトロポルテよりもはるかに上で、日本でもアンダー200万円から300万円ほどで入手できるようになった現在、欲しくなってしまう人の気持ちはよくわかる(私だって欲しい)。だが迂闊に手を出すことがもっとも危険な車であることも事実で、外れくじを引こうものなら、驚くほどの維持費が必要なことも確か。電装系をはじめ、初期型では致命的な部分であるミッション、そしてエンジン部分にもメンテナンスは必須なポイントが多い。だが、そんなこと気にしてどうする、マセラティ クアトロポルテだぜ、と楽観的に快楽の道へ進める方にこそぜひ乗ってほしい。妖艶でエロチックな魅力あふれるクルマ・・・。所有する方にもそんな男らしさが必要なので、乗る人は限られるだろう。
Bild: AUTO BILD Montage

大林晃平: プジョーが一番美しく、ピニンファリーナらしい端正で黄金比のデザインを備え持っていた時代は、個人的にこの306や405、406あたりの時代なのではないかと思う。もちろんもっと昔の504あたりの時代、あるいはもっと以前、という意見も認めるが、バランスよく、普遍的に美しいデザインの自動車らしいプジョーといえば、やはりこの時代なのだと感じる。そんな時代の306カブリオレも、今や日本では絶滅危惧種的になったようで、街で見かける機会は激減した。中古車市場でもだいたいアンダー100万円で取引されており、幌の修理費(これは必須項目)や、AL4オートマチックトランスミッションのトラブル、エアコンの不具合などなどを覚悟しても、ちょっと欲しくなる一台ではある(もちろん100万円の車両価格の倍以上のメンテナンス費用を用意しておくことは必要)。それにしても、こういう素敵なプジョーのカブリオレがラインナップから消え、ゴルフとガチで勝負する、みたいなモデルか、SUVのみになってしまった今、もう一度洒脱に、そして気楽に乗れるオープンモデルがプジョーのラインナップに欲しいことも事実。ぜひ地中海やアドリア海周辺にお住いの方たちのためにも、こういう素敵な女性もののサンダルみたいな一台を復活させてほしい。
Bild: AUTO BILD Montage

大林晃平: おそらく世界中の自動車エンスージャストが大好きで、絶賛し、格好良いエレガントなランチアのクーペモデルというのはこういうの、のこと。端正でいながら、どこかに高貴な雰囲気を漂わす・・・。こんなデザインを描けるピニンファリーナはやはりただものではない(自動車とイタリアが大好きな友人が、自分の愛猫にフラミニアという名前を付けていたほどだ)。とはいっても、日本市場では中古車物件ゼロ。世界的に見ても、こういうモデルは表に出ることはなく、ひっそりと世の中の裏側で個人売買されるパターンがほとんど。どうしても欲しい方は、ランチア愛好家の方とまず知り合いになって、そこから数年かけてネットワーク構築し、巡り巡って手に入れる、という長い道のりが必要、という「人間関係のつながりがすべて」のような部分もイタリア的。とにかく今から60年前の車とは思えぬほどスマートで、優美。世の中のすべてのランチアがBEV化されるのなら(本当かよ)、こういうランチアをBEVで出しとくれ。
Bild: AUTO BILD Montage

大林晃平: 今から半世紀ほど前、日本で一番高価な自動車は3,900万円の正札がぶらさがった、このカマルグだった。内容的にはシルバーシャドウとほぼ同じだったにもかかわらず、その価格はざっと2倍。「競馬場の馬主席に乗り付けるのに好適」と書かれたカーグラフィック誌の本文をつい思い出す(あまりにも的確すぎて暗唱したほどだ)。だが正直言って、このカマルグがそれほどエレガントでスマートかと言われると、ちょっと悩む部分も多い。たしかに圧倒的な存在感と怪しいほどの迫力を持ってはいるものの、よりエレガントでお金持ちらしさを醸し出しているのは、同時に売っていたコーニッシュ(あるいはコーニッシュ クーペ)の方なのではないか、というのがその理由である。日本では宇津井 健氏の愛車であったことも有名なカマルグ。さすがに中古車市場にはないだろう、と検索してみたら、なん1987年モデルのコーンズもの(外装ホワイト、内装レッド。オプションで100万円以上するはずのピクニックテーブルつき。分厚いシャギーカーペットにももちろん靴のあとなし)が、走行3,000キロメートルで発売中!価格は3,600万円と新車価格の一割引き。さあまたとないチャンスの到来。カマルグファンのあなたは、売り切れちゃう前にコンタクトを急げ。
Bild: AUTO BILD Montage

大林晃平: アルファロメオファンなら、おそらくどうしても外せない一台がこういうスパイダーモデル。もちろんこの写真のようなデュエットやジュリアのスパイダーには限りない魅力も感じるものの、もはや出会うことも入手することも困難な状況。個人的には90年代のスパイダーならば200万円台で購入可能だし(そういう状況も、今だけ、かも)、程度の良いものにも巡り合えそうなので、エンスージャストの門をたたくにはそちらもお薦めしたい(3速オートマチックトランスミッションもあるが、もちろん購入するのならマニュアルミッションの方。さらっとオートマチックトランスミッションで乗ることも否定しないが、トラブルの要因が一つ減るため)。
もちろんそれなりの維持費がかかることも事実ではあるが、このサイズでこの軽さのアルファロメオはもう出てこないだろうし、今が最後の出会いのチャンスかもしれないからだ。
Bild: AUTO BILD Montage
5万ユーロ(約770万円)までの中価格帯では、アルファ スパイダーのようなカルト的な人気を誇るモデルから、創業者が愛したというランチア フラミニア クーペのような通好みのモデルまで、メゾンのクリエーションを数多く見ることができる。
Text: Martin Puthz

