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【動画付き】動画&爆音付き 伝説の直列6気筒 GT-Rエンジンはチューニングファンの聖杯だ

2020年5月15日

チューニングファンにとっての魔法の言葉 RB26 GT-Rエンジンの神話に迫る

RB26DETT: 傑作の誉れ高いR32スカイラインGT-Rに搭載されたストレートシックスの技術。ニッサン スカイラインGT-Rに搭載されている直列6気筒RB26DETTは、チューニングファンの間ではエンジン構築の聖杯と見なされ、敬われている。そのツインターボの技術をあらためて解説する。

R32スカイラインを語るなら、RB26も語らなければならない。ニッサン スカイラインGT-Rに搭載されている直列6気筒エンジンは、搭載されている車と同じように冠たる存在だ。その安定性と膨大なパワーにより、その栄誉を得た。

このパワーユニットは、直列6気筒エンジンのファミリーであるRBシリーズに属している。排気量は2リッターから3リッターの範囲で、ターボチャージャーを1基または2基搭載したバージョンもある。

ゴジラと呼ばれたモンスター

RBエンジンの中でも王者といえば、今回紹介するRB26DETTだ。その謎めいた名前は、エンジンシリーズ(RB)、排気量2.6リッター(26)、2本のオーバーヘッドカムシャフト(D=DOHC、Dual Overhead Camshaft)、電子制御インジェクション(E)、ツインターボ(TT)から構成されている。

1989年にスカイラインGT-R R32でデビューしたこのエンジンは、日本ツーリングカー選手権JTCCで空前の連覇を達成した。1990年から1993年までの間に、このエンジンは合計29戦で勝利をもたらした。オーストラリアのマスコミはR32に「ゴジラ」というニックネームをつけた。デビューから13年後の2002年にGT-R R34が引退したことで、RB26は一時的に終焉を迎えた。

カルソニックGT-Rのようなスカイラインは、JTCCやATCCで対戦相手を追い詰めた。

記載されているよりも大幅にパワーアップ

直列6気筒エンジンの排気量は2568cc。ボアは86mm、ストロークは73.7mmで、ショートストローク用に設計されており、8.5:1の圧縮比を実現している。鋳鉄製のエンジンブロックと鍛造内部構造により、非常に安定したエンジンに仕上がっている。1気筒あたり4個のバルブは、アルミニウム製のシリンダーヘッドに配置された2本のカムシャフトによって制御される。スロットルバルブは1個ではなく、6個のシングルスロットルバルブを採用し、レスポンスを向上させている。そしてサーマルシステムにより、ナトリウムを充填した排気バルブとスプラッシュオイルで冷却されたピストンを制御している。そしてそれは500馬力程度の出力を、十分以上に想定して設計されたエンジンだ。しかし、当時の日本では自主規制(紳士協定)のため、容赦なく強要されて、R32は(たったの)280馬力、353Nmに制限されていた。だが実際には、普通でも330馬力を超える傾向にあったことも事実だ。エンジンマネージメントの微調整と新しいターボの導入により、R34のトルクは392Nmまで上昇した。

公式にはR34 GT-Rのバルブカバーとタイミングベルトカバーのみが赤で塗装されていた。

ニッサンは、RB26エンジンがはるかに多くのパワーに適しているという事実を隠そうともしなかった。そのパワーユニットは、ガソリンとブースト圧の調整だけで、何の問題もなく耐久性のある500馬力が可能だった。ブースト圧は電子抵抗器で0.7バール(気圧)に制限されている。ニッサンはその抵抗器を黄色に着色し、見つけやすく、取り外しやすいようにしてある。そして、そのブースト圧は約0.97バールまで上昇させることができる。

