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新車情報 ジャガーXE フェイスリフトバージョン 購入アドバイス

2020年5月26日

フェイスリフトによってジャガーXEが得たプラス面とは?

ジャガーXE購入アドバイス。ジャガーXEがアップデートを受けた。フェイスリフトがもたらした改良点はいったいどのようなものなのだろうか?

ジャガーがパリサロン2014で新型XEを発表したとき、ファンの間では安堵のため息が漏れた。その車は素晴らしいデザイン、適切なエンジンレンジ、そして何よりも後輪駆動というラインナップだったからだ。その昔、フォード モンデオのプラットフォームをベースにビッグキャットを駆動しなければならなかった、Xタイプの悲惨さは何も残っていなかった。
しかし、それ以来、多くのことがXEの属しているクラスでは起こっている。ほとんど伝統的にドライビングダイナミクスのお手本とされているBMW 3シリーズも完全に新しいモデルに生まれ変わり、メルセデスCクラスをはじめ、アルファロメオ ジュリアやその他の新しくデビューしたライバルモデルは、競争を激させており、XEの環境を厳しくさせている。
そのため、ジャガーは対応策としてXEにビックマイナーチェンジを敢行、コンパクトなフルLEDライトを与え、さらにフロントエプロンのデザインを一新するなどして、市場に投入した。ノーマルモデルとスポーティなRダイナミックモデルの両方で、実際のグリルの下に台形のエアインテークが追加され、その部分左右の2つのフィンが空力効率を向上させている。
リアのライトもデザインが変更され、ジャガーが強調しているようにモータースポーツのルーツを彷彿とさせるものとなった。
新型ジャガーXEの価格は43,690ユーロ(約524万円)からとなっている。

コックピットにも新機能が多数搭載されている

我々の250馬力テストカーのインテリアは、ディスプレーで溢れていて、新型XEの中でも最も印象的な変化を遂げている。ルーフに装着されたデジタルインテリアミラーは、リアで何が起こっているのかを広角かつシャープな画像で提供する。その利点は明らかだ。後部座席の乗客もリアウィンドウのフレームも視界をさえぎることはない。テストの最初の段階では、見慣れないイメージに目が慣れ、ミラーの焦点が正しく合うようになるまでには、常に1~2秒かかった。しかし、クリアサイトを装着して運転すればするほど、気にならなくなり自然に感じるようになった。
追加料金 は600ユーロ(約7万2千円)だ。

600ユーロで、クリアサイトのデジタルインテリアミラーには、ミラーの代わりに広角カメラの画像が表示される。

素材の質が大幅に向上

XEは、全電動モデルのi-Paceからインテリアにデジタル技術を転用している。これによりドライバーは12.3インチのデジタルスピードメーターを見ることができる。これは、ナビゲーションマップも表示できるため、特にワイドメインディスプレーをインフォテインメントや同様の目的で使用する場合に非常に実用的だ。
さらに、部分的にデジタルディスプレイ化されたクライメートコントロールがあり、最新のテクノロジーと、従来通りの触覚の適切な2つの多機能ノブで行われる。送風機の強さや温度を設定するかどうかを選択するには、まずノブを押すか引く必要があり、その後、それぞれの機能がダイヤル内の別の小さなディスプレーに表示される。
XEは素材の面でも、同じリーグのライバルたちよりも、半歩上のレベルにあると感じる。高品質でよく仕上げられた外観を実現している。ヘッドアップディスプレーはよりエレガントにダッシュボードに組み込まれ、ステアリングホイールもi-Paceのものを採用し、ギアチェンジも、回転スイッチによるものは廃止され、F-TYPEと同スポーティなセレクターレバーを使って、バックグランドでマニュアル操作ができるようになっている。これまでのドライビングポジションのギアセレクターホイールは、リフトアップされたXEでは過去のものとなっている。ただ、我々の好みから言えば、ステアリングのシフトパドルの位置は、もう少センチ離れたところにあったほうがいいと思う。

