初テスト アウディRS5フェイスリフトバージョン クールデザインのドライバーズカー
2020年5月22日
アウディRS5: テスト、エンジン、価格
RS 5がグレーなのは塗装のみ。450馬力のV6ツインターボを搭載し、ついにクールなデザインに。アウディはRS5クーペをリフレッシュした。そしてそのリフレッシュしたRS5をテストしてみた。
アウディのチーフデザイナー、マーク リヒテが6年前にヴォルフスブルク(ゴルフ5、6、7のエクステリアデザイン担当)から、インゴルシュタットに来たとき、A4とA5はすでに完成していた。
そして今、彼は、エレガントで高速だが、視覚的にはどちらかというと淡白なアウディのクーペに、ホイールアーチを1.5センチずつ広げるなど手を加え、再びよりセクシーに、より現代風に仕立て上げた。
テスト車のこの特別なボディカラーは「Nardograu」と呼ばれ、この色を選択しても追加料金はかからない。それはいいことだ、なぜならRS5の基本価格83,500ユーロ(約1,002万円)はすでに十分高価だからだ。
流線型の外観はRS 5に非常によく似合っている
フロントフェイスには、シングルフレームグリルの形状がより広くフラットになっていることと、その上にフラットなエアスリットが3つ備わっているのが見える。後者はまるで1984年のヴァルター ロール スポーツクワトロへの敬意をこめた挨拶のように思える。
そして、275/30 20のタイヤを履いた20インチホイール(注:2300ユーロ=約27万円の追加料金)も装着されている。
長いボンネットの下には2.9リッターのツインターボガソリンエンジンが搭載されていて、450馬力の出力と600Nmのトルクを発揮する6気筒だ。アウディはこのエンジンを8速オートマチックトランスミッションに組み合わせ、あらゆる状況下でこのパワーを確実に道路に届けるためにクアトロモデルとしている。
張りのある、均整のとれたスポーツシート、キルティングレザー、赤い縫い目、赤いベルトのドライバーズシートに身を沈め、おそらくこのようなクーペの中で最高の、アルカンターラに覆われたステアリングホイールを手にする。
さあ、試乗して、存分に味わってみよう。
アウディはほぼ全員の運転を上手にさせる
2本の楕円形のテールパイプからのサウンドは良質なものだ。
最大トルクは1900から5000rpmまで利用可能なので、実際には、常にアクセルペダルを踏んで、瞬きするうちに(3.9秒)、100km/hをクリアし、ステアリングホイールのパドルで素早くシフトダウンする。バン! ドライバーはシートに押し込まれ、コーナーへの飛び込み、再びアクセルペダルを踏む。そして、あなたはヴァルター ロールウォルターのように感じると同時に、運転してみてRS5がどのくらい安全であるかが実感できる。
アウディは技術的に最速のA5をさらにアップグレードした。それはまるで、物理学との戦いであるかのように。
通常の走行モードでは、パワーの40パーセントがフロントアクスルに、60パーセントがリアにかかる。そしてアウディがコーナーで戦い始めると、最大70パーセントのパワーがフロント、または最大85パーセントのパワーをリアに配分される。
おそらく多くのドライバーはこのことに気づかないだろう。見事なまでにアウディの医師たちは車のバランスを完璧に整え、物理的な影響を正確に除去しているからだ。
運転して楽しいかって?
答えはイエスだ。
普通のドライバーでも素晴らしいペースでコーナーをカットできるようになっている。
そして、答えはノーともいえる。
あなたがステアリングホイールのRSボタンを押していない限り。
そのエンジンとトランスミッションのコントロールは、ステアリングアシスト、スポーツデフ、シャシー、エンジンサウンドをシャープにする。3秒間RSボタンを押すと、ESPが解除される。そして、アウディのスポーツクーペは拘束から解き放たれ、自由に性能を発揮しはじめ、まるで飛ぶように走行し始める。
ややもすれば、ドライバーの顔色はボディカラーと同じようなグレーになることもある。つまりそれほどまでに速く、身体がついていかないのである。そこまで車が速くなってしまっては、楽しいとかそういうレベルの話ではなく、忍耐とか体力の限界、とかそういう言葉が浮かんでくるだけになってしまうのだ。
テクニカルデータ: アウディRS5
• エンジン: V6、ツインターボ、フロント縦置き • 排気量: 2894cc • 最高出力: 450PS@5700pm • 最大トルク: 600Nm @1900~5000rpm • 駆動方式: 全輪駆動、8速AT • 最高速度: 250km/h(オプションで280km/h) • 0-100km/h加速: 3.9秒 • 全長×全幅×全高: 4723×1866×1372mm • 乾燥重量: 1707kg • ラゲッジコンパートメント容量: 465リットル • 燃費: 10.9km/ℓ • CO2排出量: 208g/km • 価格: 83,5000ユーロ(約1,002万円)より
結論:
フェイスリフトはRS 5を優れたモデルへとアップグレードした。3センチ広くなったリアエンドは素晴らしく見える。またテスト車のグレーのボディカラーは魅力的に思える。
アウディは目の保養になるものを提供し、耳と心の保養になるものも提供することでRS5は以前よりもより落ち着いた、成熟した(大人の)モデルになったと言える。
また450馬力、600mNのパワーはこれ以上必要に感じないほど強力で、クアトロシステムの強大な駆動力と組み合わせることで、ドライバーの身体が追いついていけないほどのGを生みだすこともできる。
昨今の高性能な車がそうであるように、様々なエレクトリックデバイスに助けられて、このRS5も、誰もが簡単にエベレスト登山ができるように、高性能を発揮できるようになった。もちろんその効能にはクアトロシステムも貢献しているし、万一の際の安全装備も最高レベルのものが装備されている。
だがどの車でも限界は必ずやってくるし、その場合にはクアトロシステムだろうが、ABSだろうが無力である。かつて著名なラリードライバーは「クアトロは限界を超えると急にコントロールが難しくなる」と発言していたことを覚えている。それは速度の高さも一因ではあるが、運転の天才のようなラリードライバーをしても難しい、というその領域に踏み込んでしまった時、一般人であるわれわれはどうすればいいのだろうか?
普通のクアトロではなく、Sでもなく、RS。それは限られたドライバーのみに許された領域を持つ車なのではないか、と思う。
ミッシェル ムートンが乗ったらどんなドライビングを見せてくれるのだろうか?
AUTO BILDテストスコア: 2
Text: Andreas May
加筆:大林晃平
Photo: AUDI AG