【80年代のイタリア車とフランス車】パート1 不朽のデザイン アバンギャルドなシックさ スーパースポーツカー 夢の80年代
2023年5月14日

80年代のクルマたち: イタリア車とフランス車。チャーミングなものから熱血漢まで。戦前からの不朽のデザイン、アバンギャルドなシックさ、ハイテクなスーパースポーツカーなど、フランスとイタリアという自動車の小宇宙は、1980年代もあらゆるジャンルの車を提供していた。
1988年8月14日、エンツォ フェラーリが、モデナで90歳の生涯を閉じる。イタリアは家長を悼み、フェラーリ クラシックの価格は突如として高騰した。エンツォ フェラーリは、最後の記念碑を作ることを忘れなかった。1987年、フェラーリは、当時、世界最速の市販スポーツカーを発表した。最高速度は324km/hに達し、478馬力のV8ツインターボエンジンを搭載していた。そしてフェラーリは、世界中のフェラーリファンからの大要望に応じて、当初予定していた限定生産を取りやめる。スポーツカーメーカーは、1,031台の「F40」を、444,000ドイツマルク(約3,360万円)の価格で、ロイヤルカスタマー(大得意様)に配布。1989年、バブル崩壊直前、モナコで「F40」が270万マルク(2億円超)で取引された(フェラーリバブルと呼ばれた)。

フランスの80年代の車は「プジョー205」だ。小さなライオンは、新鮮な香りのバゲットのように売れ、海外にもたくさん輸出された。ドイツ人も大好きだった。「VWポロ」と「ゴルフ」の中間に位置するこの車は、クラスレスの勝者となった。しかし、その10年のちには、世界で2番目に古い自動車メーカーは、悪い方向に向かっていた。小型車として期待された、「プジョー104」は大失敗し、仏ソショーにある本社は大赤字だった。しかし、「205」は、すぐにその失敗を忘れさせてくれる。
フィアット パンダ
イタリア勢も、かつての得意分野であった、「個性の強い小型車」の実力を発揮していた。1980年、フィアットは「パンダ」を発表した。この賢い箱は、ナポリ、ミラノ、ローマといった、いまやクルマで溢れんばかりの都心にふさわしい車であった。かわいい、ぽっちゃりしたタケノコとは対照的に、小さなフィアットは、自動車の最小限のサイズにスリム化されていた。とはいえ、禁欲的な人でなくても、気に入るはずだ。18馬力のリアエンジンの祖先である、「500ヌオーヴァ」に比べれば、「パンダ」の30馬力や45馬力は、ほとんどスポーティモータリングだ。
ルノーR4
フランスでは、「シトロエン2CV」や「ルノーR4」が国民的な神社になって久しい。イタリアでは、「フィアット500ヌオーヴァ」の精神が「126」に息づいている。この3台は、手頃な価格で、丈夫で、修理が簡単なため、今でも売れている。ドイツでは、キャンパスの駐車場を埋め尽くし、古ぼけたドイツ車に乗りたくない人たちを喜ばせている。しかし、しかし「パンダ」のような現代的な「ミジェット」は、もはやその役割を終えている。
ランチア テーマ8.32: フェラーリの心臓を持つランチア
そして1980年代にはいつも、「デルタ インテグラーレ」と「テーマ8.32」のように、古いランチア愛好家の憧れのため息を誘った。しかし、それは、フェラーリV8を搭載しているに過ぎない。バチカンがマラネロに引っ越してきたような気分だ。目をつぶって80年代を夢見たほうがいい。テクノロジーを愛する2つの国の多様なクルマの世界を、以下、フォトギャラリーとともにお楽しみあれ!
フランスとイタリアの80年代のクルマたち パート1 イタリア車編


Photo: Uli Sonntag

大林晃平: ある意味、アルファロメオらしいスタイルの一台がGTV。このモデルも実用性を持ちながらスリークに仕上がっている。やや大きく見えるのは錯覚で、もはやコンパクトと言ってよいサイズ。V6エンジンと、2.0の4気筒エンジンモデルがあった。
Photo: Sabine Schirmer


