羊の皮をかぶった狼 1111馬力のアメリカ製電動高級スポーツセダン「ルシッド エア」はすべてを備えているか? 初試乗レポート!

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オール電化のルシッド エアは、1,111馬力のメルヘン車だ。ポルシェ タイカンほどポシティブではなく、アウディe-tron GTほど筋肉質でもない。メルセデスEQSはもっと堂々としていて、テスラ モデルSはもっと素っ気ない。しかし、ルシッド エアは、高い性能と魅力を兼ね備えている!

アクセルペダルをカーペットに踏み込むと、再び首の後ろに激しい衝撃が走り、すでにスピードが出ているクルマが再び前に飛び出し、時速270kmまで加速する – ここでようやくエレクトロニクスが介入し、強烈な加速に終止符を打つ。

この奇跡の車は1,111馬力で、「ルシッド エア」と呼ばれている。数カ月前から、ミュンヘンに小さなショールームを構えている。カリフォルニアのスタートアップEVメーカーは、ヨーロッパでも、電動高級スポーツセダンを販売したいと考えている。しかし、価格は高く、ブランドの先行きはまだ不明である。

上から見ると、ボンネット部分がいかに短いかがよくわかる。

テスラ出身のピーター ローリンソンCEOを中心としたEVメーカーは、資金はサウジアラビアの政府系ファンドからが多い。世界販売目標は、第1四半期に1,406台の納入にとどまり、未達成となった。従業員の18パーセントが最近解雇された。小さな慰め: 彼らは素晴らしい車に携わっていたのだ。

ルシッド エアは広々としたスペースグライダーであり、アミューズメント施設ではない

米国の電気自動車メーカーは、「エア」で、エレガントで未来的なセダンに、激しいパフォーマンス価値を詰め込んだ「羊の皮をかぶった狼」を作り出した。「タイカン」の「ポルシェらしさ」、「アウディRS e-tron GT」の筋肉質な輪郭、「メルセデスEQS」の堂々とした姿、「テスラ モデルS」の絶対的なシンプルさなどは、控えめなデザインの「ルシッド」にはない。しかし、この新型車は、単に真似をすることなく、すべてのものの長所を採り入れている。それは、ゆったりとしたプロポーションのスペースグライダーであって、アミューズメントアーケードや移動式ショッピングセンター、自慢の宝石箱というわけではないのだ。

コックピットは適度にシンプルで、超モダン、ラグジュアリーだ。

人間工学に基づいて配置された計器類は、常に重要な情報を明確に表示し、テレビサイズのディスプレイが、すべての重要な情報を常に明確に表示する。 最も重要な機能にはコントロール ボタンがあって、メニューやサブメニューをサーフィンする必要がない。

スコットランドのメーカー、Bridge of Weir(アストンマーティンやジャガーなどの高級ブランドにも自動車用レザーを供給)の完璧に仕上げられたキャトルナッパから、銀メッキのユーカリウッドのトリムまで、高貴な素材に囲まれ、他のブランドのような安っぽいピアノラッカー仕上げとは違う。

ルシッドが証明: 静かな電気自動車は、さらに静かになることができる

スタートボタンがなくても、我々の「エア」は、すぐに走れるようになっている。快適性を追求した最も経済的な走行プログラム、「スムース」でスタートする。そして、スポーツカーというよりも、ラグジュアリーなリムジンを体験する。このようにして、街中と郊外を1周すると、100kmあたり16kWhという印象的なテスト消費量に終わる。そして、この静かな電気自動車が、もっと静かになることを実感するのだった。不気味なほどの静けさが、乗員を包み込む。ドルビーアトモスを搭載したオーディオパッケージの音量を上げなければ・・・。

E-リムジンのフロントトランク: 大きなスーツケース2個分の約283リットルを飲み込む。

高速道路では、「スムース」から「スイフト」に切り替わり、パワーデリバリーは息をのむほどだ。サルーンがスポーツカーになるのだ。エアサスペンションは路面の凹凸をしっかりと受け止め、このクラスの多くのクルマがそうであるように、滑らかに走り抜ける。

1,111馬力を発揮する「スプリント」モード

高速の区間では、「ルシッド エア」はほとんど無限の推進力を持っている。シャーシはより硬く感じられ、必要な安定性を提供する。タイヤノイズや風切り音は、より速く走行していることを音で証明している。「スプリント」モードに切り替えると、「エア」はこう問いかける: 本当にそうしたいのですか?なぜなら、経験豊富な自動車テスターでさえ、1,111馬力の推進力を体験したことがないからだ。

エレガンスと軽快さ: リアのライトバンドが、ルシッドを紛れもない存在にしている。

300kWのステーションが見つかれば、400km走行できる分の充電時間は約15分間。924ボルトの技術を採用したプラットフォームと、「Wunderbox」と呼ばれる空気充電管理システムのおかげだ。

全開で走る高速道路では、500kmの航続が可能だ

「ルシッド エア」の航続距離は799~861kmだ。2023年の夏、カリフォルニアの炎天下で、3人+荷物で、1回の充電ですでに600kmに到達している。今回は500キロ弱(ドイツのアウトバーンで全開走行時)「だけ」だった。

たっぷりとした空間、後席も膝のスペースが不足するなど不満はない。

そう、高性能とバッテリーの大きさには当然ながら相応の値段がつく。我々が乗った「ルシッド エア」は、少なくとも218,000ユーロ(約3,270万円)はする。ベーシックな「ピュア」バージョン(430馬力)は、おそらく2024年から発売され、価格は10万ユーロ(約1,500万円)程度になると思われる。

それに比べて、ポルシェのタイカン ターボS(761馬力)は197,740ユーロ(約2,966万円)から、アウディe-tron GT(476馬力)は107,800ユーロ(約1,617万円)だ。つまり、1馬力あたり200ユーロ(約3万円)にはならない – だが、ルシッド エアの値段は妥当に思える – それほどこのクルマは素晴らしいのだ・・・。

結論:
おとぎ話、奇跡、狂気。走り、快適さ、スタイリング、どれをとってもルシッド エアを表現するためには、こんな言葉も必要だ。価格性能比さえも正しく思えてくる。

Text: Hauke Schrieber
Photo: Olaf Itrich