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メルセデスE350の値段! ベントレー コンチネンタルGTC V8用オプション昨今の価格事情

2020年5月19日

今や驚くほど高いオプションの話

追加オプションの総額は新車のメルセデスE350一台分に相当。このベントレーコンチネンタルGTC V8は、新型メルセデスE350の価格に相当するオプションのエキストラが搭載されている。その中でも最も高価なエキストラはなんと12,000ユーロ(約144万円)以上! だが(!!)驚いてはいけない、昨今のオプション価格はそんなもんじゃない、というハナシ。

残念ながら今やもうベントレーはとてもお買い得とは言えない(いつの時代もお買い得、とはいえないけれども)。このことはベストセラーのコンチネンタルのエントリーモデルにも当てはまる。
ベントレーのエントリーレベルモデルは、V8ツインターボの550馬力コンチネンタルGTCの場合、ベース価格は181,990ユーロ(約2,183万円)だ。
誰もがこの価格ですべてが装備されていると考えている。
だがそれは間違いだ。
追加オプション価格のリストは延々と続く。

テストカーがわれわれのところに届けられたとき、私は正直かなり驚愕し、動揺した。
ベントレーコンチネンタルGTC V8のカラーは「モナコイエロー」で、完全にクロームなし。そして黒のトリムパーツが付いていたのだ。
「ブラックライン仕様」? その最初の印象はこれ以上ないくらい強烈なものだった。
しかしこれは稀なケースで、ベントレーのほとんどはもっと控えめな方法で威厳のある色で構成されている。派手な黄色は必ずしも英国紳士に好まれる色ではない。

黄色は典型的なベントレーの色ではない

しかし、それはベントレーのボディカラーが常に従来のものを踏襲すべきだという意味ではない。このことは、われわれのインスタグラムの調査でも確認されており、68パーセントのユーザーが黄色のベントレーを肯定的にとらえているという結果が出ている。
私もこの色が好きだ。「モナコイエロー」という名の通り、まるで地中海沿岸、モナコなど南仏あたりをさわやかな風と共にクルージングするオープントップのコンチネンタルをイメージさせる。
その派手なペイントワークに合わせて、ブラック/イエローのカラーパターンを巧みにインテリアにも採り込んでいる。ベルーガレザーのインテリアは、黄色の縫い目と「Flying Bs」の刺繍がアクセントになっている。また、不適切なウッドトリムがコックピットの雰囲気を破壊することはなく、代わりに指紋がつきやすいピアノラッカーを使用している。

ベントレーの革製ステアリングホイールは手作業で仕上げられる。その作業工程は72時間だ。

最も高価な追加費用は12,000ユーロ(約144万円)を超える!

しかし、この目を惹く仕様には価格があり、同封の追加料金表を見れば一目瞭然である。モナコイエローのボディペイントには4,570ユーロ(約54万円)の追加料金が必要だ。
黒のレザーインテリアと黒のファブリックトップは価格に含まれているものの、インテリアの黄色のコントラストシームは1,750ユーロ(約21万円)の追加費用となる。
快適なコンフォートシートは、別途4,005ユーロ(約48万円)が必要で、エアサスペンションベントレーダイナミックライドは4,045ユーロ(約48万円)で利用可能となる。
そして本当に高価なのは、ブラック22インチホイール、インテリアのための特別なダイヤモンドステッチ、スポーツペダル、金属製の燃料フィラーキャップなどを含む、いわゆる「ミュリナー(Mulliner)ドライビング仕様」で、12,535ユーロ(約150万円)という高額なものとなる。

ボタンに触れると、大きなタッチスクリーンが反転し、3つのアナログディスプレイが表示される。クールだが、これにも4,775ユーロ(約57万円)の追加が必要。

渋滞通知システム、車線逸脱警告システム・ブレーキ、ナイトビジョンアシスタントだけでなく、ヘッドアップディスプレイで構成されているツーリングパッケージは、追加として6,290ユーロ(約75万円)の費用がかかる。
モーションセンサー付き電動テールゲート、交通標識認識システム(上記の車線逸脱警告システムと別というのはどうしても解せない)、360度カメラなどを含むシティパッケージは4,020ユーロ(約48万円)で利用可能で、テストカーにも搭載されていた。
さらに 3,250ユーロ(約39万円)で、コンチネンタルGTCのエクステリアを脱クローム化できる「ブラックライン仕様」も用意されている。