大林晃平: こういうモデルがあったようなぁ、というのがアルファロメオ アルナでその中身は、日産パルサー(と、その兄弟車であったラングレー。CMキャラクターはポールとポーラであった)。こんな歴史のいたずらを覚えている方いらっしゃるだろうか?一方の33(トレンタトーレ)は、純正なアルファロメオで、試乗会はヴェネチア(の正確にいえば近郊)で華々しく行われるなど、アルファロメオの社運を賭けた一台だった。日本からも、CG編集長の小林彰太郎さんが、ご夫妻で発表・試乗会に招かれていた。
Photo: Werk


大林晃平: アルファロメオらしさが色濃く残った最後のそれっぽい?モデルが75、ということで、延々ツインスパークも6気筒モデルもあわせて、75だけを乗り続けていた方を知っている。確かにそのメカニズムもデザインもアルファロメオらしいと言えるし、こだわり続ける理由も今となってはよくわかる。そしてこの75を最後に、しばらくの間、後輪駆動のアルファロメオは、長い間お休み状態となるのであった。2023年5月現在、日本の中古車市場にも在庫(?)があり、ツインスパークもV6も買うことができる(価格は応談の場合も多いが、150万円~300万円程度が通常価格)。
Photo: Andrea Schick-Zech

Photo: Werk
大林晃平: 日本にも伊藤忠オートが数台輸入して販売されていたアルファ6(セイ)。言ってみれば旦那仕様の豪華なアルファで、それが仇になったのか本国でも10000台程度しか販売されなかった。内装はビロードのような素材の、いかにも手触りのよさそうな生地が使われていたが、それもアルファ乗りには不評だったのだろうか?なお、アルファ6と書くと(クラウン エイトのように)、なんだか6気筒モデルだけのような感覚になってしまうが、実際には4気筒も、ディーゼルエンジンモデルもあったし、搭載されていたV6エンジンはその後、164、155、156、166ばかりか、ランチア テーマ、テージス(!!)、カッパにも搭載されるなど、長年にわたって使われ続けたV6エンジンである(アルファ6がこのV6エンジンのデビューとなった)。

Photo: Aleksander Perkovic
大林晃平: ランチア テーマ、サーブ9000、フィアット クロマと、4兄弟にあたるアルファロメオ164。その中でもっとも華やかでスポーティなのが164で、ボンネットを開けると顔が映るように磨かれた吸気管をこれ見よがしに装備していた(6気筒エンジンモデル)。クアドリフォリオも人気だったが、ATモデルもかなりの数が販売され、ミュージシャンの間にも流行していた。最大の欠点は回転半径が大きいことだ。2023年5月現在、日本でも中古車で(まだ)買うことができるが、程度にもよるものの、V6(Lなどの普通のモデル)で200万円以上、クアドリフォリオでは500万円近いものもあり、高値安定傾向といえる。蛇足ながら166になると急に人気がなくなり、100万円を切るものもあり、だいたい150万円前後が妥当な価格帯となる。

Photo: Werk
大林晃平: 登場した当時は喧々諤々だったSZだが、今となっては立派なアルファロメオのクラシックアイテム(というには、未来的なデザインすぎるけれど……)。その価格もうなぎのぼりで1000万円突破は当たり前な現実である。オープンモデルのRZもあるが、もちろんアルファロメオらしく人気が高いのはSZの方。実際、乗ってみると素晴らしく楽しいそうだ。

Photo: Christian Bittmann
大林晃平: 解説不要ともいえるアルファロメオのオープンモデル、スパイダー。アルファロメオといえばやっぱりこれでしょう、という熱烈なファンの言葉にはうなずくしかない。写真は後期モデルだがカラードバンパーも(この前のUSバンパーと異なって)ボディにマッチし、スタイリッシュである。ATもあったが、MTモデルもひっちゃきになって走るための車ではなく、あくまでも心地よく、雰囲気を味わいながら楽しむための2シーターなのである。