セラミックタービンブレード

RB26は、インタークーリングとブローオフバルブを備えた2基のパラレルターボチャージャーを搭載している。ツインターボ設計により、シーケンシャルターボに比べて回転域の幅が狭くなっている。R32とR33には、セラミックタービンホイールを採用した「ギャレットT25」ターボが搭載されている。素材は特に軽量で、ターボチャージャーのレスポンスを確実に向上させている。R34世代では、ボールベアリングの「ギャレットT28」ターボが採用された。ボールベアリングを採用したことで、ターボチャージャーのレスポンスがさらに自然に向上し、レブアップしやすくなった。

R34 GT-Rは、あまりにも自己満足でポンコツなデザインとされていた先代(R33)に比べて、全長が短く、よりアグレッシブなデザインに生まれ変わった。

レース志向のN1バージョン

ニッサンのモータースポーツ部門であるニスモは、グループA、グループNのレースシリーズのために、RB26の高性能バージョンを開発し、その名を「N1」とした。クランクシャフトの微調整、エンジンブロック内の水とオイルの流路の見直し、ピストンリングの大型化、カムシャフトの大型化などが行われた。また、ターボチャージャーにはスチール製のタービンホイールが採用された。セラミック製よりはやや重いが、安定性が高く、特に高速回転時に影響を受けにくくできていた。N1エンジンは、スカイラインGT-Rの一部のロードバージョン、例えばR34 GT-R V-Spec IIニュルやR34 GT-R M-Specニュルに採用された。

最大拡張手段としてのRB28Z2

RB26が王様ならば、RB28Z2は皇帝だ。ニスモは2005年に創立20周年を記念して、19台のスカイラインR34 GT-R Zチューンを製作した。直列6気筒エンジンは、2.8リッターにボアアウトされ(その名の由来)、ブロックは強化された。新しいクランクシャフト、新しいカムシャフト、鍛造ピストンに加えて、ニスモはこのエンジンに2基のIHIターボチャージャーを与えた。結果:507馬力、540Nm、最高回転数8000rpmの高性能を生みだした。0から100km/hまで3.8秒で加速、最高速度327km/hは今でも印象的だ。ちなみにZチューンはスカイラインが生産終了してから3年後に誕生した。ニスモがオーナーからGT-Rを買い取り、完全に新品にリビルトしたのだ。RB26の別バージョンとして、44台しか作られなかったR33ニスモ400R用にRBX-GT2が登場した。2.8リッターから400馬力と478Nmを発揮するパワーユニットだ。

他の追随を許さないチューニングポテンシャル

日産のフラッグシップ6気筒は、巨大なチューニングの可能性を秘めていることでも知られている。記載されているように、このエンジンはすでに500馬力以上を発揮するように設計されている。グレーの鋳鉄ブロック自体が1000馬力まで耐えることができ、これは排気量1リッターあたり380馬力の大出力に相当する。燃料とブースト圧を変更することで、ピストン、コンロッド、ベアリングシェルに変更を加えることなく、耐久性のある500馬力を簡単に達成することができる。さらにチューニングを進めれば、1000馬力を超えることも珍しくない。まさにチューニングエンジン界のレジェンドだ。

HKSのZero-Rの600馬力は、RB26のパフォーマンスフラッグポールの終わりを意味するものではない。

最近また発売され始めた

常に最高のものが最後に来る。グッドニュースだ。RB26エンジンの入手を希望する人は、2019年初頭以降、ニスモヘリテイジから購入できるようになった。個々のパーツの身だが、すべて新品だ! 標準的なグレーの鋳鉄ブロックは、ちょうど1500ユーロ(約18万円)で購入可能であり、強化されたN1ブロックを手に入れるには2600ユーロ(約31万円)必要だ。アルミシリンダーヘッドは1600ユーロ(約19万2千円)以上のコストがかかる。インターネット上でオリジナルのRB26DETTコンプリートエンジンを手に入れるために必要な5桁の数字を考えれば、非常にバーゲン価格だ。

R32 GT-Rに搭載されたRB26。現在では非常に少数のスカイラインエンジンコンパートメントのみがこのオリジナルを搭載している。

迫力のエンジンサウンドと動画の特集は、YouTubeでお楽しみを。

Text: Moritz Doka
Sources: Nissan, Nismo