きゃーカッコいいー!こういうの大好きー! フェラーリvsロータスvsマクラーレン 勝者は不要? ミドシップスーパースポーツ対決

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強烈な個性を持つスーパースポーツカー3台が三つ巴の対決。フェラーリ296GTB、マクラーレン アルトゥーラ、ロータス エミーラの3台を結びつけるものは何か。ミッドエンジンリーグで主役を張っている3台を比較する!

今回のテストは、ミッドエンジンスポーツカーという、非常に特別な種に限定している。電動化が進む中、ファンセグメントは、苦戦を強いられると思われるかもしれない。しかし、事実はその逆なのだ。巷では、すでに作られたスポーツカーが今後、中古市場で大ブームとなる可能性が高いと言われている。

296GTBでは、まるでフロントアクスルに座っているような感覚になる。ステアリングの精度は、別の惑星のものだ。

このことは、販売台数にも表れている: フェラーリでは1年以上の待ち時間が発生し、ロータスではエミーラの発売からわずか数週間でフル装備のファーストエディションが完売し、ウォーキングのマクラーレンでは生産ラインの半分がアルトゥーラのオーダーで占められているような状態というのが、現実なのだ。

3台のミッドエンジンスポーツカーが、それぞれの想いを胸に秘める

それは悪いことなのだろうか?いや、そうではない。それは、フェリー ポルシェの予言(「最後に作られる車はスポーツカーである」)が、まだ有効であることを示しているのだから。特にこの3台は、本当に正しい場所に心を置いているのだ。

コールドスタートキャバリアという称号は、このグループでは、フェラーリとマクラーレンが共有しているのだ。波乱万丈の世界・・・。「296GTB」と「アルトゥーラ」のステアリングホイールにあるデジタルスタートボタンを押しても、優しいささやき声以上のものは聞こえてこない。英国のモデル同様、イタリア車もハイブリッド、正確にはプラグインである。早朝に、人知れず、住宅街を抜け出し、町の看板の裏で、2.9リッターV6のエンジンをかけることができれば、状況によっては友情を守ることさえできる。

フェラーリの663馬力のV6は詩のようなもので、まるで小さなV12のような音で独自の音を奏でる。

そして、「グランツーリスモベルリネッタ(GTB)」は、すでに音響的に轟音を立てている。V8が恋しくなるのは束の間、6気筒がその音色で私たちを楽しませてくれるからだ。サーキットでは、上質なハンドリング、キビキビしたフロントアクスル、そしていつでも尻尾を振ることができる才能で、私たちをワクワクさせてくれるのだ。

フェラーリのコックピットが驚くほどデジタル化

245という比較的細いフロントタイヤにもかかわらず、その旋回性能は驚くべきものだ。しかし、「296」では、フロントアクスルに直接座っているような感覚になるのだから、これもなぜか納得できる。「GTB」では、すべてがシャープに設定されたときに、パワーの波が突然やってくる。ちなみにこの名前は、排気量とシリンダー数を組み合わせた古典的なもので、2.9リッター、6気筒である。「ディーノ206GT(2.0リッター、6気筒)」や「288GTO(2.8リッター、V8)」、あるいは「512BB(5リッター、12気筒)」がそうであった。

フェラーリのコックピットは、驚くほどデジタルで、必要なものだけに絞られている。中央のディスプレイはない。ドライバーはインストルメントパネルからすべてを見ることができ、必要に応じてリバーシングカメラの画像も表示される。残りの操作系は、完全にドライバーに合わせて調整されている。「3時、9時」という完璧な位置から手を動かすことなく、多くの操作を行うことができる。

ステアリングホイールには、ライト、ワイパー、インジケーター、マネッティーノといった機械式ボタンとタッチパネルが混在している。タッチパネルは、ほぼ任意に反応するため、操作のたびに目視して確認しなければならず、新しいものがすべて優れているわけではないことを改めて認識した。

0-100km加速、2.9秒!