18個のスピーカーと2,200ワットのサウンドシステム

「センテナリー(100周年)仕様」の後ろには、金色の縁取りが施されたベントレーのロゴと、英国のメーカーが2019年に100周年を迎えたことへの言及が記されている。
この小さな、しかし素敵なエキストラは1,385ユーロ(約16万円)必要だ。
個人的には、コンチネンタルGTCに不可欠なオプションは、この形でベントレーでのみ利用可能な4,775ユーロ(約57万円)の回転式ディスプレイと、18個(!)のスピーカーと2,200ワットの合計出力を持つ、6,600ユーロ(約79万円)のサウンドシステム「Naim for Bentley」だ。これはわたしが今まで車で聞いた中で最高のサウンドシステムだったから、ぜひつけたい。

ベントレー コンチネンタルには3種類のサウンドシステムが用意されており、「Naim for Bentley」はその最高級バージョンだ。

テスト車の価格は242,430ユーロ(約2,900万円)

この金額構成には、前述の装備以外にも、1,515ユーロ(約18万円)のアンビエント照明、1,495ユーロ(約18万円)のGPSトラッカー、285ユーロ(約3万4千円)の非接触式充電、360ユーロ(約4万3千円)の高品質パイルフロアマットなどが含まれている。
これらすべてのものを追加して、テストカーの価格は242,430ユーロ(約2900万円)となる。
選択されたオプションのためだけの60,530ユーロ(約726万円)がその理由だ。

参考までに記せば、このエキストラコストは58,608ユーロ(約703万円)から購入可能な新型メルセデスE350よりも高いことを意味する。
まあ富裕層向けだとは認識しているものの、趣味の世界というものはため息の出るほど高くつくものだ。

だが昨今のオプション相場というのは、そんなものではない、というハナシをしよう。
最近話題になったオプションは、同じベントレーでもベンティガに用意された、トゥールビヨンの時計で、これは2,900万円(290万円ではなく、2,900万円である)、ベンティガ本体と同じくらいのオプション価格である。そもそも腕につけてこそ意味のある(腕の角度が変わるからこそ必要となる機構なのだから)、トゥールビヨンの時計を自動車のインパネに取り付けることが、いったいどれだけの意味のあることなのかさっぱりわからないし、車を売る時にはこの時計を外して(時計だけを手元に残して)、売るのだろうかと貧乏な私は考えてしまうが、とにかく2900万円のオプションなのだ。
これからすればバブルのころ、インフィニティQ45(懐かしい)にオプションで用意されていた18金のスペアキー(当時52万円)や、ココン(うるし)のインパネなど、かわいいものである。
そういう突拍子もないオプションは話題性のために準備されることが多いので、こういうバカバカしさも魅力となる超高級車の世界ではある程度仕方ないことのような気もするが、それにしても最近のオプション価格は常軌を逸していることが多い。

ディーラーがメディア向けに貸してくれる広報車輛のフェラーリに1,000万円以上のオプションがついていたり、ポルシェ(911とかカイエンの場合が多い)の広報車輛に500万円程度のオプションがついていたりすることにも、今ではあまり驚くことではなくなってしまった。
そういう1,000万円以上の高額な自動車であるならば、高いオプション価格にもある程度納得がいくし、払える人はぜひ払ってオプションを付けて欲しい(いつの日にか中古車で巡り合った時に、私たちが恩恵を被る可能性もあるのだから)。
だが、ミニにつけるオプションが総額だいたい100万円、高い場合には200万円以上、と聞いたり、アウディA1に総額120万円というオプションが装着されたりしている、と聞くと心中複雑にならざるをえない。

今やアウディも、BMWもジャガーも、ランドローバーも、メルセデスも、このようなオプションで商売を成り立たせているところがあることは事実である。そしてそれを全面的に否定する気はない。必要なものだけ選べばよいじゃないか、という意見は決して間違いではないのだから。
だがそういう本当に必要なものだけを選んで購入する場合、たいていは「キャンセルできません」という書類に捺印した後、それなりのデポジットを入金し、短くても半年以上、だいたいは1年程度待たなくてはならない。すぐに購入できる、ディーラーがあらかじめ発注し、日本のデポーに並んでいる在庫車にはたいてい高額なオプションがすでに装着されているのだから。まあそういう場合、ディーラーの営業マンは「オプション価格はせっかくなので、半分くらいサービスします」とかシレっと言うのだが…。

そう考えると、現在、輸入車を新車で購入する場合には、車両の本体価格のみで購入できることは皆無に近いことなのだろうが、一度は「ポルシェボクスター オプションまったくナシで1台」とかディーラーで言ってみたいものである。
ポルシェはいまだに電動ミラーも、本革巻きスポーツステアリング(普通のステアリングホイールがどういうものなのか見てみたい)もオプションだし、エキストラコストなしで選べる色は白と黄色だけだったはずである。
そういうスタンダードなポルシェ、男気ジャンケンに勝つつもりで発注してみたいものだ。

Text: Autor: Jan Götze
加筆:大林晃平