ケーターハム セブンがBEVになった!「エレクトリック ケーターハム セブン」の今後に期待

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英国ケータハムは、将来のBEVセブンのための技術開発コンセプトモデル「エレクトリック ケーターハム セブン(EVセブン)」を発表した。ライトウェイトスポーツカー「EVセブン」の市販化に期待したい。

● エレクトリック・ケータハム・セブンは、技術開発コンセプトモデル
● 既存のセブンアーキテクチャーを使用しているため、レトロ×最先端の魅力的なパッケージ
● EVセブンは、20分間走行した後、15分間で十分なエネルギーを充電し、さらに20分間走行することができる、20-15-20サーキット走行のサイクルが可能
● EVセブンは、ベースとなる現在の市販のセブンに比べてわずか70kg弱の重量増となる軽量化を実現、152kWの急速充電に対応する51kWhの液浸冷却式バッテリーパックを採用
● EVセブンは、1990年代初期のセブンJPEのエンジン開発者であるスウィンドン・パワートレイン社との共同開発

EVセブンは、大型のセブンシャシーをベースに、スウィンドン・パワートレイン社による専用E Axleを採用し、液浸冷却式バッテリーパックを組み合わせている。バッテリー液浸冷却は、MOTULが供給する誘電性流体を使用し、バッテリーセルに直接接触させることで、最適な熱管理により充電速度の向上とバッテリー寿命の延長を実現。この最新技術は、バッテリー電気自動車では最先端であり、膨大な熱量を発生するスーパーコンピューター等の冷却に使われる技術だ。

私たちが将来生産するEVモデルは、ケータハムのDNAである、軽量で、fun-to-drive、ドライバーに焦点を当てたものでなければなりません。このプロジェクトの主な目的は、従来のセブンに比べて乗客一人分の重量差しかない車両を開発することです。1トンのセブンを発売することは決してありませんし、むしろやりたくありません。
ケータハムCEO ボブ・レイシュリー

サーキット走行を存分に楽しむために

EVセブンは、サーキット走行での十分な性能を得るために、20-15-20サーキット走行のサイクルが繰り返し可能な事、つまり、20分間サーキットを走行、15分間で十分なエネルギーを充電し、さらに20分間走行できる能力を有している。

「日曜の朝のドライブを楽しむことができるEVセブンの実現は、現在のバッテリー技術でも十分可能です。しかし、課題はエネルギー消費量が大幅に増加するサーキットでの使用です。現時点では、サーキット走行時に求められる急速な充放電に対応するためには、バッテリー液浸冷却が最適なソリューションの一つです。」とレイシュリーは付け加えている。

EVセブンには、HPDEシリーズをベースにしたスウィンドン・パワートレイン社のE Axleの専用バージョンが採用されている。実用可能な容量は約40kWhで、サーキットでの過酷な使用や急速充電にも劣化することなく、安全に使用することができて、ベースとなる市販のセブンから70kgの重量増(総重量700kg弱)で納まっているため、最高出力240bhp/9,000rpm、瞬間最大トルク250Nmのパワーで、0-60mphのタイムはおよそ4.0秒が見込まれる。このパワートレインは、Seven 485/480の性能特性に対応するように設計されており、EVセブンがICEモデルと同様のドライバビリティを共有できるようになっているというのもうなずける。EVセブンには、リミテッド・スリップ・デファレンシャル、セブン420カップのビルシュタイン製アジャスタブルダンパー、回生ブレーキ、4ピストンブレーキキャリパーも装備されるので高い動力性能を裏付ける。

現段階では、EVセブンをこのままの形で生産する計画はありません。このプロジェクトは、EVパワートレインがお客様の個々の使用ケースに対してどの程度有効なのかを確認するためのテストベッドです。軽量でシンプル、そしてfun-to-driveという、セブンに必要なケータハム車特有の車両特性を実現する方法を学ぶために、私たちは大きく目を見開いてこのプロジェクトを進めています。私たちは、次世代のバッテリー技術が可能にする将来の適切なタイミングで、この車両を市場に投入するつもりです。だからこそ、今がこのコンセプトを試す時なのです。
ケータハムCEO ボブ・レイシュリー

51kWhの液浸冷却式バッテリーは、エンジンルームとトランスミッショントンネルに収納され、最大152kWのDC急速充電が可能となっている。

1990年代初期にJPE(ジョナサン・パーマー・エボリューション)エディションのセブンに搭載されたボクスホール製エンジンを開発して以来ケータハムとのパートナーシップは30年以上続いています。そしてこのエキサイティングなプロジェクトを通じて、今後もパートナーシップを継続できることにワクワクしています。車体の軽量化や充電速度の目標は、間違いなく野心的なものでした。しかし、最先端の液浸冷却式バッテリー技術と独自のパワートレイン部品を使用することで、独自のコアバリューを維持した電気自動車セブンを開発することができたのです。
スウィンドン・パワートレイン マネージング・ディレクター ラファエル・カイレ

EVセブン仕様
車両
ケータハムEVセブン
モーター
専用スウィンドン社 HPDE E Axle
トランスミッション
シングルスピード、専用レシオ2ステージリダクション
ファイナルドライブ
リミテッド・スリップ・デファレンシャル
バッテリー
51kWh(40kWh 実用可能)ー 液浸冷却式バッテリー
チャージング
最大152Kw DC急速充電
シャシー
大型シャシー
ディメンション
全長:3,350mm、全幅:1,685mm、全高:1,115mm
最高出力(bhp / rpm)
240bhp @ 9,000rpm
最大トルク(Nm / rpm)
250Nm @ 0rpm
重量
700kg未満
パフォーマンス(0-60 mph)
4.0秒(見込み)
パワーウェイトレシオ
340bhp/トン
最高速度
209km/h(見込み)
サスペンション
ビルシュタイン製アジャスタブル(420カップより)
ホイール
13インチ Apollo ブラックアロイ(フロント6”、リア8”)
タイヤ
AvonZZR
ブレーキ
4ピストンキャリパー付ベンチレーテッドディスク
ステアリング
ラック&ピニオン、ロックトゥロック1.93回転

EVセブンコンセプトは、今年7月に英国で開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開される。さらにケータハムは、EVセブンとは別に完全電気自動車のスポーツカー・コンセプトも開発しており、本年発表する計画だと言う。このプロジェクトのデザインは、ブランドの新しいチーフデザイナーであるアンソニー・ジャナレリが主導しており、今後数ヶ月のうちにさらなる詳細が公表する予定だ。

Text:アウトビルトジャパン
Photo:エスシーアイ