これほど速くスタートブロックを飛び出すクルマはごくわずかだ。今日のスーパースポーツカーの世界では、0から100km/hの加速が2.9秒という数字は、相当に速い。しかも、純粋な後輪駆動モデルでだ。

ロータス エミーラはヘセルで造られる

エミーラのファーストエディションは、少なくとも95,995ユーロ(約1,400万円)の費用がかかる。コスト、と実際には言うべきだろう、とっくに完売しているのだから。今年は、4気筒+基本的な装備のエミーラが用意される。

イギリス東部の小さな町ヘセルでは、中国企業ギーリー(吉利)による買収後も、ロータスのスポーツカーはすべてここで製造されている。

ロータスは実際に収益を上げなければならないが、それはハードコアファンのための軽量スポーツカーでは通用せず、日常生活には適さない。ロータスの名声を生かした、レンジブースターが必要なのだ。全長5メートル、重さ2トンのオールエレクトリックSUV、「エレトレ」の幕が上がる。つまり、創業者コーリン チャップマンが恥ずかしがって顔を赤らめるようなものばかりだ。

エミーラはこの種の最後の1台

しかし、その一方で、吉利は、中国で大量生産される、これらのモデルから得られる収益を、ヘセルの工場で、本物のスポーツカーを製造できるようにすることを計画している。例えば、2,000馬力の「エヴィージャ」のような、あるいはこの小さな宝石の後継車のようなものだ。なぜなら、「エミーラ」はこの種の最後のモデルだからだ。最後の内燃機関、最後のマニュアルギアボックス、そして最後のロータスのクラシックデザイン。

正直なところ、我々はあまり多くを期待していいなかった。というのも、イギリスは長い間、革新的な製品をEU市場に投入してこなかったからだ。「エリーゼ」は25年以上経った今でも、それなりに驚異的な玩具だが、もうそれ以上ではない。「エキシージ」と「エヴォーラ」は、サーキットを走るための道具として、また日常的なロータスとして、両極端に挑戦し、どちらもそこそこの成功を収めた。

一方、「エミーラ」は革命ではないものの、「エヴォーラ」が中途半端な印象だったところを、実によくできたクルマに仕上げている。インテリアは初めて高水準で作られ、最新のテクノロジーが搭載され、乗り降りには、2年間のヨガトレーニングも必要ない。しかも、何よりもドライビングプレジャーに徹している。

古風なトヨタ製スーパーチャージャー付きV6と、時に不機嫌になるマニュアルギアボックスは、時代の精神にまったくそぐわないが、ファンが切望するものである。「エミーラ」は、今のお客さまが買うべきクルマではなく、お客さまが求めるクルマなのだ。特に、この後は電気自動車しかないのだから。

走る歓びがエミーラの切り札だ

スーパーテストでは、405馬力のスポーツカーは、直接のライバルのラップタイムに近づくことこそできなかったが、ドライビングプレジャーという点では肩を並べることができる。1.5トンの乾燥重量、邪魔にならない魅力的なサウンド。それはまさに、王冠を蹴られ、引っ張られ、弾かれたいと願う、機械的なドライビングアスリートだ。

すでに述べた6速ギアボックスとの組み合わせは、特にオートマチックバージョンと比較すると、6速マニュアルは、ドライバーに素晴らしいフィードバックで報いてくれる。そして、正確なハンドリング、美しくコントロールしやすいブレーキ、限界まで俊敏に跳ね回るリアエンドなど、ロータスのシャシーには何の問題もない。

多くのハイブリッド車では、重量が楽しみを台無しにしている。しかし、マクラーレンの場合は違う: アルトゥーラは、680馬力のシステムパワーで、1,498kgという軽さを実現している。

Eモーターでグリーンウォッシュ?