デジタルスピードメーターユニットと中央スクリーンを備えたディスプレーパッケージは「i-Pace」から、回転スイッチによるものは廃止された。またステアリングホイールとオートマチックギアセレクターは「F-Type」からそれぞれ転用されたものだ。

ボンネット下のマイナーチェンジとは

一方でジャガーは、今回ボンネットの下でより多くの改良を行った。旧型ジャガーXE Sの6気筒は当分の間、レンジから完全にはずされ、ベーシックな200馬力ガソリンエンジンでさえも、レンジから外された。ディーゼルの場合は、180馬力のバージョンだけが残された。
幸運にも我々のテストカーは、トップモデルで、Rダイナミックパッケージが備わっていたので、スポーティな走りを存分に楽しむことができた。
しかし、新型ジャガーは、経済的で、十分魅力は備えているが、最後の一押しが足らないようにも思う。
装備の面では、大型の中央ディスプレーや駐車助手のような最も重要な機能がすでに含まれているため、ラインナップの中間バージョン、SEを選択すれば十分だし、HSEはさらに多くの快適さと支援システムを望む人が選択するだろう。Rダイナミックパッケージは、スポーティなタイプを好む人むけといえる。

テクニカルデータ
エンジン/排気量 R4ターボ/1997cc
最高出力 184 (250) HP@5500rpm
最大トルク 365Nm@1300~4500pm
最高速度 250km/h
トランスミッション/駆動方式 8速ATトルクコンバーター/後輪駆動
0–100km/h加速 6.5秒
平均燃費 14.2km/ℓ
CO2消費量 160g/km
ベース価格 44,390ユーロ(約532万円)

結論:
ジャガーは今回のマイナーチェンジで何をやったのか。
一言で表現するのであれば、今までのモデルのラインナップや装備などの整理と、他のコンペティーターに追いつくための改良である。もちろん様々な見えない部分での改良を行ったことは言うまでもないが、できるだけその魅力をシンプルにわかりやすく伝えながら、さらにこれからの数年をライバルに負けないようなものに仕上げて戦い抜く、それがストラテジーなのだろう。
デジタル表示のメーターやリアビューミラー、そしてどこかで見たような印象のエアコンスイッチは、進歩が著しい他のライバルに追いつくための措置だし、Fタイプから譲り受けたステアリングホイールや、いよいよ廃止してしまった回転スイッチ式のシフトセレクターに代わり、たいへんわかりやすくスポーティな形状のシフトノブなどはその証左といえる。
だが、そこでちょっと気がかりなのは、他のジャガーのラインナップのことである。セダンタイプに限って言えば、現在のラインナップは、XE、XF、XJである。これらは、つまりメルセデスベンツで言うところの、Cクラス、Eクラス、Sクラスであり、BMWでいうところの3シリーズ、5シリーズ、7シリーズという展開と同じだと考えても良いだろう。だが他のメーカーもそうではあるのだが、最上級の、つまりジャガーで言うところのXJ、メルセデスベンツで言うところのSクラスは、他のセグメントのモデルとの差が大変わかりやすいのだが、XEとXF、メルセデスベンツのCとEクラスというのは、昨今あまり差がわからない状況になっていないだろうか?
もちろん並べて見比べたのであれば、それぞれの差は明確であろうが、サイズがほとんど同じで、見た目も同じようなモデルであったならば、いったいどちらを選ぶことが正しいのかを悩む人が出てくるのではないだろうか?
同じようなことは、EペースでもFペースいえるのだが、価格差が約100万円くらいであった場合、いったいどちらを選ぶのか。もっと明確なキャラクターの差や、大きな価格差、あるいはサイズの違いなどがあったら悩まないですむのだが…。そんな余計な心配をしてしまうのはわたしだけだろうか。

Text: Alexander Bernt
加筆:大林晃平