マクラーレンも、「アルトゥーラ」の販売成績に不満を持ってはいないはずだ。スポーツドライバーの感覚で、「パフォーマンスプラグイン」というテーマを実現するために、信頼できるメーカーはそう多くはない。つまり、上半身が重くなりすぎず、なおかつ俊敏で、コミュニケーション能力の高いハンドリングと、死ぬほど気持ちのいいサウンド。そして、Eレンジ。我々は、電気自動車がブーストのために使われるのであれば、それは良いことだと考えている。

スーパースポーツカーでは、週末に楽しむことが重要だ。そして、今、ラウシッツリンクサーキットにいるのはいいことだ。ハレルヤ!操縦しよう!俊敏なフロントエンド、フィードバックに優れたダイレクトな電動油圧式ステアリング – これが我々の慣れ親しんだマクラーレンのスタイルだ。加速が早すぎて、フロントアクスルから体重を奪った人だけが、コーナーの立ち上がりでアンダーステアを経験することになる。

しかし、ドライブコンビネーションが全開になると、リアエンドはコントロールされた形で回転を始め、「アルトゥーラ」は、淫らに背中を突き出す。きめ細かくコントロールできるスロットルレスポンスと、顕著なEスラスト。

プレッシャーポイントを細かくコントロールできる、噛みつきにくいカーボンセラミック

すべてが極めて調和的かつ本能的に機能している。ブレーキも同様で、噛んでしまっても大丈夫なカーボンセラミック製で、プレッシャーポイントも細かくコントロールでき、何度か高速ラップを繰り返しても故障の兆候はない。これこそ、我々が望む未来だ。しかし、インストルメントパネルには、ウイングナットの形をした2つのボタンノブが耳のように付いていて、その不器用さに戸惑う。もっとエレガントなデザインにできなかったのだろうか・・・。

あとは、インフォテインメントが顕著に現代化されているとはいえ、強く凹んだキーはおなじみのものだ。ステアリングホイールは限りなく純粋で、連続変速ロッカーはF1のようにステアリングホイールと一緒に回転する。

2つのアプローチで、3つのまったく異なるキャラクター。しかし、ドライビングエクスペリエンスはそれらを統合する。

同じ原理でダウンサイジング

なぜ、この比較に「ランボルギーニ ウラカン テクニカ」や「コルベット スティングレイ」を含めなかったのか?それは、スポーツカーのトレンドである「V6化」に、まだ抵抗しているからだ。マセラティの「MC20」も同列に語られるかもしれないが、残念ながら、その時は、まだ我々テストのためのクルマがなかったのだ。

フェラーリもマセラティもマクラーレンも、同じ原理でダウンサイジングしているのだが、その結果がこのように見え、このように感じ、このように聞こえるのであれば、我々はそれに耐えるだけでなく、将来的にはそれを祝福することができるだろう。ロータスは?今年の「エミーラ」にはAMG製の2リッター4気筒が搭載される。

【主要車両データ】
パワーユニット:
マクラーレン アルトゥーラ= V6ツインターボ、センターリア縦置き+eモーター
フェラーリ296GTB= V6ツインターボ、センターリア縦置き+eモーター
ロータス エミーラV6= V6スーパーチャージャー、センターリア縦置き
最高出力&最大トルク:
マクラーレン アルトゥーラ= 680PS@7500rpm&720Nm@2250~7000rpm
フェラーリ296GTB= 830PS@8000rpm&740Nm@6250rpm
ロータス エミーラV6= 405PS@6800rpm&420Nm@3500~6800rpm
駆動方式:
マクラーレン アルトゥーラ= 後輪駆動、8速DKG
フェラーリ296GTB= 後輪駆動、8速DCG
ロータス エミーラV6= 後輪駆動、6速マニュアル
乾燥重量:
マクラーレン アルトゥーラ= 1,498kg
フェラーリ296GTB= 1,470kg
ロータス エミーラV6= 1,405kg
0-100 / 200km/h加速:
マクラーレン アルトゥーラ= 3.0 / 8.6秒
フェラーリ296GTB= 2. 9 / 7,3秒
ロータス エミーラV6= 4.3秒/ノーデータ
最高速度:
マクラーレン アルトゥーラ= 330km/h
フェラーリ296GTB= 330km/h
ロータス エミーラV6= 290km/h
価格:
マクラーレン アルトゥーラ= 230,500ユーロ(約3,400万円)より
フェラーリ296GTB= 283,185ユーロ(約4,200万円)より
ロータス エミーラV6= 95,995ユーロ(約1,40万円)より

Text: Alexander Bernt
Photo: Lena Willgalis / AUTO BILD